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ファーウェイ問題について考える ← (連載2)清華大学による巨額投資について  ツリー表示
投稿者:中山 太郎 (東京都・男性・非営利団体非常勤職員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-14 08:27 [修正][削除]
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3466/3466
 ファーウェイ問題は今、日本のメディアなどで色々取り上げられ騒然としている。一時釈放された孟副会長は、バンクーバーの自宅の前にたむろする取材陣へビザを届けたとか。あるテレビコメンテーターは、ファーウェイ製品に組み込まれていたとされるトロイの木馬的な秘密の回路につき、「これは会社側が知らないところでおこなわれたかもしれない」と述べていた。皆が興味をひかれたのは、同副会長が、7つの旅券を所持していたとカナダ側から暴露されたことだ。

 これらで思い出すのは、中国で友人のビジネスマンが裁判沙汰になり、付き添った時だ。中国側の原告は、集まった報道陣などへお菓子の月餅を配った。それに添えられていた封筒にはなにがしかの金が入っていたことだ。旅券については、やはり中国で別の友人がビジネス相手の中国人の御曹司が急に西側某国へ旅行に行きたいと言い出し、その手続きの手伝いで同行した。某西側の担当領事は丁寧に彼に向かい、査証発給のためには旅券が必要ですと説明した。それを聞いた御曹司は、その場で外交部へ電話した。まもなく、中国外交部の担当官が、旅券を持って駆けつけてきた。

 また、メディアでは、拘留されている副会長がかわいそうだとか、日本は米中の間に立って取り持つべきだとかの議論も聞かれる。これに関連して、知人の米学者から、11月7日の大統領ステートメントなるものが参考として送られてきた。トランプは、中身を読んでいるのか不明だが、今の米の立場を明確化している。「内容は共産主義犠牲者追悼の日に寄せて」というもので「共産主義の全体主義政権により殺害、迫害された1億人以上を追悼する」というものだ。これで思い出すのは、80年代上海にいたとき、時の上海市書記は、中国のキッシンジャーといわれた王道カン(サンズイに函)で、市議会議長が胡立教だった。党機関紙「解放日報」にある日、記事が出ていて、胡の息子が、100人近くの女性を強姦したので、死刑にすると出ていた。この話を日本へ帰り紹介したが、周りは皆信じてくれなかった。同米学者によると、西側諸国は、中国の通信機器は危ないと米に横並びを目指しつつあるが、メルケル首相の独は、一部独のハイテク企業の中国による買取は不許可にしたりしているが、裏で手を組んでいるようだとのことだ。

 日本では、反日のメルケルにフアンがいるが、彼女が10万人難民受け入れを高らかに宣言したころ東欧の学者と意見交換をしたが、彼は、東ベルリンがかって全体主義国家により封鎖されたときには、西側は、航空機で生活物資を空輸して助けた。金持ち国の独も、現地から直接人々を航空機で運ぶべきだ。貧乏な我々を、通り道にして苦しめるのはやめてくれと述べていた。などと考えていたら、本欄でいつも熟読する田村秀男氏の投稿「「米国が警戒する『日中通貨スワップ』と『一帯一路』の関係」と倉西雅子氏の「清華大学による巨額投資について」の記述を読み、日本へも触手が伸びてきていることを改めて知り、外交下手の日本がこのキツネとタヌキの化かしあい的な国際状況を上手く泳ぎ切れるのか暗然たる思いだ。

(連載2)清華大学による巨額投資について ← (連載1)清華大学による巨額投資について  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・男性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-12 11:12  
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3465/3466
 第2の中国側の利益とは、技術力の入手です。同記事に依りますと、東大と清華大学との協力は、投資関係に留まらず、日中スタートアップの共同研究や人材交流をも促すとされています。知的財産権の問題でアメリカから厳しい要求を突き付けられており、中国のシリコンバレーとも称された深セン等にて先端技術の自力開発に取り組みつつも、技術の調達先としてアメリカには最早期待できない状況にあります。昨今の習政権による急速な対日接近も、その背景として対米関係の悪化が指摘されていますが、日本国の技術開発力を合法的に利用すれば、自国の弱点をカバーできます。しかも、日本国の先端技術の開発現場でもある東大とビジネスを結ぶルートを押さえてしまえば、日本国の技術力をもコントロールすることができます(中国の脅威となる起業には支援しない…)。

 第3に挙げられる中国側の利益は、中国系巨大企業による日本国のスタートアップ企業の‘青田買い’です。中国では、現在、膨大な数の起業数を誇るものの、廃業もまた多く、かつ、極稀に成功した企業であっても、国営企業や巨大企業に買収され、姿を消しています。日中協力の枠組みにおいて清華大学から融資を受けた形で設立される東大関連のスタートアップ企業も、中国系企業にとりましては有望、かつ、株式入手の容易な買収物件となりましょう。

 以上に中国側の主要なメリットを述べてきましたが、これは、逆から見ればそのまま日本国側のデメリットとなります。‘起業支援’とは名ばかりで、その実態は、日本国から中国への先端技術の合法的な流出経路が設けられたのであり、日本国側としては、将来的に、中国経済に飲み込まれる可能性が高まったことを意味します。東京大学協創開発は、当初、民間企業との連携を構想していたようですが、今になりまして、何故、よりによりまして中国の国立大学と組むに至ったのでしょうか。

 しかも、相手国は、習近平独裁体制が敷かれている共産主義国家です。これは、日本国政府の意向を受けた決定なのでしょうか。報道によりますと、日本国の民間企業は、巨額の内部留保を貯めこんでいるそうですが、何故、その資金を自国の大学における起業支援に投資しないのでしょうか。日本国の東大生は、イノベーションに繋がるような画期的な技術の開発に真剣に取り組んでも、その成果が中国に流れるとなれば、研究意欲は著しく低下することでしょう。入管法や水道法の改正を含め、このままでは、かつて李鵬首脳が‘予言’したように日本国はやがて消えてしまうのではないかと不安になるのです。(おわり)

(連載1)清華大学による巨額投資について  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-11 19:58  
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3464/3466
 12月6日付の日経新聞朝刊の一面には、思わず深いため息をついてしまう記事が掲載されておりました。それは、中国の清華大学が、日本国の東京大学が設立したスタートアップ支援会社に対して650億もの巨額投資を行うというものです。この記事が事実であれば、日本国にとりましては、近い将来、まことに忌々しき問題が生じることになりそうです。

 清華大学の巨額投資先となる東京大学協創プラットフォーム開発株式会社とは、東大が100%出資して設立したVC(ベンチャーキャピタル)です。同社設立時にあって、東大が230億円を拠出しており、その原資は、平成24年度(2012年度)予算として政府が東京大に交付した417億円だそうです。一方の清華大学側も、VCとしてTSUホールディングスを設立しており、同社が提携先となります。東大側の拠出額である230億と比較しますと、清華大学の出資額の高さには驚かされます。およそ東大の3倍なのですから。そして、精華大学もまた国立大学ですので、拠出される650億円にも中国政府の予算が注ぎ込まれていることでしょう。

 それでは、精華大学による巨額投資の行く末には、どのような事態が予測されるのでしょうか。東京大学協創プラットフォーム開発の資本金9000万円は東大の100%出資ですので、清華大学から650億円の投資を受けても運営権は東大側が握っているように見えます。しかしながら、650億円を拠出しながら、清華大学、否、中国政府が‘何らの見返りをも要求しない’ということは過去の事例に照らしてもあり得ません。外貨準備が減少傾向にある中、中国が650億円もの出資を決定した背景には(人民元で拠出?)、中国に有利となる何らかの計算があるとしか考えられないのです。TSUホールディングスは、11月末に東京大学協創プラットフォーム開発に事務所を開設しておりますので、NHK社屋内の中国電子台の如く、既に内部化している様子も窺えるのです。

 中国側の第1の利益は、融資先のベンチャービジネスが成功を収めた場合に期待できる一定のリターンです。経済的な利益は最もドライな関係として理解できるものの、それでも、融資収益は一般的に拠出額に比例して配分されますので、東大と清華大学との間で1:3の割合で分けられることとなります。つまり、同社の利益の4分の3は中国側に流れ、日本初の技術や技術革新であっても、中国側がより多くの果実を得る結果となるのです。その一方で、融資に失敗して損失が生じた場合、東大側は、清華大学に対してそれを甘受するよう求めることができるのでしょうか…。もしかしますと、一帯一路構想で露見しているように、借金の形に虎の子の知的財産権を要求される可能性も否定はできません。(つづく)

米国が警戒する「日中通貨スワップ」と「一帯一路」の関係   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-10 18:57 [修正][削除]
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3463/3466
 先の安倍晋三首相訪中時に発効した日中通貨スワップは、やはり日米関係に影を落としそうである。米側は通貨スワップが日本企業による「一帯一路」協力を促進させるのではないか、と疑っているのだ。一帯一路とは、中国の習近平国家主席が執念を燃やす拡大中華経済圏構想だが、米国は中国による対外侵略手段だとみて強く警戒している。日中通貨スワップは中国の発券銀行、中国人民銀行に対し、日銀が円を3兆4000億円の枠内で提供し、人民元と交換する。私は、10月26日付の産経新聞朝刊1面で「日中通貨スワップは日米の信頼を損ねる」と論じた。その英訳版を読んだ米軍幹部N氏は、「中国は明らかに必要とする外貨が底をつきつつある。日本の財務省が通貨スワップ協定に応じてかれらの生命線を延長してくれるのだから、中国にとって素晴らしいことだろう。経団連企業が通貨スワップに支えられて、かの金融災厄をまき散らす一帯一路向けの資金調達に応じることもね」と10月30日付でコメントしてきた。

 N氏は東日本大震災時の米軍の「トモダチ作戦」を立案した知日派で、大手米銀に在籍経験のある金融専門家でもある。なぜ、日中通貨スワップと日本の一帯一路協力が結びつくか、そのからくりは、一帯一路自体のビジネスモデルに起因する。インフラプロジェクトの主契約者は中国企業であり、日本企業は「共同受注」とは言っても下請け契約である。中国側は国有銀行が元資金を中国企業に融資して返済を受ける。つまり元金融で完結するので、外貨は使わない。ところが、発注側の現地政府はドル建ての高金利債務を負わされる。返済不能に陥ろうものなら、インフラを中国側が接収し、軍事利用する。サブ契約の日系企業も元資金決済となる。

 安倍首相訪中のタイミングに合わせ、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)ら約500人の企業トップが訪中し、「日中第三国市場協力フォーラム」に参加した。「第三国」とは「一帯一路」の沿線国とほぼ同義なのだが、米国を刺激しないためにぼかした経済産業官僚の浅知恵だ。9月中旬にも、日中経済協会(会長=宗岡正二・新日鉄住金会長)と経団連、日本商工会議所の合同訪中団が訪中し、李克強首相に対して一帯一路への参加、協力を表明済みだ。巨額の一帯一路参加資金調達のため、日本の銀行や大企業は中国で「パンダ債」と呼ばれる人民元建て債券を発行するつもりだ。

 ところが、トランプ政権の対中貿易制裁のために中国金融市場は大揺れだ。人民元相場は下落し、年間数千億ドル規模の資本逃避が起きている。そこで日銀が円を中国側に渡し、代わりに得た人民元でパンダ債相場を安定させ、起債しやすくする。半面では、下落する人民元のために日銀は巨額の為替差損リスクを負う。トランプ政権からにらまれ、おまけに国富を失うリスクのある通貨スワップは即刻中止すべきだろう。

(連載2)カナダの南京事件記念日制定案件について ← (連載1)カナダの南京事件記念日制定案件について  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-08 10:07 [修正][削除]
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3462/3466
 3年前の慰安婦像案件の時は日系社会のみならず、日本やトロントなど各地からの応援もあったし当時同様問題を抱えていたオーストラリアとやり取りをするなどかなり幅広い情報収集と活動を展開していました。それに対し、今回は極めて限られた人数の期成同盟メンバーで的を絞り込んだ作業を行うと同時にキーになるところとの連携を強め、各方面での比較的隠密な活動も展開、その動きは割とわからなかったと思います。

 カナダでのこの動きは日本でも一部の方には知られており、なぜカナダで今更南京事件記念日なのか、と議論が沸き起こり、私も西岡力先生らの研究会で現状報告などもしておりました。また、日本の一部の国会議員にも本件を重視し応援してくださる先生方もいて私も直接ご報告を差し上げてきた経緯があります。

 慰安婦像の時に比べ日本国内での盛り上がりが欠けたのは事実です。日韓と日中の温度差もあるでしょうし、南京事件そのものが分かりにくいこともあります。(いまだに確定した真実は解明されておらず、今後もそれは不可能だと考えています。)もう一つはこういう問題に食い下がる産経新聞のトーンが完全に変わってしまったこともあります。同社は社長交代後、現社長が興味を持たないせいか、「歴史戦」に極めて淡泊になり、その類の報道が大きく減少し、取材能力も落ちていたと思っています。

 最後に今回の一連の流れについて思うところを記したいと思います。一つはカナダで本件がうまく推移してきた理由は歴史戦をあえて外したことがあるかもしれません。クワン、ワット議員は乗松聡子氏に主導、扇動される形で事実が不鮮明なこの事件を自己都合解釈に基づく「左派の歴史戦」として堂々と繰り広げたのと好対照でありました。たぶんですが、クワン議員は南京事件についてほとんど乗松氏等の受け売り以上の知識は発言内容からしてないとみています。では同議員もそれほど愚かではないはずなのなぜこんなことをしたのか、と言えば10中8,9、中国本土とのパイプ関係だったとみています。彼女は中国版フリーメイソンである洪門民治党のメンバーであり、本土と華僑をポリティカルに結び付ける役割を担っていたはずです。が、10月ごろからそのトーンが完全に変わりました。理由は多分ですが、もっと上の世界からの指示ではなかったか、とみています。今回の一連の流れは非常に重く、長く、疲れる作業でしたがとりあえず、一息つけそうです。(おわり)

(連載1)カナダの南京事件記念日制定案件について  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-07 23:33  
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 南京事件が起きた12月13日をカナダ全体とブリティッシュコロンビア州(BC州)でそれぞれ記念日にしようという動きがあったのはご存知でしょうか?しかし、その動きは失敗に終わりそうです。まず、BC州における記念日制定の計画を企てたテレサ ワット議員は秋の議会開催初日に法案を提出すると議会で発言したもののその後、腰砕けで議会で全く俎上に上がらず、昨日、今年の議会は終了しました。つまり、少なくとも今年の12月13日の記念日制定は断念したことになります。

 一方、連邦ベースで活動していたジェニー クワン議員も11月28日、議会でトルドー首相に記念日制定についての意見を求めたところ、首相はあいまいな返事で質問をかわしました。引き続きクワン議員は議会で動議を提案しましたが賛同を得られず、議長より否決されました。その際、クワン議員が半年かけた集めた4万人の署名を議会に提出したため45日以内にその内容を検討のうえ、署名に対する議会判断を1月にも出すと思われます。但し、動議が既に否決されたため、署名に基く記念日制定法案の可能性は困難と思われます。また、カナダでは同じ内容の動議を同一条件下では再提出できないため、南京事件記念日制定は極めて困難になったと考えております。

 カナダでは昨年オンタリオ州で同様の動きがあり、記念日制定にはならなかったものの、動議は可決された経緯があります。但し、オンタリオ州の動議可決のハードルが低く、ごくわずかの賛同する議員だけの決議であったことからほとんど意味を成しませんでした。更にそれを主導した州の議員はその後の選挙で落選していました。

 ただ、その流れは連邦議会ベースに引き継がれ、東バンクーバー地区選出のジェニー クワン議員が今年春に大々的な署名キャンペーンを張り、バンクーバー、トロントなど主要都市での嘆願活動を行うとともに7月11日には左翼運動家、乗松聡子やBCアルファ(第二次世界大戦アジア史保存カナダ連合、BC支部)などを従え、声明を発表していました。更にBC州議会のテレサ ワット議員が同様の記念日制定をBC州でも制定するという発言を議会で行いました。これらの動きに対してバンクーバーの民間ベースで記念日制定に反対する期成同盟を立ち上げ、他の関連者とも連携を取り、各種活動を展開し、この動きを阻止すべく活動が展開されました。私は3年前のカナダでの慰安婦像建立問題の際に前線に立ってそれを阻止した経緯もあり、今回も期成同盟を含む各方面での行動をしながら約半年、戦ってきました。(つづく)

「ゴーン逮捕」の法的検討   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-05 13:46 [修正][削除]
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3460/3466
 日産自動車のカルロス・ゴーン代表取締役会長は、金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)容疑で11月19日東京地検特捜部に逮捕され、その後同社の取締役会で代表取締役会長を解任された。ゴーン前会長の逮捕容疑は「平成22年度~平成26年度の5年分の報酬が合計約99憶9800万円であったのに、合計約49憶8700万円と過少に記載した有価証券報告書を関東財務局に提出した」というものである。日産自動車とフランスの自動車大手ルノー、三菱自動車の会長を兼務する「カリスマ経営者」の逮捕は、日本国内のみならず、フランスをはじめ欧米社会にも衝撃を与えた。11月29日付け「産経新聞」朝刊によれば、「ゴーン前会長の平成29年度の報酬が約24憶円であったことも判明し、有価証券報告書には7憶3500万円と記載されており、約16憶6500万円を過小に記載した疑いがあり、これを含めた直近3年分の過小記載額は約40憶円となり、逮捕容疑である5年分の計約50憶円と併せ、総額は計8年分計約90憶円に上るとみられる」と報道されている。

 今後の問題は、これらの「虚偽記載」容疑について法的に起訴及び有罪の可能性があるかどうかであろう。刑法の一般理論によれば、犯罪が成立するためには、当該行為について、(1)構成要件該当性、(2)違法性、(3)有責性、の三要件の充足が必要とされる。金融商品取引法は市場の公正と健全を守り、投資家の保護を目的とする法律であるところ、有価証券報告書の提出義務(同法24条)はこの目的を担保するためのものである。したがって、有価証券報告書の重要事項について虚偽記載を行うと10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金が科される(同法197条1項1号)。有価証券報告書の「虚偽記載」とは、客観的事実と異なることを認識しながら事実に反する虚偽の事実を記載することである。11月29日付け「産経新聞」朝刊によれば、「(1)ゴーン前会長が退任後に過少記載分の報酬を受け取ることを記載した「覚書」が存在する。(2)上記「覚書」の存在をゴーン前会長自身も認めている(但し、サインはしていないと言う)」と報道され、さらに、12月2日付け同紙朝刊によれば、ゴーン前会長は、「(3)高額の報酬が開示されれば従業員の労働意欲が下がると思った」と供述している、と報道されている。以上の(1)(2)(3)の報道が事実であるとすれば、いずれも「虚偽記載罪」成立の重要証拠と言えよう。なぜなら、上記(1)(2)はサインの有無にかかわらずゴーン前会長側からの要望に基づき会社側の承諾を得て作成された書面であると考えられる上に、退任後における「過少記載」分の報酬の授受を担保する書面であると解されること、加えて、上記(3)は「虚偽記載」の動機とも解されるからである。

 12月2日付け同紙朝刊によれば、ゴーン前会長は、「(1)退任後の報酬は希望額であり不確定であるから、有価証券報告書に記載義務はない。(2)グレゴリー・ケリー前代表取締役に任せており、報告を受けて適法だと思った」と供述し、ケリー前代表取締役は、「(3)金融庁など内外に相談して適法だとの回答を得ていた」と供述している、と報道されている。しかし、上記(1)は、平成22年度~平成29年度の各報酬額はそれぞれの年度で確定しているのであり、単にゴーン前会長側の意思に基づき、それぞれその約半額を退職後に受領することにしたに過ぎないと考えられるから、退職後に受領する報酬は単なる希望額とはいえず確定額と言えよう。したがって、各年度の有価証券報告書に記載義務があると解されよう。上記(2)(3)は、いわゆる事実の錯誤ではなく「法律の錯誤」であると解されるから、「虚偽記載罪」の違法性を阻却しないと言えよう。判例は、「自然犯、法定犯を問わず犯意の成立には違法の意識を必要としない」(最高判昭和25・11・28刑集4・12・2463。刑法38条3項参照)としているからである。

 なお、役員報酬の「過少記載」が投資家の判断に影響を与える有価証券報告書の「重要事項」に該当するかについて、各年度の報酬10憶円前後の差は、日産自動車の事業規模からすれば投資判断を変えるほどではないから、「重要事項」に該当しない、との議論が一部にある。しかし、「過少記載」の総額が8年間で計90憶円にも上るとみられ巨額であること、長年日産自動車の最高責任者の地位にあり投資家からも注目されてきたこと、上記の議論によれば、事業規模が大きい会社ほど「過少記載」が容認されることになりかねず不当であること、などの諸点を考えれば、本件「過少記載」は「重要事項」に該当すると言えよう。以上の法的検討の結果、本件「有価証券報告書虚偽記載」容疑については、前記犯罪成立の三要件を充足する可能性があり、起訴及び有罪の可能性はいずれも否定できないと、言えよう。

(連載2)プーチン大統領の北方領土戦利品論の不正義 ← (連載1)プーチン大統領の北方領土戦利品論の不正義  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-03 08:14 [修正][削除]
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3459/3466
 ソ連邦としては、1941年12月のアメリカに対する日本国の真珠湾攻撃を同盟国の一国に対する攻撃と見なしたかったのかもしれませんが、この時点では、米ソ間に同盟関係はありませんでした。また、ソ連邦が参戦した時期は、日本国では、既にポツダム宣言受け入れは時間が問題となっていた戦争末期であり、日本側からソ連邦に攻撃を仕掛ける余力は最早残されてはおりませでした(ソ連邦が‘火事場泥棒’と批判された理由…)。況してや国連憲章では、他国の領土保全や政治的独立を脅かす武力の行使を戒めています。

 乃ち、当時のソ連邦の行動は、侵略を違法とする慣習国際法にも反し(連合国はドイツの侵略行為を咎めている…)、連合国内で定めた行動規範―不拡大主義―からも逸脱する共に、国連の出発点にありながらそれが定める行動規範をも踏み躙っているのです。今般、色丹島と歯舞群島の2島の引き渡しを約した56年の日ソ共同宣言を基礎として交渉を始める方針が示されているため、日本国内では、安倍政権が択捉島と国後島をロシアに正式に割譲するのではないかとする懸念も広がっております。

 今後の日ロ交渉では、色丹島と歯舞群島の帰属問題も議題となるとされており、この点に関しては、プーチン大統領は‘戦利品論’を引き下げざるを得なくなりますが、択捉島と国後島の2島を永遠に失うのでは、駆け引き上手なロシアの策略の罠にかかったとしか言いようがありません。そして、日本国の対ロ譲歩は、多大なる犠牲を払って第二次世界大戦で終止符を打ったはずの武力による領土獲得の歴史を蘇らせ、再度、人類を苦しめる結果を招きかねないのです。プーチン大統領は、臆面もなく戦利品論を打ち出していますが、仮に、ロシアが武力で領土を奪われた場合にも、‘それは戦勝国側の戦利品だから仕方がない’と諦めるのでしょうか。

 芥川龍之介の『羅生門』のようなお話になるのですが、ロシアの主張を認めることは、国際社会全体が弱肉強食の野蛮な世界に戻ることを是認するに等しいのです。ロシアが無法国家であり、真の正義を理解しない国である限り、妥協による北方領土問題の解決は、人類に退行をもたらすとともに、法の支配が行き渡る安全な国際社会を自ら放棄するようなものではないかと思うのです。(おわり)

(連載1)プーチン大統領の北方領土戦利品論の不正義  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-12-02 23:01  
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3458/3466
 東方経済フォーラムにおける首脳会議の席で、突如、日本国との条件なしでの平和条約締結を言い出したロシアのプーチン大統領。この時、日本国の安倍晋三首相は、一旦は同提案を拒絶しましたが、今に至り、56年の日ソ共同宣言を基礎として対ロ交渉を加速させる動きを見せています。北方領土問題については、かねてよりプーチン政権は、北方領土は第二次世界大戦において獲得した‘戦利品’とする持論をロシア政府の公式見解としています。この見解、レーニンが不拡大主義を唱えたこともあって、‘戦利品’と言い切るまでには至らなかったソ連邦時代と比較しても過激であり、いわば、‘開き直り’宣言とも受け止められます。しかしながら、この主張、法のみならず、歴史的な事実に鑑みても不当としか言いようがないのです。

 ロシア側は、戦利品論の正当性を主張するために、第二次世界大戦において自国が払った犠牲の甚大さをしばしば強調しています。‘ロシア人の血は北方領土を以って贖われたと…’。しかしながら、ソ連参戦に至る歴史の経緯を顧みれば、ソ連邦は、日本国との戦闘においては殆ど人的、並びに、物的な被害や損害を受けていません。戦時にあって、極東に位置する日本国は、ドイツ、並びに、イタリアとの三国同盟の下で軍事同盟関係にはありましたが、ヨーロッパにおいて隣接する独伊のように共同で軍事作戦を採ることはありませんでした。

 しかも、戦時期は日ソ中立条約の有効期間にあり、日本国は、同条約を遵守しソ連邦との国境地帯は僅かな兵力しか置いていません。ソ連邦が闘った主敵はあくまでもドイツであって、日本国に対するソ連邦の戦いとは、日本国の敗戦を見越した一方的な侵攻と破壊、そして、民間人に対する非道な殺戮なのです。上記のプーチン大統領の言い分は、ドイツに対しては当てはまるかもしれませんが、日本国に対しては、全く通用しないのです(この点、ドイツは、旧同盟国である日本国の北方領土問題についてどのように考えているのでしょうか…)。

 ここに、軍事同盟関係に基づいて参戦して勝利した国は、その勝利を以って敗戦国に対する領土割譲の正当な根拠となし得るのか、という問題が提起されます(因みに、大西洋憲章では連合国の原則として不拡大主義が約されている…)。この問題を考えるに当たって、国連憲章の第55条において認められている集団的自衛権は参考になります。軍事同盟を構築する権利は、あくまでも自衛を目的とした権利であり、攻撃や侵略を目的としている場合には許されてはいません。なお、国連憲章の発効日は1945年10月24日ですが、その署名日はソ連邦が対日参戦を宣言した8月8月を一ヶ月以上も遡る6月26日です(もっとも、同憲章における‘敵国条項’は、ソ連邦の対日参戦を念頭に置いていたかもしれない…)。(つづき)

米中首脳会談の見方   
投稿者:中山 太郎 (東京都・男性・非営利団体非常勤職員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-29 12:45 [修正][削除]
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 11月28日付けの姉妹e-論壇「百花斉放」に掲載されたの杉浦正章氏の投稿「難問山積、激動の極東情勢」は、現時点での国際情勢を鋭く分析された文章だ。その中で間もなく開催されるG20での米中首脳会談の重要性を指摘され、「両国とも薄氷を踏むような調整をしているに違いない」と述べられている。参考までに、小生が接触した、中国及び米国の知日派学者の本問題への見方を紹介したい。

 中国の学者は「中国の景気が下降気味のところで、米からの貿易戦争を仕掛けられ、習近平は困っている。中国が鳴り物入りで世界に打ちだしている『一帯一路』構想だが、実際のところ、やってみて途上国相手のプロジェクトは儲からないということが分かってきた。習近平は今、強硬な国内世論のガス抜きをしつつ、どう落としどころを見つけるかを模索中だ。今の中国は、農村部が極めて疲弊している。だから、最近、習近平他党幹部が農村復興を強く叫んでいるのだ。米中貿易戦争がしばらく続き、労働者の首切りが多くなると、10年前20年前なら、彼らが故郷の農村へ帰還しても何とか食えたが、今は、それは望み薄だ。そうすると、社会の不安定化、中国共産党への非難となって、大変なことになる」、「今回のパプアニューギニアでのAPEC首脳会議で、王毅外相が、だいぶ過激に米の保護主義、一国主義を非難したが、これは、自分が思うに、中国国内向けで、上層部は譲歩の準備を裏でしているからと考える。100項目以上の譲歩案を米側へぶつけているし、市場開放、知的財産問題についても米への歩み寄りを図っている。米中経済問題担当の劉鶴副首相の首を斬り、国内をなだめるとの見方もある」と述べた。

 米国の学者は「今の米経済は、消費も盛んで景気は悪くない。米中貿易戦争の影響は来年半ば過ぎごろから現れるだろう。専門家の見方では、GDPでは、中国が1%、米国が0.3%のダウンが見込まれる。中国の方が受ける影響は大きいが、独裁者が世論を管理できる体制と民主国家の差は大きく、米への打撃の方が現れ方が大きくなると見る。トランプの支持基盤である、ラストベルト地帯の労働者や農民が所得ダウンの被害をどう受け止め反応するか注目される。トランプ政権内では、ムニューシン財務長官など、対中緩和政策派は、今はおとなしくしているが、そのうちいろいろ仕掛けてくるかもしれない。中国が真に困り、3億兆ドル以上と言われる外貨に手を付けだすと、うち米国債券の割合が半分以上なので、米への影響は大きい。政権としては、振り上げたこぶしは、今すぐには落とすのは難しいので、貿易戦争は続けるが、戦線は縮小へ向かうと自分は見る」と述べた。

 また、同米国の学者は、余談として日本について「台湾の選挙について、民進党が負けた、住民投票で福島産農漁業物品への、輸入規制が依然継続とかが、大きく報道され関心もそこだけだが、米ではLGBT拒絶の方が関心が大きい。日本の五輪が20年には開かれるわけだが、2014年ロシアのソチ五輪でLGBT問題が大きく取り上げられ、西側各国から非難を受けたことを忘れるべきではない。米は思い出したように今中国新疆地区でのイスラム教徒収容諸問題を持ち出して『人権問題』として叩いているが、いつ日本を叩くのか分からないので気を付けたほうが良い。電動自動車開発での日中協力、米が厳しく対応している中国のIT大手のファーウェイを日本は受け入れている。米の一部反日分子はここら辺をつついてくる可能性もある」と述べた。

米国のINF全廃条約離脱に日本は関心をもつべきだ   
投稿者:五味 恒和 (北海道・男性・医療従事者・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-28 20:27 [修正][削除]
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 アメリカの中距離核戦力全廃条約からの離脱は、日本の安全保障上極めて重要なニュースだったのだが、日本では議論が深まることなかった。日本の世論は他国の兵器に対して関心が薄いという特徴があり、自衛隊が保有していない装備ということもあって国民の関心を引き付けられなかった。中距離核戦力全廃条約(INF全廃条約)は、1987年にソ連のゴルバチョフ書記長とアメリカのレーガン大統領の間で締結された一種の軍縮条約である。その主眼は、当時の二大超大国米ソの射程500-5500kmの核弾頭搭載可能なミサイルを全て廃棄し核戦争を抑止することにあった。

 歴史を振り返ると、INF全廃条約は、ソ連がRSD-10(SS-20)核弾頭搭載中距離弾道ミサイルを欧州正面に配備したことに対し西ドイツを中心に欧州諸国が強烈な軍事的脅威を訴えたことが契機になっている。ソ連にRSD-10の廃棄を求めたNATOは、核弾頭を搭載したMGM-31中距離弾道ミサイルを欧州に配備することで軍事的緊張を高めた。いわゆるNATO二重決定である。これは短期的にはソ連の激しい反応を招いたが、戦略的には正解であった。紆余曲折を経てソ連とアメリカの間で中距離核戦力全廃条約が結実したのである。この条約がなるまでは、核兵器による第三次世界大戦も現実的なものとして受け止められていた。

 こういう経緯を考えると、日本の国防には縁遠い次元の問題に思えるかもしれないが、そうではない。中距離弾道ミサイルはその間合いがちょうど日中・日露の地理的距離にあたる。日本で有名なのは、北朝鮮の白頭山1号(テポドン1)であろうか。日本人にとっては、まさしく開戦劈頭、敵地から発射され自分の頭上で炸裂する代物だ。中距離のミサイルは、核兵器を運搬する最終兵器の印象が強いが、実際には「使える兵器」として配備・使用実績を積み重ねてきている。現に中国は東風-26、北朝鮮は火星10号という中距離弾道ミサイルに通常弾頭を搭載して日本に向けて配備しているし、ロシアも今後、極東で中距離を強化する可能性が高い。そう考えると、今の日本はその備えにつき見直すべきであろう。つまるところ我々日本人が考えなくてはならないことは、世界が「ミサイル無制限時代」に突入することになったという現実についてである。ICBMを全廃する条約すら議論にもならない以上、米ロ間で条約が再構築されることはないし全世界的なINF全廃条約に発展する可能性も皆無だ。

 今後INF全廃条約なき世界と東アジアがどうなるかはわからない。アメリカが中距離弾道ミサイルを九州沖縄地方やフィリピン、ベトナムなどに配備もしくは売却すると南シナ海の人工島や中国空母の持つ意味は激変するし、日本が(政治的に可能かは別として)独自に同等の兵器を北海道に配備するのであれば、ロシアは対日戦略を大幅に見直すだろう。そのときに東アジア情勢・世界情勢がどうなるかは全く未知数だが、いずれにせよ、日本にとっては厳しい周辺環境を否応なしに再認識することになる。だからこそ、日本人自身にこの問題を雲の上の話のようには捉えず、当事者意識をもって考えてほしいものである。

アメリカ中間選挙の結果を見ながら   
投稿者:鈴木 馨祐 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-28 15:32 [修正][削除]
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 注目されていたアメリカの中間選挙が終わりました。結果的には上院で共和党が多数を維持し、下院で民主党が多数となりました。結果の詳細な分析を今後していかねばなりませんが、やはり都市部と地方の傾向の差が大きいことや、二年前と比べるとかなり多くの選挙区で共和党から民主党に投票行動が移行した点には留意が必要です。また、かつてと比べて、それぞれの党の候補者の主張が中道から左右の両極に別れてきつつあるということも注目しておく必要があります。

 アメリカは大陸という側面と島国という側面の両方を持つ国で、しかも近隣に深刻な脅威となるような国が無いという環境の下で、政治、世論の振り子が特に国際社会における役割という意味では大きく振れる傾向がこれまでもありました。その意味では、今後アメリカの社会や世論がどの様に動いていくのか注視が必要です。二年前、トランプ大統領が選ばれたのは、基本的にはそれまでもティーパーティなどで見られていた世論の流れの結果であって、トランプ大統領が一人でこうした現象を起こしたのではないということを我々は基本認識として持っておかねばなりません。

 そしてその観点から言えば、これはアメリカに限ったことではありませんが、今のネット社会の下での情報発信の多様化により、「正しい」ということが一体何なのか、情報の「客観性」をどう担保し、どう多くの人が客観的な情報のもとでバイアスをなるべく排して物事の判断を行うことができるのか、という意味において、非常に難しい時代に我々は生きている、ということを考えざるを得ません。従来、ともすれば妄信的に受け取っていた既存のメディアの情報が、実は客観性を欠いていることが多かった、という指摘が極めて正しい一方で、それに替わる答えを我々がまだ持つことができていないのも事実です。また、もしも、従来のメディアへの不信が、さらに信頼性の低いバイアスのかかった見方であったり、場合によってはそもそも事実として誤っている誤報といえるような情報に多くの人を走らせているのだとすれば、それも社会の安定という意味で望ましいことではありません。

 このような時代だからこそ、個人個人が自らの価値観をしっかりと持ち、客観的な情報をもとに正しい判断をするための努力をし続けるということが、改めて重要になってきているのではないか。改めて、そう思うとともに、「正しい」情報のためのコストを誰が払うべきなのか、等々非常に難しい論点が山積していることを改めて感じるところでもあります。

(連載2)TPP11がやってくる! ← (連載1)TPP11がやってくる!  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-27 11:16 [修正][削除]
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 不思議なもので、以前は「バラバラになる世界がより鮮明になってきた」と書かせていただいたのに、今日は「巨大な経済圏が生まれつつある」とは矛盾ではないか、とご指摘を受けると思います。TPP11が発効に向けて順調に動いているのは世界の様々なボイスに打ち勝つために自分も大きな傘の中にいなくてはいけないという自己防衛もあるのかもしれません。TPP11の場合は巨大化する中国という市場に対抗するためでありました。世の中、実に複雑であります。

 私はカナダにいますのでその点を考えてみると、日本との貿易が急速に増えるかといえば日本からの輸入は増えると思います。が、カナダから日本への輸出は日本の半分以下伸び率の可能性が高いと思います。上述の欧州とカナダ間のCETAを見ても欧州からカナダとカナダから欧州のボリューム比較は2倍ほどの開きが出ているのです。理由は簡単でカナダから日本に売るべき工業製品は極めて限定的であるからです。

 もともとカナダに関しては、アメリカとのNAFTAによってカナダ国内の産業構造そのものの弱体化・偏向化が進んでいます。稼ぎの多くはオイル、ガス、資源、建設業、不動産業といった旧態依然の業種が多く、日本から見て喉から手が出るほど欲しいものは限られるでしょう。私がカナダから日本に行くときに土産を買わないのは買わないのではなく、ないからであります。

 そう考えるとTPPはもともと日本に一番有利と言われていた意味が分かってくるわけで、TPP11も日本製品の販売促進は期待できるでしょう。またビザなど人の出入りの扱いも変わるとされています。どのような形になるのか、楽しみです。(おわり)

(連載1)TPP11がやってくる!  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-26 10:21  
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3453/3466
 TPP11の発効の目途が立ったようです。11月にもカナダとオーストラリアが国内手続きを完了する見込みで、これにより遅くとも年明けにはいよいよ現実のものとなります。このTPP11は日本語であり、英語ではCPTPP(The Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)と呼びます。ただし、一般の方に格好をつけて「CPTPPが…」と英語でしゃべりだしても100%通じないのも事実であります。

 カナダではNAFTAに変わるUSMCAに形を変えることで合意しましたが、カナダの貿易量を考えても多くの人は環太平洋地域との貿易がどれだけ重要なのかという点はあまり重視していないのかもしれません。カナダは欧州とは包括的経済貿易協定(CETA)をすでに結んでおり、欧州の製品が比較的安く買える時代になっています。貿易量は各分野でCETA締結前より一桁%後半から二桁%で伸びています。カナダで欧州製の自動車はもともと安かったのに更に下がっていくことになり、消費者の選択肢は当然増えていきます。

 そういう意味ではTPP11も一定のインパクトはあると考えています。域内GDPは12兆ドルでEUの20兆ドル、NAFTA(USMCA)の24兆ドルには現時点では及びませんが、加盟国が増えそうなことと加盟国の潜在成長力が高いことから10年でEUの規模に肉薄する可能性はあります。

 ではモノが急に安くなるのか、といえば実はTPP11に加盟している国のうち日本と個別EPAがないのはカナダとニュージーランドだけでほかの国とはすでに90%から100%に近い自由貿易の提携が行われています。つまり、目に見えてモノが安くなるという効果は限定的かと思います。むしろ、北米のUSMCA、欧州のEUに対抗する強力な経済連携がアジア地区に登場することで政治経済的な発言力が増すことに大きな期待が寄せられるのではないでしょうか?(つづく)

ロシアと手を組む重要性   
投稿者:中山 太郎 (東京都・男性・非営利団体非常勤職員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-22 16:46 [修正][削除]
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3452/3466
 安倍総理のプーチンと話し合ったといわれる「平和条約締結そして二島返還へ」は極めて評判が悪い。本欄および姉妹e-論壇「百花斉放」に掲載された投稿だけでも、私の敬愛する、杉浦正章、倉西雅子、袴田茂樹諸氏は、極めてネガティブなご意見だ。そして、「二島返還」の賛成者には日ソ間を仲介役のふりをして、うろちょろする政治屋、評論家もどきなどの人が多い。しかし、あえて安倍総理の合意発言に賛成する。橋本宏氏が11月15日付「百花斉放」の投稿「北方領土と日ロ平和条約締結問題」で述べられておられる、「太平洋戦争へ突入という、悔やんでも悔やみきれない国策」を反省し、どう生かすかが今後我が国が生き延びてゆく道だと思う。

 確かに、ロシアも中国も一方で主権平等、世界平和を口で唱えながら他方で平気で近隣地域の領土主権を踏みにじっている。彼らは 今の国際ルールは米など先進西側の有利にできていると主張している。日本が第二次大戦で痛い目にあったのは、当時の世界での主流国米、英などをすべて敵に回したことだ。倉西氏が述べるように日本は、ソ連とは中立条約を結び見事に裏切られた。残虐行為にも、弱肉強食の国際社会では、水に落ちた犬は、叩かれるということだ。敵は一つに絞れ、他は悪魔とも手を結べということだ。今、中国は21世紀のドイツといわれている。現今の自由と繁栄の秩序への最大のチャレンジャーは中国なのだ。最近トランプが怒って、米中貿易戦争を仕掛けている。その最中の安倍総理の訪中で、タイミングは悪い。最近支持率低下のプーチンは、二島返還についても「主権」がどうとかと煮え切らない。しかし、領土が還らなくともよいのだ、敵に回さないでいることが大事なのだ。

 現在、ロシアと中国は蜜月にあるとも言われている。しかし、40年前には、中国の最大の敵だったのだ。そのため、日本、米は、中国との交流が比較的スムーズにいった。中国は安倍総理を、歴史認識を大幅に変更したわけではないがつい先ごろまで歴史修正主義者としてこっぴどくたたいていたのを忘れたかのように北京へ迎え入れた。だいぶ身勝手なのだ。ロシア専門家によると、ロシアは千島列島に対米として軍事基地を設け整備しているが、これは表向きで、いつでも対中国に方向転換できるそうだ。中国の一帯一路政策も、ロシアの権益浸食しだしているし、北極航路への中国の進出は、極めてデリケートな問題となっている。そして、ロシアと中国はめでたく国境問題を解決したいわれるが、中国が時に水面下で持ち出すのは、ロシア極東のウラジオストックのある沿海州地域の問題だ。これは、旧ロシアが清国より奪った台湾よりだいぶ広い地域だ。今後より強大になった中国はこれの返還を求めるのではないかと戦々恐々だと聞く。蜜月だとは言え、ロシアは今の弟分的な地位に不快感を持っている。

 日本が今、頼りにしている米国だっていつ、裏切るか分からないのだ。1971年、国連での台湾追放問題で当時の佐藤政権は最後まで追放に反対し、諸努力をした。米の裏切りで、安保理の拒否権が使えない総会決議ということになり、負けてしまった。米は、その後「台湾関係法」などでフォローをしたが、これは米の西太平洋での権益を守るのに必要だからだ。国際社会を生きてゆくためには、「韓信の股くぐり」も必要なのだ。屈辱に耐え知恵を十分に働かすことだ。ゴーン氏逮捕でフランスはじめ西欧諸国の日本異質論が始まっている。これは、日本の景気が良かったころの仏の女性首相エディト・クレソンの「日本人はウサギ小屋住民」発言を想起させる。我々は単細胞的な反論はやめ、笑ってやり過ごさねばならない時もあることを知るべきなのだ。そして、しぶとく国際社会で生き抜いてゆかねばならない。

(連載2)韓国大法院「徴用工判決」の法的検証 ← (連載1)韓国大法院「徴用工判決」の法的検証  ツリー表示
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-22 10:26 [修正][削除]
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3451/3466
 次に、上記の(2)については、大法院判決の多数意見は、「徴用工の損害賠償請求権は、不法な植民地支配及び侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為による慰謝料請求権であるから、日韓請求権協定には含まれていない。」(「大法院判決書」4上告理由第3点に関してのイの括弧1参照)という独自の見解である。しかし、新日鉄住金側が差し戻し審で提出した追加の証拠によれば、韓国側は、1961年5月10日の第5次日韓会談の予備会談で、他国民を強制的に動員することによって負わせた被徴用者の精神的肉体的苦痛に対する補償を日本政府に要求し、同年12月15日の第6次日韓会談予備会談では、これを含めいわゆる8項目に対する補償として総額12憶2000万ドルを要求し、そのうちの強制動員に対する被害補償金を3憶6400万ドルと算定し提示した事実が認められる(「大法院判決書」4上告理由第3点に関してのイの括弧5参照)。ところが、今回の大法院判決の多数意見は、「提示は交渉で有利な地位を占めようとする目的のものに過ぎず公式見解ではない。交渉過程で総額12憶2000万ドルを要求したにもかかわらず、実際には請求権協定は3憶ドルで妥結した。

 このように要求額にはるかに及ばない3憶ドルのみを受け取った状況で、強制動員慰謝料請求権も請求権協定の適用対象に含まれていたとは、到底考えにくい。」(「大法院判決書」同上括弧5参照)と述べている。これは驚くべき詭弁であると言えよう。なぜなら、以上の交渉経過を見れば、韓国側は明らかに植民地支配や侵略戦争による日本企業の「反人道的な」不法行為による「徴用工」個人の慰謝料請求権に基づく補償を日本政府に対して実際に要求しているのであり、且つ無償3憶ドルがたとえ不満であったとしても、最終的には承諾し何らの留保もなく漫然とこれを受け取っているからである。そのうえ、韓国側からは、日本企業の「反人道的な」不法行為による「徴用工」個人の慰謝料請求権だけは特別であるから、これを「日韓請求権協定」から完全に除外するとの特段の意思表示もされていない。そうすると、法理上は「徴用工」個人の慰謝料請求権が「日韓請求権協定」に含まれていることは明白であり、到底否定することはできないのである。このように、「日韓請求権協定」成立の過程における韓国側の意思と行動を見れば、「徴用工」個人の慰謝料請求権が同協定に含まれていることは明らかである。

 次に、上記の(3)については、韓国政府が「日韓請求権協定」の成立以来長期にわたって、「徴用工」に対する補償措置を行ってきたこと、2005年8月26日の韓国民官共同委員会が、慰安婦問題などは「日韓請求権協定」には含まれていないが、同協定により日本政府から受領した無償3憶ドルには「徴用工」の補償問題を解決するための資金などが包括的に勘案されたと認めていること、などの韓国側の一連の対応は、「日韓請求権協定」には「徴用工」の損害賠償請求権が含まれていることを前提としたものと言える(「大法院判決書」9のイの括弧5参照)。以上に述べた通り、前記(1)(2)(3)の要件をいずれも充足することは明らかであるから、「徴用工」個人の慰謝料請求権は1965年に日韓両国で締結された「日韓請求権協定」によって法的には完全且つ最終的に消滅し解決済みであることは明白である。

 よって、今回の韓国大法院判決は、1965年成立の国際法である「日韓請求権協定」に明らかに違反し、且つ条約法に関する条約26条及び31条にも違反する国際法違反の違法な判決であると言う他ない。しかるに、日本共産党など一部野党は、今回の韓国大法院判決の多数意見を擁護し、日本政府に対して韓国政府との話し合いによる「徴用工問題」の解決を求めている。しかし、政府与党はもとより、立憲民主党、国民民主党などの他の野党は、いずれも、「徴用工問題」は「日韓請求権協定」によって解決済みであり、仮に「徴用工」個人の慰謝料請求権が消滅していないとしても、同協定に基づき韓国政府において対応すべき問題であるとの立場を表明している。弁護士でもある立憲民主党の枝野幸男代表も10月31日の定例記者会見で、「徴用工判決は大変遺憾である。1965年の日韓請求権協定に基づく対応を韓国の行政府に求めたい。」と述べたが、法的に全く正当な見解であると同時に日本の国益を踏まえた見解であると言えよう。(おわり)

(連載1)韓国大法院「徴用工判決」の法的検証  ツリー表示
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-21 20:08  
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3450/3466
 韓国人「元徴用工」4人が新日鉄住金を相手に損害賠償を求めたいわゆる「徴用工訴訟」で、韓国大法院が10月30日に同社の上告を棄却したため、総額4憶ウオン(約4000万円)の賠償を命じる判決が確定した。現在韓国では少なくとも14件以上の「徴用工訴訟」が起こされ、請求額は総額232憶ウオン以上に上り、被告の日本企業は約70社以上で、新日鉄住金をはじめ、三菱重工業、東芝、日産自動車、パナソニック、日本郵船、住友化学、王子製紙など日本を代表する企業が並んでいる。

 韓国政府はさらに「強制労働動員企業299社のリスト」を作成している。韓国では22万人規模の「徴用工被害者」がいるとされ、賠償額が一人1000万円とすれば、被告とされた日本企業にとっては総額2兆円以上の天文学的な巨額負担となる。そのほかに、北朝鮮や中国の「徴用工」や「強制労働」等の問題も存在し、今回の韓国大法院判決の影響は誠に甚大であり計り知れない。それだけに、今回の韓国大法院判決の多数意見が認めた「徴用工」個人の慰謝料請求権が、1965年に日韓両国で締結された「日韓請求権協定」に含まれるのかどうか、同協定によって消滅したのかどうか、についての日本政府による総力を挙げた法的検証作業が必要不可欠であり、韓国政府に対する日本政府の一日も早い法的対応が求められるのである。

 国際法の一般理論によれば、国家間で締結した請求権放棄の条約や協定によって、当然には相手国や相手国国民に対する自国民個人の権利や請求権が放棄され消滅することはないとされるが、戦後賠償交渉などにおいて、国家間で個人の権利や請求権をも含めて完全且つ最終的に一括して解決する、いわゆる「一括処理協定」は国際慣習法上一般に認められた条約の形式である。その代わり、国家が自国民に対して補償をするのである。そして、日韓両国間で国民個人の権利や請求権を相互に消滅させる「一括処理協定」が成立し有効であるかどうかは、(1)条約や協定の条文の内容と解釈、(2)条約や協定の成立過程における両国の意思と行動、(3)条約や協定成立後の両国の対応等が極めて重要であると解される。本件についてこれを見ると、まず、上記の(1)については、「日韓請求権協定」2条1では、「両締約国は、両締約国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、サンフランシスコ平和条約4条aに規定されたものを含めて完全且つ最終的に解決されたことを確認する。」となっており、2条3では、「一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権については、いかなる主張もすることができないものとする。」と規定されている。そして、サンフランシスコ平和条約4条aでは、「日本国およびその国民に対する相手国住民の請求権(債権を含む)の処理は、日本国と相手国との取り決めの主題とする」となっている。

 これらの条文を併せて通常の意味に従って読めば、日本国および日本国民に対する韓国国民個人の請求権は、両国の取り決めの主題となり、債権たる慰謝料請求権をも含めて1965年に成立した「日韓請求権協定」によって、上記「一括処理協定」により、完全且つ最終的に解決し消滅した事実が法的に確認されていると解される。なぜなら、以上の条文からは、「徴用工」の慰謝料請求権だけはこれを除外するとの解釈は到底成り立たないからである。上記の解釈は、条約法に関するウイーン条約31条の「条約は通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする」との規定にも適合すると言えよう。したがって、自国民の相手国及び相手国国民に対する請求権等は、相手国に代わってすべて自国政府において補償すべき問題なのである。いわゆる柳井俊二外務省条約局長の「日韓請求権協定で個人請求権は消滅しない」旨の1991年8月27日参議院予算委員会答弁は、日本政府の日本国民に対する補償責任を回避するための答弁であり、「日韓請求権協定」が「一括処理協定」であるとすれば、不適切な答弁と言えよう。このように、「日韓請求権協定」の条文の内容と通常の意味における解釈からすれば、「徴用工」個人の慰謝料請求権が同協定に含まれ、完全且つ最終的に消滅し、解決されたことは明らかである。(つづく)

(連載2)日ロ平和条約が第二の日ソ中立条約になる? ← (連載1)日ロ平和条約が第二の日ソ中立条約になる?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-20 09:46 [修正][削除]
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3449/3466
 一方の日本国も、同条約がなければ、南方に戦線を拡大するよりも満州国の国境地帯に兵力を集中させたかもしれません(石油資源はインドネシアではなく、ドイツとの協力の下でソ連邦のバクー油田に求めたかもしれない…)。そして、千島列島や樺太のみならず、満州国や朝鮮半島でも、ソ連参戦時における民間人虐殺といった惨事を回避することができたことでしょう。同条約の締結は、目立たないように見えて、第二次世界大戦の流れを大きく変えたといっても過言ではないのです。

 そして、日ソ中立条約が歴史の教訓を残しているとしますと、それは、順法精神に欠けた国とは軍事的な約束を結んではならない、という戒めなのではないでしょうか。今般の日ロ平和条約も、米軍基地排除条項は、将来においてロシアが一方的に条約を破棄、あるいは、無視し(日中友好平和条約も既に空文化…)、日本国に対する軍事侵攻を試みた場合、第二次世界大戦末期の二の舞となる可能性を否定はできないように思えます。米軍基地を置かないとしても、自衛隊基地を設ければよいとする意見もありましょうが、ロシアは核保有国であることに加えて、軍事大国ロシアに対峙する北方の守りとしては手薄感があります。特に、将来的に米ロの対立が先鋭化した場合、アメリカにとりまして在日米軍基地は世界戦略上の重要な軍事拠点ですので、米軍基地排除条項は、日米両国に課せられた軍事上の制約条件ともなりましょう。

 もっとも、考えてもみますと、日本国内における在日米軍基地の最北端は青森県の三沢飛行場であり、現状にあっても北海道には米軍基地が設置されていないことから(ソ連邦(ロシア)を刺激しないため?)、米軍基地が北方領土問題の‘棘’であるとするロシアの主張は日本国への領土返還を拒む理由付けに過ぎず、真の目的は、米軍基地の問題を持ち出すことで日米同盟に揺さぶりをかけ、北方領土問題を日米離反に利用することなのかもしれません。

 あるいは、米中対立の深刻化を受けて、日米がロシアに対して譲歩している可能性もないわけではありませんが、ご都合主義的なソ連邦との同盟がもたらした期待外れの結末は、第二次世界大戦における連合国の歴史もまた証明しております(結局、共産主義国家ソ連邦が周辺諸国を頸木で繋ぎ、冷戦が発生した…)。何れにいたしましても、日本国政府は、ロシアによって条約を反故にされた苦い歴史的教訓を忘れてはならないのではないかと思うのです。同じ轍を踏まないよう、ロシアとの交渉に際しては筋を通し、迂闊に譲歩してはならないのではないでしょうか。(おわり)

(連載1)日ロ平和条約が第二の日ソ中立条約になる?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-19 19:16  
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3448/3466
 報道によりますと、ロシアとの平和条約締結に向けて意欲を示した安倍晋三首相は、返還される北方領土には、米軍基地を置かない意向をロシア側に伝えたそうです。北方領土問題の解決を困難としてきた最大の要因はロシア側の軍事戦略上の対米懸念であったとする認識に基づく提案であり、この‘棘’を抜くことこそ、同問題解解決への最大障壁を取り除くことに他ならないと考えたのでしょう。

 しかしながら、相手国がロシアなだけに、仮に、米軍排除条項を含むのであれば、日ロ平和条約は、第二の日ソ中立条約になりかねないリスクがあります。日ソ中立条約とは、第二次世界大戦の最中の1941年4月に、ユーラシア枢軸構想、即ち、日独伊ソ四国同盟構想の下で、日本国とソ連邦が相互に中立を約した条約です。

 1945年8月8日の対日参戦に際してソ連邦が一方的に同条約を破ったため、日本国側は、ソ連邦の対日参戦、並びに、その後の北方領土の占領とソ連邦の国内法による併合は、国際法上の違法行為と見なしています。とりわけ、北方領土問題については、日本国のみならず、アメリカをはじめとした旧連合国諸国でさえ、ソ連邦違法説が共有されているのです。

 仮に、日ソ中立条約が存在していなければ、第二次世界大戦は全く違った展開を遂げていたことでしょう。ソ連邦は日独の挟み撃ちにあい、西方のヨーロッパ戦線に全兵力を投入することはできなかったはずです。ソ連邦が最も恐れていた東西二正面戦争を避けられたのは、偏に日ソ中立条約が締結されており、しかも、日本国が、この条約を誠実に遵守したからに他なりません。(つづく)

前向きに評価したい就活、ルールなき戦い   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-11-16 17:07 [修正][削除]
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 欧米には新卒の一括就職という仕組みはほとんどありません。一部では確かにありますが、企業は採用のモチベーションにその人の経験と能力を厳しく問う姿勢を貫いています。私は日本企業の生産性が何年たっても先進国で最低水準にあるその理由の一つに就職の仕組みがあると考えています。何ができるか、あるいは何を経験したか、その時、何を感じたか、これが就職インタビューのキーです。なぜなら企業と従業員の関係は仕事と報酬という極めてドライな関係にあるからです。もちろん、企業の経営効率を上げるために福利厚生、従業員間のコミュニケーションや参加型プログラムで会社と一体化できるような仕組みは多々ありますが、究極的には雇用者と被雇用者の関係以上の何物でもありません。ストックオプションでも提供しているなら「いや、違う」ともいえるのでしょうが、日本ではそんな会社はわずかでしょう。

 日本における就活はブランド競争以外の何物でもありません。学生にとってコマーシャルなどを通じた認知力でBtoCの企業が人気化しますが、BtoBや海外売り上げが多い会社などはなかなか陽の目をみません。なぜなら学生自身が何をやりたいのか、ほとんど意識できるような経験を踏んでいないのですから無理もないことです。そんな学生が企業に勤めると「こんなはずじゃなかった」と大量退職となり、3年もすれば3割減るという業種もあります。また大企業では出向で違う会社に出されるのが当たり前の時代です。言い換えれば学生も企業も真の意味での就職に対するアマチュアであります。人事部は経営方針に基づく目標人数を採用するために必死の努力でどうにかこうにか、優秀と思われる学生の頭数をそろえてようやく首がつながるぐらいの感じでしょう。

 就活ルールがなくなるという今回の経団連の爆弾発言は、会長の中西宏明氏の事前シナリオになかった話でその発表を聞いて事務方が大慌てになったという逸話があります。中西氏といえば日立製作所時代、リーマンショックで傷ついた同社に子会社から舞い戻り、V字回復をさせた立役者の一人であります。その中西氏の思うところは「経団連の時代ではない」ということかと思います。実際に通年採用をする会社は増殖しています。ファーストリテイリング、楽天、ソフトバンク、ヤフー、DeNA、リクルート、ネスレ、メルカリ…といった人気企業や秋採用や秋冬採用などを取り入れる有名企業はごく普通にあります。

 つまり、大学4年3月で卒業して就職しなくてはいけないというシナリオは不必要とも言えます。かつて東大が海外に合わせて秋入学の検討をしたことがありましたが、卒業後の半年のブランクの問題があり断念した経緯があります。就活のルールなき戦いに対して青田刈りのリスクが出てきていますが、これは学生が自分自身をよく見据えて安売りせず、じっくり勉学するぐらいの気持ちの切り替えをしてもらいたいところです。大学の4年間に一番大事なのは何をどれだけ経験したか、であります。バイトして、酒飲んで、クラブ活動に没頭というパタン化したライフではなく、自分だけのきらりと光る世界を見出してもらいたいのです。ルールがない、ということは学生は卒業してからでも就活できるわけでなぜそんなに急いで自分の将来を固めるのだ、という疑問が当然わいてくるでしょう。青田刈りなんて企業にも学生にも百害あって一利なしなのです。個人的には中西氏の英断は5年後の日本の就職と企業のポジションを大きく変える本当に意味での爆弾だったと思います。もちろん、良い意味で、ということです。

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