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2025-07-29 11:10

イスラエルをここまで増長させてきたのはアメリカで、その失敗の責任を取らせることが重要だ

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 2023年10月から始まったイスラエル・ハマス紛争はイランやシリア、レバノンを巻き込んでの地域紛争となっている。イスラエルがシリアやレバノンを攻撃し、紛争を拡大している。イスラエルに対しても、イランからのミサイル攻撃が実施されるなど、厳しい状況が続いている。ガザ地区ではイスラエル側による住民への非人道的な攻撃が続いている。

 イスラエルがなぜこのような残虐な行為を続けているのか。自国の安全保障のため、自国の存在を守るためという理由付けがされるが、実際のところは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が自身と家族のスキャンダルによる裁判、投獄を避けるために、権力に妄執し、極右勢力を内閣に引き入れて、戦争を継続、拡大させているからだ。自身の汚職の責任を取りたくないために、投獄されることを避けるために、首相の座を握る必要がある。そのために戦争を拡大させている。このことは、2024年に出した、佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相』(秀和システム)で、佐藤先生が指摘している。そのことがアメリカでも報道されているようだ。

 そして、ガザ地区の紛争ぼっ発当初からの窮状について、その時に政権を握っていた、ジョー・バイデン前大統領と側近たちは、その実情を知りながら、知らないと嘘をつき、そのようなことは起きていないと嘘を重ねながら、イスラエルを支援し続けたという告発がなされている。バイデン政権のそのような虚偽を押し通す姿勢に抗議して職を辞した人物たちもいて、そうした人々が声を上げている。遅きに失したという批判はあるだろうが、声を上げない(ゼロ)よりも、声を上げる(イチ)ということは、「ゼロからイチへ」という大きな行動である。

 現状、ガザ地区で日々命の危機に去られている人々への責任は当事者全てにある。アメリカは免罪されない。アメリカこそが重大な責任を負っている。ネタニヤフの延命に手を貸しているということでいけば、イスラエル国民に対しても責任を負っている。ドナルド・トランプ大統領が登場して、イスラエルへの支援を続けている。状況は変わっていない。しかし、トランプ大統領はイラン空爆を行って、事態を一応収めている。イスラエルにこれ以上の攻撃は無用、もし攻撃をすればアメリカの意向に反する行為だと釘を刺している。ネタニヤフはガザ地区で非人道的な攻撃を繰り返して、イランやイスラム組織を挑発し、先に手を出させて、イスラエルの攻撃の正当性を担保しようとしている。どこまでいっても、ガザ地区の人々は救われない。大きく見れば、世界的にイスラエルとアメリカが行っている行為は、多くの批判を浴び、怒りを集めている。結局のところ、これらはイスラエルとアメリカの国益に適わない。無理に無理を重ねていけばいつか続かなくなる。イスラエルの国際社会での立場はのけ者にならざるを得ない。イスラエルの良識ある勢力が権力を獲得することが何よりも重要だ。
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