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「専守防衛」と「抑止力」は矛盾しない   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-20 18:38 [修正][削除]
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3181/3181
 今回の衆議院選挙の争点の一つとして「憲法9条改正問題」がある。この問題を考える場合、論点を整理しておく必要がある。まず、憲法9条が国家の自衛権を否定したものでないことは、歴代政府の確定した憲法解釈であり、最高裁判所の判例である。昭和34年12月16日の砂川事件最高裁大法廷判決は、「憲法9条は、我が国が主権国として有する固有の自衛権を何ら否定していない。我が国が、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を取り得ることは、国家固有の権能の行使であって、憲法は何らこれを禁止するものではない」(「判例時報」208号)と判示している。

 憲法9条が、国家の自衛権を否定していないことについては、自民党から共産党まで異論がなく、憲法学者にもほとんど異論がない。問題は、自衛権を担保するための実力組織である自衛隊の保有が憲法9条に違反するかどうかで見解が分かれていることである。しかし、自衛権の存在を認めながら、これを担保するための実力組織である自衛隊を違憲として否定することは、論理矛盾であろう。なぜなら、実力組織がなければ自衛権を担保することはできず、自衛権の存在は有名無実となるからである。自衛隊違憲論を唱える憲法学者の中には、実力組織がなくても、平和外交の推進や、ゼネストなど国民のレジスタンス運動によって、侵略を防止し平和を維持できると主張する学者もいる。しかし、核ミサイルで日本列島を海に沈めると恫喝する北朝鮮の脅威や、核を保有し軍拡を進める中国による尖閣諸島奪取の危険性などを考えれば、これがいかに非現実的且つ危険な主張であるかは明らかである。

 そもそも、国家の自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権があるとされる(国連憲章51条)。このうち、個別的自衛権からは、いわゆる「専守防衛」の考え方が出てくる。「専守防衛」とは、他国から攻撃されない限り攻撃しないという考え方であるとされる。しかし、「専守防衛」を貫くためには、他国から攻撃されてから反撃するのではなく、他国からの攻撃をあらかじめ抑止することが最も重要であり、「専守防衛」と「抑止力」は決して矛盾しないと言えよう。

 そうだとすれば、「抑止力」特に「核抑止力」を高めるためにアメリカとの同盟関係の一層の強化と、日本自身も攻撃を抑止するに足りる能力を保有することが求められよう。ミサイル防衛の強化のみならず、敵基地攻撃能力や核兵器の保有なども、我が国を防衛するための「必要最小限度」である限り、憲法上禁止されず合憲であり、政策判断の問題であることは、歴代政府の確定した憲法解釈である。このように、「専守防衛」と「抑止力」は決して矛盾せず、むしろ表裏一帯の密接不可分の関係にあるから、「抑止力」を高めるための憲法9条改正や防衛力の強化は、「専守防衛」に反するものではないばかりか、日本にとって喫緊の課題であると言えよう。

人の心理を無視しがちな経済学   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-18 12:50 [修正][削除]
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 経済学は、人の心理というものを無視しがちである。今回、ノーベル経済学賞受賞が決まった米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授は経済学に心理学を取り込んだ行動経済学への貢献が評価された。たとえば株式市場は新たな情報を速やかに織り込んで株式の基本的価値を反映するというのが従来理論なのだが、現実にはそうならない。投資家は将来の収益よりも目先の損失リスクを気にするからだ。そうみると、ばかばかしいくらい当たり前のセイラー理論だが、株価に限らず、われわれが暮らす消費経済も、とんでもない間違った見方によって支配されている。

 典型例が消費税である。今回の衆院選挙の最大の争点は結局、消費税増税とその税収の使途になってしまい、衆院解散理由の「国難」の矮小化もはなはだしい。消費税に関する大方の見識そのものがフェイク(でっち上げ)なら、なおさらのことだ。まず、2年後に予定通り消費税率を10%にし、それによる税増収分の一部を教育・子育て支援に回すので、景気に及ぼす悪影響は避けられるという安倍晋三首相の言説はどうか。消費増税に奔走した民主党政権の野田佳彦前首相は「増税しても、税収を社会保障充実に回すので家計の将来不安はなくなり、景気はよくなる」と言い張り、自民・公明を巻き込んだ「3党合意」で増税法案を成立させた。

 2014年4月からは消費税率8%に引き上げられたが、持ち直していた家計消費は一挙に落ち込み、いまだに11年の東日本大震災時の水準すら下回っている。経済の机上の計算では増税しても、財政支出をその分増やせば、景気に及ぼす影響はない。実際には14年度一般会計消費税増収分の5兆2000億円のうち9400億円しか社会保障に回していない。安倍首相はその点を意識しているから、上記のような増税後の配分案を示す。だが、仮に増税で家計から巻き上げた税金相当分を全額、教育・社会保障などで家計に還元するとして、理論通りに消費には打撃を与えないのだろうか。実際には、家計は増税前に駆け込み消費に殺到する。そしてその後は、一挙に財布のヒモを締める。教育支援などでカネがばらまかれてもそっくり消費に回すだろうか。

 多くの家計は消費の水準を抑制し、政府から支給されるカネの大半を貯蓄に回すのが、消費者心理というものだ。この行動原理は増収分の一部を家計に返す場合でも変わらないはずだ。その場合、財政は緊縮、家計は消費抑制というパターンになり、デフレが続くことに変わりない。希望の党の「消費税増税凍結」はどうか。無用な悪影響を回避するという点では正解だが、代わりに、財政支出を大幅に削減する考え方が底流にある。消費増税をしなくても、社会保障や公共投資をカットすれば、不況になるという定理は事実が証明しているのだから、注意すべきだ。

(連載2)臨界点を迎えようとしている朝鮮半島危機 ← (連載1)臨界点を迎えようとしている朝鮮半島危機  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-18 10:27 [修正][削除]
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 発射準備態勢にあるICBMを空爆により叩くという選択肢には多くの問題がある。そうしたICBMを空爆により確実に叩くことができるであろうか。空爆による破壊対象を発射準備態勢にあるICBMだけに絞るとしても、金正恩の目には北朝鮮に対する大規模な空爆と何ら変わらないと映るであろう。その結果、米軍による空爆に対し、金正恩が直ちに大規模な報復行動に打って出るという道筋が導かれよう。2017年4月25日に実施された最大規模の砲撃訓練で示された通り、南北を分ける軍事境界線の北側に張り付けた朝鮮人民軍砲兵部隊が力の限りを振り絞りソウルを「火の海」にすべく砲撃を浴びせることに加え、朝鮮人民軍の大機甲部隊が韓国領内に雪崩れ込むことが想定される。もしもそうした事態へと及べば、米韓連合軍は否応なく猛反攻へと転じることが予想される。この結果、大規模の軍事衝突が朝鮮半島中央部で発生しかねない。緒戦で朝鮮人民軍が優位に立つことがあるとしても、時間の経過と共に米韓連合軍が優勢になると推測される。その後、米韓連合軍は軍事境界線を突破し、北朝鮮全土の制圧に向け北進を決断する可能性が高い。

 他方、米韓連合軍による北進が習近平指導部に重大な決断を突きつけることは疑問の余地はない。習近平指導部も自らの権益を確保すべく軍事介入を決断せざるをえない可能性がある。中国共産党系メディアの『環球時報』が4月22日付けの論説で論評した通り、米軍が軍事境界線を突破し北進することがあれば、中国は座視することはないであろう。そうなれば朝鮮半島において米中が激突するという最悪とも言える軍事衝突が起りかねない。そうした事態とは朝鮮戦争の再現であり、「第二次朝鮮戦争」と形容できるであろう。これと並行して、自暴自棄となった金正恩が核ミサイルを韓国やわが国に撃ち込むという決断に至る可能性がないわけではない。こうした展望はすべての関係国にとって何としても回避したい悪夢の展望である。

 このため、発射準備態勢にあるICBMの破壊に限定した空爆を断行したとしても、それがもたらしかねない連鎖反応を熟慮すれば、トランプは空爆を思い止まらざるをえないといった可能性もある。そうなれば、金正恩の思い描く道筋が実現に向かう可能性が出てくる。そうした道筋に従えば、遠からずして金正恩が対米ICBMの完成を高らかに宣言し、その上で米朝核交渉を開催し、トランプに核保有の容認を迫りたいところであろう。とは言え、そうした道筋をトランプがよしとする可能性は極めて低い。トランプは今後とも核保有を断固容認する用意がない結果、金正恩とトランプの間で睨み合いはますます尖鋭化するであろう。

 とは言え、双方がこれ以上睨み合いを続けることがこの上なく危険であること踏まえると、トランプが米朝核交渉に応じる可能性がないわけではない。その結果として金正恩が認めている筋書き通り、米朝核交渉が開催の運びとなる可能性はないわけではない。しかし核兵器の保有を容認せよという金正恩の要求と、非核化に応じろとするトランプの主張には全く妥協の余地が見当たらない。そうした隔たりを勘案すれば、かりに核交渉が開催されることがあるとしても、妥結に向けた展望は容易に開かれないであろう。この結果、交渉は遅かれ早かれ決裂する可能性が高い。決裂を待ち、金正恩は大規模の軍事挑発へと戻るのに対し、トランプはこれまで以上に厳しい経済制裁を骨子とする圧力行使を再開するであろう。その先に待ち受けているのは万策尽きた上での一触即発の事態なのである。対米ICBMの開発が佳境に入りつつあることに並行して、事態は極めて流動的で、この先、どのように展開するのか全く予測がつかない。朝鮮半島を巡る危機は臨界点を迎えようとしている。ひたひたと、戦争の足音が近づいてくる感を覚える。(おわり)

(連載1)臨界点を迎えようとしている朝鮮半島危機  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-17 10:25  
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 9月19日に国連総会の一般討論演説の場で、「米国自身、もしくは米国の同盟国を守る必要に迫られた場合、北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はなくなる」とトランプ大統領は金正恩を罵倒した。これに憤激した金正恩は「我々はそれに相応する史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮するであろう」と激しく反駁した。金正恩の声明を受ける形で、まもなく李容浩(リ・ヨンホ)北朝鮮外相は「史上最高の超強硬対応措置」とは「史上最高の水爆実験を太平洋上で実施するというものではないか」と発言したのは周知の通りである。李容浩が示唆した太平洋上での水爆実験は重大な懸念を喚起した。太平洋上で水爆実験を実施すると言うが、そうした実験は技術的に実行可能なのであろうか。李容浩の発言の趣旨はむしろ太平洋方向に向け核弾頭搭載のICBMを発射し、太平洋上で核爆発させることにあるのではないかと推測された。このことは形振り構わず対米ICBMの完成を目指す金正恩指導部が以前から企画してきた太平洋海域に向けたICBM発射実験であることを物語る。

 対米ICBMを完成させるためには「ロフテッド軌道」と呼ばれるように、極端な高角度でICBMを打ち上げ日本近海に着水させるというのではなく、通常軌道でICBMを発射し米国本土付近の太平洋海域に撃ち込む必要があることを踏まえると、国連総会での金正恩に対するトランプによる罵倒を逆手によるかのように、李容浩が金正恩の目論む発射実験を示唆したことを意味した。しかも李容浩がほのめかしたのは、核弾頭搭載ICBMを太平洋方面に向け発射させ、太平洋上で核爆発させることにある通り、ICBM発射実験と核実験の両方を一度に断行することを物語ったのである。もしも李の言う実験に成功するようなことがあれば、金正恩が最終目標に据える対米ICBMは事実上、完成すると考えられる。

 とは言え、対米ICBMの完成に向けた技術的な課題が解決されたわけではない。7月28日の「火星14」型ICBMの発射実験において潜在的な射程距離が一万キロ・メートルに及んだと推定されたとは言え、通常軌道での飛翔で太平洋方面に同等な飛距離を確保できるかどうか。またICBMの上部に搭載できるほどに核弾頭を小型化する技術を確立しているのか相変わらず不確実である。さらに核弾頭が大気圏に再突入する際に発生する猛烈な高熱と振動から弾頭を保護するだけでなく、確実に起爆させるという技術が確立されたかどうかについては一層の疑問が残る。こうしたことから、李容浩がほのめかしたのはむしろ金正恩が目指す最終段階の実験のことであり、同実験が直近に迫ったことを意味するわけではないであろう。上記の技術的な課題を解決するために幾つもの実験が繰り返し行われることが予想される。いずれにせよ、もし核弾頭搭載ICBMを発射し、太平洋上で核爆発させるようなことがあれば、米国に対する核ミサイル攻撃に向けたリハーサルとしかトランプの目には映らないであろう。そうした事実上の核ミサイル攻撃と思われる戦争行為をトランプが許容する余地は全くない。

 発射実験の可能性を殊の外重大視したトランプはICBM発射実験を断固阻止すべく姿勢を硬化させている。八月のグアム包囲射撃計画を巡る米朝の恫喝の応酬においてマティス国防長官は米領グアム島に向けてミサイルが飛来することがあれば、ミサイルを迎撃すると明言した。これに対し、核弾頭搭載ICBMの発射実験の可能性に危機感を露にしたトランプはミサイル迎撃で対処するというよりも、発射準備態勢にあるICBMの破壊を目指すことを示唆している。すなわち、ICBMの発射の兆候を事前に掴み、ミサイルに核弾頭が実際に搭載されていると判断されれば、空爆により直ちにICBMを破壊する作戦行動にトランプは打って出るのではないかという推測が広がっている。そうした先制攻撃は米国内で賛否両論を呼んでいる。これは未だかつてないほどの一触即発の非常事態を招来させかねない。もしも金正恩が核弾頭搭載ICBMの発射実験に向けて動き出し、これに対し発射実験を断固阻止すべく先制攻撃にトランプが打って出ることがあれば、これまで米朝間で繰り広げられてきた激しい言葉の戦争は一気に現実の戦争に変貌しかねないからである。(つづく)

野党は立憲軸に再編の流れ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-17 06:13 [修正][削除]
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 江戸時代の刑罰には、重い順に火あぶり、磔(はりつけ)、獄門、打ち首、遠島、江戸所払い、百叩きがある。昔の政界では大失政をした議員を「火あぶり磔の刑だ」とよく言ったものだが、今は社会が緩やかになったから極刑はやめておく。さしずめ小池百合子は百叩きの上遠島。前原誠司は江戸所払いといったところか。小池は女だてらに丁半ばくちに手を出して「丁!」と張ったが「半」と出た。希望の党は小選挙区、比例代表で計235人を擁立し、野党再編の核を目指した。しかし、小選挙区では最大でも23議席程度しか見込めず、10議席台にとどまる可能性がある。比例代表と合わせても57議席の公示前勢力はとても無理の感じだ。小池自身の「排除の論理」がたたって、政治の本流から「排除」されつつあるのだ。前原の誤判断も大きい。希望の党がブームを呼ぶと見て、本当に希望を抱いて民進党をなだれ込ませたが、これが大失敗。希望どころか地獄の苦しみを民進党議員にあわせてしまった。この結果、小池と前原の双方に責任問題が発生する公算が大きい。両者は政治家としての判断力を問われる事態に発展しよう。小池は世論調査では「都政に専念を期待する」声が70%に達していたにもかかわらず、危ない“火遊び”に手を出した責任は免れまい。都民の信頼は地に落ち、都議会でも与党の公明党が反小池の色彩を強めることが予想され、都政の運営は困難を極めるだろう。

 それでは選挙後野党は一体どうなるかだが、社会党以来の左派系有権者のよりどころとなりつつある枝野幸男が率いる立憲民主党を核に離合集散を始めざるを得ないだろう。野党が国会で共闘を組む形が考えられるが、年末までに政党を組織しないと1月1日に国からの資金が入らないから、急ぐ必要があるが、早くも野党のコップの中に嵐が生じつつある。問題は勢力を温存している参院民進党から提起された。同党参院会長の小川敏夫がしゃしゃり出たが、与野党から「参院は引っ込んでいろ」(立憲幹部)と総スカンを食らって敗退した。小川は「民進党は解党しない。民進党を守り、再びリベラル勢力を結集する」と民進党の参院議員の一部が衆院選後、希望の党に合流せずに民進党に残り、民進党を党として維持する動きをみせた。民進党を軸に再結集して再出発しようというわけだ。小川にしてみれば民進党には全国組織も残っており、政党交付金も100億円ある。これを武器にすれば、再編が可能とふんだのだ。

 しかし、小川は甘かった。民進党を捨てて希望に合流した連中は発言権など全くない。一方、立憲を組織した枝野にしてみれば、「一か八か」の勝負に出た結果、ようやく40台後半の議席を獲得しそうなのに、参院ごときから、かっさらわれてはたまらないというわけだ。枝野は「選挙が終わったので元のサヤに戻るのではなく、立憲民主を軸に民進とどう連携が取れるかを考えてゆく」とはねつけたのだ。首相・安倍晋三も分かりやすい批判を展開。「当選するためにどこかの党へ行く。選挙が終われば元に戻るという話もある。一体どうなっているのか」と皮肉った。民進党員ながら無所属で立つという、わけの分からない立候補をした元党幹部らも行き場がない状態だ。苦し紛れか岡田克也が「選挙が終われば無所属を軸に大きな塊を作っていかねばならない」と発言したが、何でも「軸」になればいいというものでもない。無所属とはヌエのごとき存在であることを知らない。まるで噴飯物だ。

 こうして小川の“先走り構想”は、ぽしゃったが、小川は後になって「私は存続している民進党を軸に自民党に対抗するリベラル勢力を結集する必要性を述べただけで、民進党への再結集とは述べていない」と逃げの手を打った。こうしてコップの嵐は曲がりなりにも左翼バネで政党を立ち上げた枝野を軸に進む方向となった。希望の党は民進党からの離党組が、常に党存続の危機をもたらす傾向をおびるだろう。しかし、希望の党を装って安保反対をベールにかけて当選しても、国民からはそっぽを向かれるのが落ちだ。小池ポピュリズムにすがって当選しても末路は哀れだと言うことだ。                                   

北朝鮮の弱みにつけ込み稼ぐ中国企業   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-14 11:15 [修正][削除]
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 いよいよ衆院解散、そして総選挙だ。北朝鮮情勢を国難としてとらえ、日本の危機を国政レベルで考える機会には違いない。そこで、気になるのは中国の対北政策だ。筆者は1年以上前から、トランプ米大統領の言う「ロケットマン」こと、金正恩朝鮮労働党委員長が核・ミサイル開発にいそしむことが可能なのは、中国からの貿易・金融支援があるからだとし、中国に対する米国の甘さを指摘してきた。それがここに来て、トランプ米政権が気付き、北朝鮮と取引する中国の企業や大手銀行に対し、制裁すると言い出すと、中央銀行である中国人民銀行は大手の国有商業銀行に対し、北との金融取引を打ち切るよう通達を出したという。

 中国の習近平国家主席は10月後半の党大会を控えている。米国から金融制裁を受けると、中国の大手銀行が国際金融市場でドルを調達できなくなり、信用不安が起きかねない。対米関係を重視する党内の勢力に批判を受ける。習政権としては、ともかくトランプ政権に協力するそぶりを示し、報復を避けるしかないと判断したのだろう。北の対外貿易の9割は中国が相手である。北は国連制裁を受けて主力の輸出項目である石炭輸出が大幅に減ってはいるが、中国からの対北輸出は増え続けてきた。その結果、中朝貿易は今年に入って以来、中国側の一方的な輸出超過になっている。この対中貿易赤字分は外貨で支払わなければならないが、外貨は不足している。その不足分を中国の銀行が信用供与しているから、貿易を拡大できた。しかし、中国の銀行がカネを貸さなくなれば、支払えなくなるので、北はモノを買えなくなる。そこで、北に対する制裁圧力が高まるはずだ。

 だが、これまでトランプ政権をだまし続けてきた習政権のことだ。約束通りに中国が北を締めつけるだろうか、疑問が残る。そんな中、米軍の情報関係者と意見交換したところ、やっぱりそうか、という話を聞いた。国連安全保障理事会は9月11日、6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採択した。石油禁輸を求める米国に反対する中国が石油輸出の上限を決めることで妥協したからだ。実際には石油の対北輸出量が最大になった昨年の水準を上限にしており、制裁の効果のほどは疑わしい。ところが、平壌から伝わってくるのはガソリンなど石油製品の高騰だ。

 米軍筋は「中国の輸出業者が北の弱みにつけ込んで、石油製品の供給価格をつり上げているからだ」という。それは今に始まったわけではなく、原油の供給価格は国際相場の2割程度高く設定しているという。対北石油製品平均輸出価格を、対韓国、対ベトナムと比較すると、確かに割高だ。なるほど、抜け目のない中国企業はがっぽり稼いでいる。ロケットマンはミサイルの矛先を太平洋ではなく、反対方向に向けてはどうかね。

北朝鮮とビットコインは一蓮托生か   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-14 11:07 [修正][削除]
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 国連安保理の枠組における制裁措置のみならず、日米をはじめ各国が北朝鮮に対する独自制裁を強める中、北朝鮮によるビットコインの取得にも警戒が必要となってまいりました。報道によりますと、北朝鮮は、既に外貨獲得の手段として仮想通貨であるビットコインのマインニング(mining: “鉱山採掘”)に乗り出しているそうです。ビットコインは、発行元から提示された高度な計算問題を最初に解いた者に報酬として提供されるため、問題の解答を専門とする業者は、金鉱山の採掘に擬えてマイナー(miner: 鉱山採掘者)と呼ばれています。否、マイニングにさえ成功すれば、事業者は、私人でありながらも、国家を排して直接に“貨幣発行益”を手に入れることができます(北朝鮮の場合、私人ではないが“国家ぐるみ”のマイナー…)。北朝鮮は、独自通貨である北朝鮮ウォンは国際通貨ではなく、法定通貨としての信用も低いため、核・ミサイル開発のために貿易決済に使用することはできません。しかしながら、ビットコインであれば、分裂したとはいえ、世界各地の取引所において各国の法定通貨と交換できますので、“おたずね者”にとっては、これ程、“マネーロンダリング”が容易な“貨幣”もないのです。
 
 ところが、ビットコインには、ブロックチェーンという仕組みがあるそうです。この仕組みは他の様々な分野にも応用できるそうで、フィンテックの中核的技術として期待されてもいますが、ブロックチェーンの仕組みとは、従来の通貨システムが中央集権型であるとしますと分散型であり、多くの人々が情報を共有することで不正ができない、つまり、衆人監視の下で通貨価値が維持されるシステムとして説明されています。つまり、その名が示すように、発行以降の全ての取引情報はチェーンの如くに繋がってゆき、データとして広範囲に記録されるため、永遠に消えることは無いということになります。この理解が正しければ、ビットコインとは、取引の都度、所有者が常に記録されている、即ち、特定できる仕組みとなります。仮に、北朝鮮がビットコインのマイニングに成功したとしても、現金取引とは違い、これをどのように使おうとも、“足がつく”ということになります。となりますと、ビットコインの取引所に対して北朝鮮が獲得したビットコインの取引を禁じる、あるいは、発行者に対して北朝鮮系マイナーの排除を求める措置を取れば(どの国が発行者に対する行政権を持つのであろうか?)、北朝鮮による使用を封じることができるはずです。それとも、ビットコインとは、これまでも犯罪組織の利用が懸念されてきたように、取引データとしての記録は残っても、その所有者については発行後の動きを追うことはできないのでしょうか。

 また、マイニングに成功するためには、大量の電力を消費する大規模なコンピューター設備を要するそうです。北朝鮮は、現在、厳しい経済制裁の下にあり、電力に余剰があるとは思えず、マイニング目的で大量の電力を消費すれば、国民生活はさらに逼迫することでしょう。エネルギー事情によって国内でのマイニングを長期的に維持することはできないしょうが、北朝鮮は、海外においてマイニング事業者を設立するかもしれません。マイナーの多くは、電力料金の安価な国に集中しているそうです。電力料金を支払うための外貨が必要となりますので、北朝鮮は、ここでも外貨の壁にぶつかりますが、北朝鮮系マイナーによる事業所設立を阻止するためには、各国政府が、ダミー会社をも含めて事業許可を与えないといった措置を要することでしょう。さらに、最近では、北朝鮮は、サイバー攻撃によってビットコインの盗取を企てたという情報があります。今般の事件では、被害は発生しなかったそうですが、仮に、この窃盗行為に成功すれば、ブロックチェーンによって“ブロック”されているビットコインは安全という神話も崩壊します。

 そもそもビットコインの発行とは、私人による一種の“通貨偽造”ですので、初めからいかがわしい存在なのですが、北朝鮮が絡むことで、さらにそのイメージは悪化しそうです。そして、仮に、北朝鮮がビットコインの入手により経済制裁によるダメージを緩和し得るとしますと、それを許すビットコインに対する批判もさらに高まることでしょう。しかも、上述したような、北朝鮮のビットコイン使用を完全に封じ込める措置を取ろうとすれば、ビットコインの取引や使用を許している全ての諸国の緊密な協力を要します。この一件は、北朝鮮のみならず、国際社会において改めてビットコインのリスクと問題性をも問うているように思えるのです。

日本の危機の元凶は消費税増税   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-13 17:45 [修正][削除]
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3174/3181
 安倍晋三首相の衆院解散総選挙決断のきっかけは緊迫する北朝鮮情勢だという。自衛隊の位置づけを正常化させる憲法9条の改正をめざす首相がこの機をとらえて、国民の信を問うのは至極もっともだが、衆参両院での3分の2の多数、さらに国民投票という途方もないプロセスを経なければならない。銘ずべきは、日本の真の危機はかの金正恩朝鮮労働党委員長の所業によるというよりも、自身の経済の弱さから来ているという現実だ。北朝鮮経済はリーマン・ショックで打撃を受けたが、膨張が加速する中国経済に連動するように成長を遂げてきた。北の貿易の9割を占める中国が北をモノ、カネ両面で支援してきたからだ。

 国連統計によれば、北の国内総生産(GDP)は実に日本のそれの0・4%にも満たない。そんな経済零細国が核・ミサイル開発に巨費を投じることができたのは中国の協力のおかげである。北朝鮮問題というのは、中国膨張の副産物なのだ。中国と対照的なのは日本経済である。アベノミクスにもかかわらず、ドル・ベースでの2016年の日本のGDPは、12年に比べて1・2兆ドル減り、同2・6兆ドル増の中国との差を大きく広げられた。景気はここにきてようやく回復し始めたのだが、14年度の消費税増税と緊縮財政に伴う経済の萎縮分を取り戻せないでいる。

 故三島由紀夫は47年前、「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残る」と警告したが、今や「極東の経済大国」の存在感すら薄れている。北朝鮮による拉致被害者家族会は最近、訪米したが、米政府、議会や国連などの関係者からは「日本は何をしているのか」と一様に聞き返されたという。北朝鮮問題は増長する中国に対して退潮する日本という構図の一コマでしかないはずだ。そんな文脈で考えると、日本経済を大きく萎縮させた14年4月からの消費税増税こそは北朝鮮の核・ミサイルと同等、もしくはそれ以上のスケールの日本の危機の元凶なのだ。

 安倍首相はこの際、19年10月に予定している消費税再増税を凍結すると宣言すべきではないか。その意味は、日本経済再生を果たすという政治意思の鮮明化であり、景気が少しでも上向けばただちに増税と緊縮財政に切り替える財務官僚型政策路線からの決別である。首相は、前回の消費税増税がいかに失敗だったかと周辺に吐露しているようだが、率直に有権者全体に説明すべきだ。対する民進党は支離滅裂な党内事情から自滅しつつある。「解党的出直し」を図るなら、民主党政権時代の消費税増税推進路線がいかに誤りだったかを、それこそ総括すべきだろう。前原誠司代表が「社会保障財源確保のための消費税増税」という破綻論理にしがみつくのは滑稽きわまりない。失敗に目をつむり、経済再生の具体策を示せない者が憲法改正を口にするのは、軽薄過ぎよう。

韓国への技術流出を許す日本政府   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-13 10:04 [修正][削除]
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 アメリカでの原発事業で生じた巨額欠損に機に発生した東芝メモリの売却問題は、二転三転しながらも、ようやく日米韓連合への売却が凡そ決定したそうです。しかしながら、報じられる情報によりますと、この合意内容では、技術の海外流出を防ぐことはできないのではないかと思うのです。東芝メモリの売却問題については、同社の半導体が防衛や安全保障分野でも使用されており、かつ、日本国内に先端技術と雇用を残すべきとする判断から、日本国政府も深くかかわることとなりました。半導体とは“産業のコメ”と称されるように極めて裾野の広い製品分野であり、日本経済を根底から支える基盤でもあるからです。買収に名乗りを上げていた鴻海科技集団への売却の線が消えたのも、この理由に因ります。

 ところが、今般の日米韓連合への売却条件では、連合の一角を成す韓国SKハイニックスへの技術流出が起きることはほぼ確定的となります。何故ならば、SKハイニックスに対して設けられている議決権付株式に関する15%の取得制限、並びに、東芝メモリの機密へのアクセス制限は、僅か10年間に過ぎないからです。言い換えますと、10年後には、SKハイニックスは株式保有比率をさらに引き上げ上げ(ベインキャピタルが自らの持ち分を譲渡するとする説も…)、しかも、東芝メモリの“虎の子”とも言える産業機密を合法的に入手できるのです(各国・地域の競争当局による合併審査可で不許可となる能性も…)。

 東芝メモリに関するSKハイニックスの経営戦略とは、東芝メモリを技術ごと吸収し、規模の拡大でトップを走る韓国サムスン電子に対抗する共に、米半導体メーカー等を買収しつつ急速にシェアを広げている紫光集団といった中国勢との競争激化に備えることにあると推測されています。となりますと、今般の日米韓連合への売却とは、まさしくSKハイニックスの経営方針に沿った同社の利益のための決定であり、日本政府がこの売却を許したとしますと、一般の日本国民には背任行為と認識されることでしょう。資本参加はウェスタン・デジタルとの訴訟が解決した後とは言え、同連合の最大の出資者は、日本国の産業を支えるために国費を注ぎ込んで設立された日本国の産業革新機構であるからです。

 この売却が実現しますと、たとえ産業革新機構を含めた日本勢で株式の過半数を押さえたとしても、肝心の技術が海外に流出するのでは本も子もありません。近年の日本企業低迷の原因の大半は、海外企業による株式取得よりも技術流出にあり、東芝メモリこそ、過去にはSKハイニックスの産業スパイ行為によってシェアを奪われています。この売却劇が、日本側は資金だけを負担し、利益だけは韓国に流れる結末となるならば、税負担者でもあり、産業革新機構の真の“株主”である一般の日本国民は、納得しないのではないでしょうか。

習政権の策謀に引っかかった米国   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-11 11:45 [修正][削除]
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 国連安全保障理事会は9月初め、北朝鮮への新たな制裁決議案を採択した。原油や石油製品の輸出上限枠を設けたことや、北からの繊維製品輸入を禁止したことから、メディアの多くは「大幅な制裁強化」と評価するが、だまされてはいけない。外交官僚が「成果」を取り繕っただけである。中国が強力な米国案を葬り去ったというのが真相だ。石油製品上限枠、年間200万バレルの設定を例にとろう。対北輸出のほぼ全量が中国からの輸出である。中国の輸出入管理・税関事務を行う中国海関総署統計をもとに作成したのが本グラフである。パイプラインを通じた中国からの対北原油供給は同総署の管轄外だが、石油製品についてはデータを把握している。

 それによると、習近平政権下の中国は対北石油製品輸出を増やし続け、2016年年間で200万バレルの水準とし、2年半で倍増させた。そして、今年に入って減らし、7月までの1年間では158万バレルに落ち込んでいる。すると、今回の「制裁」による上限を大きく下回っているのだから、今後中国は制裁破りの非難を浴びることなく、北向けにガソリンや重油、軽油の輸出を増やせるではないか。国連制裁決議は原油の対北輸出を過去12カ月間の合計量、すなわち現状維持としており、削減されるわけではない。習政権は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し、「米国の石油禁輸案を引っ込めさせたし、従来通り供給できるようにした」とするメッセージを発したことになる。朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)で北と「血の友誼」を交わした中国共産党の習総書記は今月の党大会で、「対米譲歩」の批判をかわし、権力基盤をさらに固めるわけだ。

 トランプ政権はまたもまんまと、習政権の策謀に引っかかったわけだが、これまでの安保理の制裁決議で石炭などの輸入を全面禁止しており、繊維製品を禁輸対象としたことで、米国のヘイリー国連大使は「北朝鮮の輸出額の9割以上が禁輸対象となった」と強調した。しかし、中国などを経由した迂回輸出ルートはいくらでもあり、実効のほどは疑わしい。トランプ大統領は北朝鮮の核実験直後の9月3日、「北朝鮮とのビジネス取引を行う国との貿易を停止する」と息巻いたが、対北制裁の最大の障害になっているのは中国だ。

 中国は石油製品と同様、鉄鋼製品も対北輸出を増やしてきた。石炭、そして今回の繊維のように、国連がいくら輸入禁止を決議しても、北は外貨の制約から免れている。北が輸入を増やせるのは、中国から信用を供与されているからだ。本欄で指摘してきたように、最も効き目のある対北抑止策は、中国の金融機関に対する制裁なのだ。その点、トランプ政権の一部は気付いているが、中国側の激しい反発を恐れてもいる。この期に及んでも同政権は「北を抑えられるのは中国」との幻想から抜け出せないのだ。

(連載2)レジリエント社会へ向けての政策を ← (連載1)レジリエント社会へ向けての政策を  ツリー表示
投稿者:児玉 克哉 (愛知県・男性・社会貢献推進機構理事長・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-05 23:13 [修正][削除]
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 土屋和也氏(日本地域創生学会首都圏支部長)は、普段からどうすれば災害から地域を、自分たちを守れるのか、そしてBCP(Business Continuity Plan~事業継続計画~災害等の不測の事態を想定して事業継続の視点から対応策をまとめたもの)の視点を用いて普段からの備えを考える重要性を話した。防災や災害復興において企業の視点も入れることは重要だ。災害は多くのものを破壊する。企業・経済活動の維持・復旧は復興において大きなポイントになる。生活基盤がなくなっては、復興は極めて難しく、時間がかかる。

 またこの災害ボランティア養成講座では、実践訓練(炊き出しや家屋倒壊を想定した救助方等)も行われた。災害が起きる前にどのような対策をして、起きた時にどのような対応ができるのか。自然災害は突発的にやってくる。避けられない場合が多い。それに対応する力、つまりレジリエント力が重要なのだ。

 レジリエントとは英語の\"resilient\"(名詞形)で、一般的には「(困難に)負けない」「抵抗力のある」という意味だ。最近は、防災の分野でも使われるコンセプトで、「防災力」とも訳される。つまり災害が起きてもレジリエントな(抵抗力がある・復興力がある)なまちづくりを目指そうということである。

 レジリエント社会、レジリエント国家をいかにつくるかが今後の課題だ。ソフト・ハードの両面から何が起こってもしっかりと対応し、復興していく社会を目指す。そのための政策はどうあるべきか。国民の意識改革も大切なポイントだ。間近に迫った衆議院解散総選挙でもぜひ、防災・復興対策も議論をしてほしい。災害大国日本において最重要課題のひとつであることは間違いない。(おわり)

(連載2)金正恩の目論見とその限界 ← (連載1)金正恩の目論見とその限界  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-05 10:06 [修正][削除]
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 北朝鮮の核保有を容認すべきではないかという見解が米国内で表れることを金正恩は心待ちしているに違いない。対米ICBMを完成することにより、米国は北朝鮮を正式に核保有国として遅かれ早かれ容認せざるをえなくなると、金正恩は希望的観測を回らしているのであろう。金正恩が目論んでいるのは既述の通り、北朝鮮の核保有を容認し、米朝平和協定の締結を米国に迫ることである。米朝核交渉が開催されることがあれば、金正恩指導部の目論見は明白である。韓国を蚊帳の外に置いた米朝平和協定を締結し、できることならば米韓連合軍司令部を解体すると共に在韓米軍を撤収に追い込みたいところである。これが米国との激烈な戦闘を戦い抜き朝鮮戦争休戦協定という苦渋の選択を強いられた金日成、その後を継いだ金正日、さらに金正恩に至る三代にわたる金体制の宿願であろう。これにより朝鮮戦争休戦協定の締結により止まってしまった時計の針を再び動かし、長らく封じ込められた朝鮮半島の現状を打破し、韓国への決定的な勝利を収めたいところである。米朝平和協定が締結されれば、米朝国交正常化の締結も視野に入ってくであろう。これに伴い、膨大な量の食糧や燃料も確保できるという展望が開けるであろう。さらに正式な核保有国として認知されることにより、正々堂々と核兵器開発に打ち込めるのではないか。また米国が北朝鮮を核保有国として容認すれば、中国、ロシア、イギリス、フランスも追随するであろう。

 この間、相次ぐ安保理事会経済制裁決議に従い北朝鮮は経済制裁で締め付けられているが、一度核保有を容認されれば、経済制裁は解除されることになろう。経済制裁の立脚する根拠は北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させるというところにあった。ところが、北朝鮮の核の保有をトランプ政権が容認すれば、北朝鮮に対する経済制裁の論理も根拠を失いかねない。ここに金正恩が経済制裁に耐えながら一日も早い対米ICBMの完成に向けて邁進している事由があろう。是が非でもトランプに核保有国としての地位を容認させたい金正恩の目には、米国は自らの都合でインドやパキスタンの核保有を認めたのではないかと映っている節がある。インドとパキスタン両国とも核拡散防止条約(NPT)の枠外で核保有を行ったが、米国は国益上の事由で例外措置として両国の核保有を容認した経緯がある。インドやパキスタンの核保有を容認しながら、何故、北朝鮮の核保有を容認できないのかと金正恩は考えるであろう。結局、対米ICBMの完成は金正恩にとってよいことずくめということになる。随分、一方的で独りよがりの考え方であるとは言え、対米ICBMの完成に向けて金正恩指導部が狂奔している事由にはそれなりの論拠があるのである。しかしそうした金正恩の目論見が重大な反作用を引き起こすことは必至である。かりに北朝鮮が実際に対米ICBMを完成することがあるとしても、米国が北朝鮮を核保有国として容認するとは考え難い。すなわち、対米ICBMを完成することと、北朝鮮を核保有国として米国が容認することはあくまで別のことである。

 核保有国として地位を容認することは核不拡散体制の事実上の破綻を招きかねない。米朝平和協定が結ばれ在韓米軍の撤収が認められるようなことがあれば、韓国は事実上、丸腰状態になってしまう。その成り行きとして早急に自前の核保有を韓国は目指さざるをえなくなるであろう。ところが、韓国が核保有へと舵を大きく切れば、遅かれ早かれ日本も重大な岐路に立たされることになりかねない。この結果、北東アジア地域での核拡散のドミノに歯止めが掛からなくなるとも限らない。そうしたことが実際に起きると、不拡散体制は根底から動揺しかねない。これと並行して、大規模な軍事挑発の度に一触即発の危機が繰り返され、制御不能な事態に及びかねない。大破局とも呼ぶべき事態は日々迫りつつある感がある。地政学上の視座から朝鮮半島に米国の影響力が増大しかねない事態を食い止めたい中国やロシアにとっても北東アジアの非核国へ核が拡散しかねない事態は何としても回避したいであろう。したがって、米朝核交渉において米朝平和協定の締結へ米国が傾くことは北東アジア地域での核拡散を一気に加速する地殻変動を起こしかねないほどの重大性を持つのである。そうした重大な意味合いを持つがゆえに、トランプは北朝鮮の核保有を容認することはできないことになる。ティラーソン国務長官がICBM発射実験後の7月4日に「我々は決して核武装した北朝鮮を受け入れない」と言明した通りである。問題は今後とも、北朝鮮の核保有を断固認めないという基本姿勢をトランプは貫くことができるかどうかであろう。基本姿勢を崩すことがあれば、引き返すことができない局面を招くことになりかねないのである。

 わが国は本来、北朝鮮核・ミサイル危機の当事者であったわけではない。とは言え、朝鮮半島を巡る緊張が殊の外高まり、米朝の軍事衝突が現実味を帯びてきた昨今、わが国はもはや傍観者ではありえない。2016年以降、金正恩指導部はわが国の排他的経済水域に弾道ミサイルの発射実験と称して、ミサイルを頻繁に撃ち込んでいる。これと並行するかのように、わが国に対する金正恩指導部による核の恫喝は日増しに激しさを増している。もし何らかの事由で軍事衝突が起こり、自暴自棄となった金正恩指導部がわが国への核ミサイル攻撃を決断することがあれば、わが国は重大な事態に曝されかねない。危機が深まる中で、核ミサイルが飛来しかねないと考えなくてはならない時期が来たと思われる。ノドン・ミサイルがわが国に飛来する場合、発射から着弾まで十分も掛からない。これに対し、わが国のミサイル防衛システムは飛来する弾道ミサイルを確実に迎撃できるかどうか必ずしも明らかではない。同防衛システムを緊急に整備する必要があることは言うまでもない。これまで北朝鮮の脅威は仮説上の脅威であったが、すでに現実の脅威となっている。このことをきちんと認識しそれに備える必要がある。そのとき、どうするでは遅い。(おわり)

野党分裂で自民が漁夫の利の兆し   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-05 05:39 [修正][削除]
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 安倍政権が泰然自若としているのに対して、野党は小池新党に逆風が吹き始めており、民進党の分裂が液状化現象を生じさせている。民進系支持労組連合の混乱に波及している。公認決定で浮かび上がった希望の党による選挙戦略は、戦略というより行き当たりばったりの「野合選挙」の実態をあらわにしている。野党で堅調なのは苦し紛れに枝野幸男が結成した立憲民主党のみである。しかし、今のところ擁立候補は50人を上回る程度とみられており、リベラル系が主軸となって政権を左右する可能性は少ない。この結果自公連立が政権を維持できる公算が強まっている。安倍は野党の体たらくについて「新しいブームからは何も生まれない。政策こそが未来を切り開く。愚直に政策を訴える」と強調している。これは選挙戦の王道を行く姿勢であり、行き当たりばったりで野合を繰り返そうとしている希望などとの違いを鮮明にさせている。安倍の解散戦略は野党にくさびを打ち込み、そのうろたえぶりからいって成功の部類に入りそうだ。

 しかし、注目すべきは枝野の立憲民主党だ。革新であるはずの民進党の大勢が保守の希望の党へと臆面もなくひざまずくなかで、リベラルを屹立させている。泣きの涙で枝野が結成に結びつけたにもかかわらず、リベラル勢力の“核”となりつつあるからだ。リベラル系の希望への逆襲が立憲を軸に始まろうとしているのだ。社会党から連綿と続く左派勢力が西南戦争の西郷隆盛に集まった行き場のない浪人達のごとく、集まりだしたのだ。ツイッターでのフォロワーの数は2日間で10万人に達しており、12万人の自民党に迫る勢いだ。もっともツイッターのフォロワーは政党支持率ではないからそのままの勢いが出るわけではない。立憲は既に候補者を50人近く確保しており、まだ増える可能性がある。これに左翼総本山の共産党が“すり寄り”はじめており、枝野の選挙区埼玉5区の候補を降ろし、エールを送った。逆に同選挙区には希望が刺客を送るから行ってこいではある。しかし、左翼リベラルの結集といっても容易ではない。民進支持母体であった労組連合が共産党との共闘には反対の路線をとり続けているからだ。その連合は政党支持をどうするかで八つ裂きの刑を受けるかのようであり、特定政党は支持できず、結局、希望、立憲、無所属に票が分散する流れだ。

 一方小池の場当たり選挙は佳境に達しているようである。まるで好き嫌いで公認を決めているかのようだ。例えば、自らの都議会の与党勢力である公明党が立つ9選挙区では候補は立てない。都議会与党を維持したいのであり、ここからも小池自身の立候補はないのだろう。また同期当選で仲のよい自民党の鴨下一郎の地盤東京13区には立てない。民進の野田佳彦、岡田克也、安住淳、江田憲司らの選挙区には立てず、選挙後の連携の可能性を残す。そうかと思うと自民党の下村博文、萩生田光一の選挙区には30代の女性候補をぶつける。落下傘候補による空中戦だ。自民党との象徴的選挙に持ち込む戦略だ。この小池の公認作戦には主義主張に基づく整合性などあらばこそであり、なりふり構わず選挙に勝ちたいという「野望」だけが目立つ。小池の希望は9割くらいが議員バッジ欲しさに「議席」にすがりつく節操のなさをあらわにしている面々だ。小池の言葉も「排除の論理でリベラルは入れない」「民進党の全員受け入れなどさらさらない」と、まるでトランプに絶対勝つ秘策を知っているスペードの女王のように権勢をほしいままにしている。小泉進次郎が「小池さんは出ても出なくても無責任。出たら出たで都政を投げ出して無責任。どっちの無責任を取るかということ」と正論を述べたことがよほど口惜しかったと見えて「キャンキャン言っている」とこき下ろした。

 こうして小池には相当な逆風が吹き始めているのだ。さすがの民放のトーク番組も持ち上げてばかりはいなくなった。小池は都知事選や都議選の夢よもう一度とばかりに衆院選に打って出たのであろうが、衆院選で首班指名に誰に投票するかがあいまいなままというのは、政党政治のイロハを知らない。そこには3度目の夢とはほど遠い状況が展開している。こうした中で目立つのは自公の落ち着いた選挙戦だ。野党のようなしっちゃかめっちゃかな対応はなく、雑魚が一匹逃げただけで新党問題で動揺は見られない。5日付けの朝日の調査ですら比例区投票先は自民35%、希望12%で立憲、公明が7%だ。この段階で希望との差が大きく出ているのは、もうこのまま与党側に大失言でもない限り終盤戦に向かうということかも知れない、野党の分裂は自民党に漁夫の利をもたらしているのだ。

(連載1)レジリエント社会へ向けての政策を  ツリー表示
投稿者:児玉 克哉 (愛知県・男性・社会貢献推進機構理事長・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-04 21:42  
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 総選挙が間近に迫るなか、各政党は政策提言をまとめつつある。気がかりなのは、災害対策や復興支援策などが今回の総選挙ではあまり争点にされていないことだ。いうまでもなく日本は災害大国だ。阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など大きな地震による災害が相次いだ。地震だけではない。さらに大きな地震も想定されている。東海地震と東南海地震、南海地震はしばしば連動して発生してきた。更に規模の大きな巨大地震となった例がある。もしこれが起これば、非常に大きな犠牲者がでると予想されている。多くの社会政策や経済政策などは吹っ飛んでしまう事態だ。

 地震だけではない。日本は台風・洪水大国でもある。地球温暖化と関係があるのかはまだ解明される必要があるが、世界的にも台風やハリケーンは大型化しつつあるといわれる。また干ばつと洪水もより深刻な被害をもたらすようになっている。日本でも洪水被害は頻発している、今年に限っても幾つかの台風が大きな災害をもたらした。これらはまだ記憶に新しい。台風5号もその一つだ。台風5号は台風6号との「藤原の効果」により大きな楕円を描くような進路を取ったことや、台風を移動させる上空の風が弱かったために、極めて寿命が短く、滞在期間が長い台風となった。大きな被害を各地に残した。

 山梨県大月市はこの台風5号の被害を受けた町の一つだ。大月市は台風5号の影響によって記録的な大雨に見舞われた。短時間で記録的な豪雨となり、土砂崩れが相次いだ。大月市では8月7日、台風5号の影響で1時間に最大99ミリの猛烈な雨を記録したというから半端ではなかった。1日で8月の平年の雨量を超える量の雨が降ったという。通行止めだった道が開通したのはつい最近のことだ。

 こうした自然災害を受けた大月市で大月市社会福祉協議会主催の災害ボランティア養成講座が開催された。講師は、青年会議所などの事業を通じて防災・災害復興支援の活動を行ってきた土屋和也氏(日本地域創生学会首都圏支部長)であった。一般社団法人DPLS-JAPANとDRT-JAPANのコラボによるイベントだ。市民の防災減災への意識が高まる中での開催は意味がある。日本全体では確かに洪水などの災害は毎年、起こっているが自分の町に限定すると、多くは何十年に一度の場合が多い。「災害は忘れた頃にやってくる」の言葉のとおり、いずれ災害はまたやってくる。被害を受けた時にしっかりとハードもソフトも含めた対策を行うことが大切だ。(つづく)

(連載1)金正恩の目論見とその限界  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-04 07:11  
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 時に激情する感のある金正恩の印象とは別に、金正恩は冷徹に自ら設定した目的完遂に向けて突進している感がある。その目的とは米国本土への核攻撃能力の獲得であり、米国本土を射程に捉えた小型核弾頭搭載ICBM(大陸間弾道ミサイル)の完成によって可能になると金正恩は確信している。金正恩は年内と期限を切って対米ICBMの完成に向けて猛進している感がある。7月の二度にわたるICBM発射実験と9月の第6回核実験で確認された技術面での進捗からして、対米ICBMが完成する可能性が現実味を帯びてきた。技術的な課題とされてきたのはICBMの射程距離の延伸に標される「長射程化」、弾道ミサイルに搭載できる大きさに核弾頭を小型化する「弾頭小型化」、さらに弾頭が大気圏に再突入する際に発生する猛烈な高温と激しい振動から弾頭を保護する「再突入技術」などである。ICBMを含む相次ぐ弾道ミサイルの発射実験と核実験を通じこれらの技術革新は着実に進んでいる。これらの技術革新が実現すれば、対米ICBMはいよいよ完成へと近づくと予想される。

 これを受け、金正恩指導部は世界に向けて対米ICBMの完成を公式に宣言すると考えられる。その上で、対等な立場でトランプ大統領との米朝核交渉に金正恩は臨みたいと考えているであろう。その核交渉とはトランプ政権が金正恩指導部に求めてきたような核を放棄するための交渉ではなく、核保有の容認、経済制裁の解除、米朝平和協定の締結、在韓米軍の撤退といった間逆な内容であろう。この大目標の達成に向けて激しい恫喝や様々な軍事挑発を画策して金正恩はトランプに米朝核交渉と核保有の容認意思の有無を探っている感がある。金正恩は米朝核交渉と核保有の現実を受け入れろとトランプに迫っているのである。実際に対米ICBMを完成するには技術上の課題が存在しており、その克服にはまだまだ時間を要するとしても、トランプから核保有について容認を取り付けることができれば、これ幸いというのが金正恩の本音であろう。

 これに対し、トランプは核保有を断固容認しないという姿勢を一向に崩していない。トランプから核保有の容認を勝ち取るべく軍事挑発を金正恩が繰り返すのに対し、トランプが断固軍事挑発を容認できないとの姿勢を強める中、いつしか米朝間で「戦争」という言葉が頻繁に使われるようになった。トランプから核保有は容認しないと突き放されると、金正恩は怯むどころか、さらに対米ICBMの完成に向けて一心不乱にのめり込むという悪循環を繰り返している。そうした悪循環は行き着くところまで進むと想定する必要があろう。膨大な経費が掛かろうが、相次ぐ安保理事会決議の採択を通じ経済制裁により締め上げられ外貨獲得が難しくなろうが、国民経済がなおざりになろうが、核武力建設路線の御旗を掲げ金正恩は対米ICBMを完成するその日まで突き進むであろう。金正恩の目論見は全く根拠のないものではない。金正恩が主張する論理は対米ICBMが完成すれば、「核の傘」を無力化できるというものである。韓国や日本など米国の同盟国は米国が提供する「核の傘」と呼ばれる拡大抑止に依拠してきた。拡大抑止が立脚する論理は、もしも北朝鮮が韓国や日本に対し核攻撃を敢行することがあれば、米国が同盟国防衛のコミットメントに従い北朝鮮に対し確実に核報復を断行するというものである。そうした想定の下で、金正恩指導部は核攻撃を控えざるを得ないという論理につながる。ところが、対米ICBMが完成すれば、米国は同盟国の防衛のために北朝鮮へ核報復に打って出ることを躊躇するのではないかと疑念が生じかねない。

 というのは、米国が同盟国の防衛のために北朝鮮へ核報復を断行するぞと警告しても、ロスアンジェルスやニューヨークなど米国本土の大都市への核攻撃に打って出ると金正恩が恫喝すれば、自国の大都市が壊滅的な打撃を受けかねないことを覚悟してまで米国が北朝鮮への核報復を断行するとは考え難いからである。そうした状況の下で、北朝鮮への核報復を米国は逡巡しかねない可能性が出てくる。言葉を変えると、対米ICBMを完成して初めて米国に対する真の核抑止能力を北朝鮮が獲得できることになる。このことが金正恩をしてその完成に向けて狂奔している主な事由の一つである。こうしたことから、対米ICBMの完成は「核の傘」が立脚する拡大抑止の論理を揺さぶりかねないというのは根拠のない話ではない。今後の進捗いかんでは北朝鮮の核保有を米国が容認するのではないかという疑問が出てくるのはこうした文脈からである。金正恩が要求する核保有の容認を検討すべきではないかとの見解が米国内ですでに散見される。実際に、ゲーツ(Robert Gates)元国防長官は十発から二十発程度の核兵器の保有を容認すべきではないかとの見解を表明している。(つづく)

(連載2)対北朝鮮制裁不発の元凶 ← (連載1)対北朝鮮制裁不発の元凶  ツリー表示
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-30 13:49 [修正][削除]
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3166/3181
 中国銀行など大手国有商業銀行が北朝鮮に協力していることは、米財務省がオバマ政権時代から綿密に調べ上げてきた。国連事務局も実態を把握している。ならば、中国からの対北朝鮮金融ルートを遮断すれば、確実に制裁の実を挙げられる。そのためには、米政府が中国銀行など大手銀行に対し、ドル取引禁止という制裁を加えればよい。世界の基軸通貨ドルを入手できなくなれば、中国の金融機関はたちまち干上がるので、米側の要求に応じざるをえなくなるはずだ。ところが、オバマ前政権はもとより、トランプ政権もまた逡巡している。

 トランプ氏は3日付のツィッターで「(中国の対北朝鮮圧力は)ほとんど成果を上げなかった」「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」とぶち上げた。北朝鮮とビジネス取引する最大の国とは、もちろん中国のことである。ムニューシン財務長官は大統領の指示を受けて「北朝鮮との取引を望む者は米国と取引できないようにする」と言明し、北朝鮮に協力する中国企業リストを作成中だが、ワシントンの関係筋からは「銀行大手は対象外」と聞く。なぜか。

 大手銀行が国際金融市場から締め出されると、中国で信用不安が起きかねず、もとよりバブルにまみれた金融市場が震撼する。習近平政権は激しく反発し、米企業に報復しかねない。アップルなどは中国が最大の市場であり、トランプ政権が6月以来検討中の、通商法301条での対中制裁にも米産業界は困惑している。米企業や消費者も中国からの輸入にかなり依存している。「米経済に打撃を与えることなく中国との貿易を大幅に制限することはほぼ不可能だ」(5日付米ウォールストリート・ジャーナル紙電子版)と専門家はみる。

 中国はトランプ政権になって以来、対米輸出と対米黒字増を加速させている。トランプ政権の対中融和路線に便乗して中国は思うがままにドルを稼ぎ、北朝鮮に資金供給できるのだ。今、なすべき経済制裁は中国の対北朝鮮金融ルートを完全に遮断する対中金融制限ではないか。北京が米国だけを逆報復できなくなるよう、日欧も同調すべきだ。(おわり)

「完全破壊」回避には北朝鮮の白旗しかない   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-29 21:37 [修正][削除]
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 先日、9月19日の国連総会におけるトランプ米大統領の初演説は、北朝鮮に対して“完全破壊”という極めて厳しい表現を使ったことで注目を浴びました。早々、北朝鮮の金正恩委員長は反発を露わにし、9月21日には批判声明を発表しています。この声明文におけるトランプ大統領批判の内容の大半は、そのままそっくり金委員長自身に当てはまるのですが、特に上記の“完全破壊”という言葉に強い反応を示し、「“完全破壊”という歴代のどの米大統領からも聞いたことのない、前代未聞の無知で粗暴ならっぱを吹いた。…反人倫的な意思を国連の舞台で公然と言ってのける米大統領の精神病的な狂態は、正常な人の物事の筋道と冷静さも失わせる。…」といった罵詈雑言を並べ立てています。しかしながら、金委員長は、この声明によって自らの墓穴を掘ったのではないでしょうか。

 歴史を振り返りますと、“完全破壊”と同様のフレーズを史上初めて使った米大統領はトランプ大統領ではなく、トルーマン大統領です。この言葉を耳にしたとき、真っ先に思い浮かんだのは、第二次世界大戦にあってアメリカ主導の連合国が日本国に対して降伏を勧告した、かのポツダム宣言です。同宣言の末文には、「右以外の日本国の選択は、迅速且完全なる壊滅あるのみとす」とあります。

 北朝鮮に対する演説部分も、ポツダム宣言と同様に条件付きであり、「…アメリカ、並びに、同盟国の防衛のために致し方ない場合には、我々は、北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はなくなるであろう」と述べているのです。金委員長は、恰も無条件でアメリカが北朝鮮の壊滅を企図しているかのように批判していますが、トランプ大統領の演説は事実上の降伏勧告であり、金委員長に対して速やかなる降伏か、否かの選択を迫っていると理解されるのです(北朝鮮は国際法違反を繰り返す犯罪国家なので、“降伏”の意味合いは犯罪者の投降に近い…)。

 となりますと、“完全破壊”が実行されるか否かは、北朝鮮の独裁者である金委員長の決断にかかっています。仮に、非難声明において糾弾したように、同委員長が“完全破壊”を本心から“反人倫的な意思”と認識しているならば、自らが白旗を上げて投降すれば、“完全破壊”は回避され、北朝鮮の国民は大参事に見舞われることなく救われます。今般の同委員長の声明は、あるいは降伏勧告の拒絶の意思表示かもしれませんが、北朝鮮に残された時間は僅かしかなく、仮に、降伏を拒めば、後世の歴史書には、北朝鮮の“完全破壊”の全責任は、数々の国際犯罪に手を染めつつ、自己保身のために誤った決断を行った同国の独裁者にあったと記されることとなりましょう。

(連載1)対北朝鮮制裁不発の元凶  ツリー表示
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-29 19:11  
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 北朝鮮の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日、米国の提案による北朝鮮向け石油輸出全面禁止などの新たな制裁決議案を採決した。中国とロシアの反対で調整は難航したが、これまでの度重なる国連の対北朝鮮制裁は不発続きだ。なぜなのか、有効な制裁は他にあるのか。対北朝鮮に限らず、国際舞台での経済制裁は米ソ冷戦時代から現在に至るまで、頻繁に発動されてきた。目的は問題国の無法行為をやめさせるためだが、武力行使、つまり戦争を避けながら成果を挙げることに意義がある。

 今回の対北朝鮮石油禁輸案はいわば、「最後通告」とも言える劇薬だ。体制崩壊の危機に追い込まれる金正恩朝鮮労働党委員長が折れて核・ミサイル開発を断念すれば結構だが、「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」となれば禁輸の結果は大災厄だ。トランプ政権はもちろん、その点は留意していて、大統領も関係閣僚も折りあるごとに、体制転覆や戦争の意図を否定している。それでも、石油禁輸にまで踏み込まなければならないほど、これまでの対北朝鮮制裁は正恩氏の高笑いを止められなかった。経済制裁は北朝鮮に経済的打撃を与えられなかったのだ。

 韓国政府の調査などによれば、北朝鮮の国内総生産(GDP)は年間300億~400億ドルで、軍事支出は約100億ドルに上る。ミサイルや核開発を支えるのは輸出収入による外貨で、中国向けが全体の約9割を占める。中国の貿易統計によれば、北朝鮮からの輸入は2016年で27億ドル。このほかに、中国などへの出稼ぎ者からピンハネする分が年間約10億ドルという。8月初旬、国連安保理は、北朝鮮からの石炭、鉄鉱石の輸入禁止などを決議した。その時、トランプ氏は「制裁効果は10億ドル相当」とツィッターで上機嫌だったが、金氏の返事は6回目の核実験だ。

 従来の経済制裁には致命的な欠陥がある。それを利用する元凶は、北朝鮮にとって最大の貿易相手、朝鮮戦争で「血の友誼」を交わした中国である。北朝鮮は制裁によって輸出が減ると外貨収入が落ち込むので、軍用、民生用を問わず、輸入に支障をきたすはずだ。ところが、中国からの輸入は急増し続けている。なぜ、可能なのか。答えは簡単、中国の大手銀行が中国内外のネットワークを経由して信用供与、つまり金融協力しているからだ。(つづく)

クルド人住民投票による地域の不安定化の懸念   
投稿者:川上 高司 (東京都・男性・拓殖大学教授・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-27 18:12 [修正][削除]
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 9月25日、イラクのクルド人自治区の自治政府はイラクからの独立の是非を問う住民投票を実施した。クルド人自治区は油田のあるキルクークを含むイラク北部にあり、アメリカの多大な庇護を受けて安定した統治を維持している。
その自治区が今度はイラクから分離・独立したいというのであるが、この地域がすこぶる不安定になることは火を見るより明らかだ。

 イラクはクルド人、スンニ派、シーア派が混在する複雑な国家だ。アメリカが侵攻した後も分裂を回避するべくアメリカはひたすら努力して国家としてイラクを保ってきた。現実にはクルド人はスンニ派とシーア派の緩衝として機能しており、そのクルド人がイラクから分離したらイラクは宗派闘争が勃発し内戦に突入する可能性がある。

 さらにクルド人独立はイラクだけの問題ではない。クルド人はイラクをはじめトルコ、シリア、イランにまたがって居住している。とりわけトルコはクルド人問題で長年悩まされており、最近のエルドガン大統領はクルド人への弾圧を強めている。イラクでクルド人が独立すればその勢いはトルコのクルド人グループPKKにも当然及び、トルコの政情が揺さぶられかねないのである。

 シリアではクルド人は少数派でありトルコとの国境に固まって居住している。シリアではISとの戦闘がいまだ続いているが、そのISとの戦闘を担っているのは実はクルド人たちである。アメリカの支援を受けて彼らはシリア自由軍を編成して戦闘の最前線にいる。クルド人自治区への影響力を持っているのは第1にアメリカである。トランプ大統領に外交手腕が問われる正念場である。 

「太平洋上水爆実験」の恫喝は人類への挑戦   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-26 13:35 [修正][削除]
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 最近の北朝鮮による6回目の核実験や、度重なる弾道ミサイル発射は目に余るものがある。そのうえ、トランプ米国大統領の国連での「北朝鮮破壊発言」を受けて、北朝鮮の金正恩委員長は、「超強硬対応措置」をとると恫喝し、さらに李容浩外相は、「太平洋上での水爆実験」との見方を示した。これがもし強行されれば、放射性物質による広範囲な大気汚染や海中海上の汚染が懸念されるが、北朝鮮がそこまで行うとすれば、もはや北朝鮮は「世界人類共通の敵」と見做さざるを得ない。なぜなら、大気及び海は、北朝鮮だけのものではなく、世界人類共有のかけがえのない財産だからである。

 全世界は、このような北朝鮮の暴挙を決して許してはならない。核ミサイルを太平洋に向けて発射し、上空で核爆発させる方法が考えられるが、事ここに至れば、今後は北朝鮮が発射する弾道ミサイルは、いかなるものであれ日米韓三国によってすべて迎撃し撃ち落とさざるを得ないであろう。それは、人類共有の財産である大気と海を放射線による環境破壊から守るためであり、やむを得ないのである。太平洋上での水爆実験は、決して越えてはならぬレッドラインであろう。万一、北朝鮮がこのレッドラインを越えて、太平洋上での水爆実験を強行した場合は、自然環境を破壊する重大な脅威であり、世界人類全体に対する挑戦であるから、米国による北朝鮮への先制攻撃は許容されるべきであろう。

 米国が、北朝鮮を「核保有国」として認めていない現在においても、かかる傍若無人な核恫喝を行っていることを考えれば、もし北朝鮮の核恫喝に屈して対話により「核保有国」として認めた場合でも、北朝鮮がおとなしく核・ミサイルの開発を凍結する保証は全くない。かえって、「核保有国」として堂々とますます核・ミサイル開発を促進し、「核大国」たる地位を武器として、早晩「朝鮮半島からの米軍撤退」や「北朝鮮主導による朝鮮半島統一」を米韓に要求し、これに応じなければ「水爆を使用する」などとさらなる核恫喝を繰り返すことは必至であろう。このように、北朝鮮の核・ミサイル問題は、仮に対話によって北朝鮮を「核保有国」と認めても、決して根本的には解決できず、さらに重大な問題を引き起こす恐れがある。
 
 日本としては、日米韓の連携を一層強め、北朝鮮による「太平洋上での水爆実験」の暴挙を何としても阻止しなければならない。北朝鮮による核恫喝が、日本に対しても、今後ますますエスカレートすることが懸念されるのであるから、そのような事態を全く想定していなかった、今から50年前の1968年の「非核三原則」のうちの、少なくとも「持ち込ませず」の原則は早急な再検討が必要であろう。「核抑止」の観点からすれば、核持ち込みによる「核共有」(ニュークリア・シェアリング)は、「敵基地攻撃能力」の保有よりもはるかに有効だからである。

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