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最先端科学技術開発は「共同研究」方式で行え   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-13 11:16 [修正][削除]
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 米中貿易戦争が激化している。その根底には知的財産権など先端科学技術研究開発に関する米中間の厳しい摩擦と主導権争いがある。今や、国の科学技術の水準はその国の経済力、軍事力を含め一国の命運を左右し、「科学技術を制する国は世界を制する。」と言っても過言ではない。このように、先端科学技術研究開発をめぐって米中両国はしのぎを削っているが、日本の先端科学技術研究開発は近年米中間の激しい科学技術開発競争のはざまで相当に立ち遅れていると言わざるを得ず、大いに懸念されるところである。ちなみに、世界知的所有権機関(WIPO)によれば、2017年の特許出願件数で中国が日本を抜いて2位となり、3年以内には1位の米国を追い抜くとみられている。その背景として、国の補助金、奨励金、ハイテク企業認定などの政策が指摘されている。

 日本の先端科学技術研究開発が立ち遅れた原因としては、国の大学に対する交付金の長期的な減額傾向があげられる。特に2004年の国立大学法人化以後、全国の国立大学法人に対する国の運営費交付金は年々減額されている。そのため大学は民間企業からの寄付金や研究助成金などに頼っている。しかしながら、研究助成金を提供する民間企業の立場は、短期的効率的な企業利益に直結する研究成果の実現であり、中・長期的な基礎的研究への理解や余裕は十分とは言えない。日本の大学が米中の先端科学技術開発競争に伍していくためには、まずは国による大学に対する先端科学技術研究開発予算の画期的な拡大強化が必要不可欠である。

 それと同時に、東大、京大、阪大、東京工大、早稲田大、慶応大、など先端科学技術研究を行っている全国の各大学が、大学間で狭い競争をするのではなく、人工知能や超高速コンピューターなどの科学技術研究の最先端分野に限って、これらを研究開発テーマとして、各大学の枠を超えて、全国の各大学から最優秀の研究者、人材を集め、国家の研究開発プロジェクトとして国家的規模による「共同研究」を行い、オールジャパンの総力を結集して最先端科学技術研究開発分野の飛躍的発展を目指すべきである。それによって米中を超える「科学技術大国日本」を再興しなければならない。

 日本政府および自由民主党は、人工知能や超高速コンピューターなど最先端分野の科学技術研究開発のために、研究開発テーマを絞って、各大学の枠を超え、各大学から最優秀の研究者、人材を集め、極めて豊富な研究開発国家予算を付けて、速やかに内閣府、文科省、経産省、財務省において調整の上、国家的規模による「最先端科学技術共同研究プロジェクト」を立ち上げるべきことを提案する。このことが日本の最大最高の成長戦略であると同時に、世界に冠たる「科学技術大国日本」として世界の人々に貢献する道であると確信するからである。

米ロ首脳会談の目的は対中協力要請か?   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-12 23:50 [修正][削除]
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 日本国の国会では“モリ・カケ問題”で審議の大半が費やされる中、国際情勢は刻一刻と流動性を増しています。各国首脳によるトップレベル会談の頻度もペースも上がっておりますが、この流れは、一体、何を意味するのでしょうか。そもそも、国際社会において何らの問題も懸案もなければ、時間や労力を要する首脳会談の場を設ける必要はないはずです。伝統的に外交儀礼を重んじるアジアとは違い、政治において実務を重んじるアメリカの大統領が、かくも頻繁に首脳外交を展開するのは、異例といえば異例の事態です。既存の政治を批判し、型破りな行動で支持を集めてきたトランプ大統領がアメリカの外交スタイルを根底から変えた、とする見方も可能ではありますが、それにしましても、同大統領の動きは何かに追われているかのようです。

 ビジネス界出身の現実主義者でもあるトランプ大統領が首脳会談に奔走しているとしますと、そこにはそうせざるを得ない理由があるはずです。そして、その動機を対中包囲網の形成と想定しますと、同大統領の堰を切ったような積極的な外交攻勢も説明が付かないわけではありません。一見、対北融和政策に見える米朝首脳会談での合意も、アメリカ陣営への北朝鮮の取り込みと見れば対中戦略の一環となり得ます。予定されているプーチン大統領との米ロ首脳会談も、公表されるか否かは別としても、来るべき米中対立を見据えたロシアへの対中協力要請を目的としているのかもしれません。中ロの軍事的な結束は、アメリカ陣営にとりましては最大の脅威となるからです。ユンケルEU委員長やイタリアのコンテ首相との会談も、‘陣営固め’として理解されます。

 折も折、訪中したマティス国防長官と会見した習近平国家主席は、国際的な批判を浴びている南シナ海問題について、「祖先が残した領土は一寸たりとも失うことはできない。他人のものは少しもいらない」と語ったと報じられています。2016年7月12日の常設仲裁裁判所の判決によって、南シナ海の諸島に対する中国の領有権主張の歴史的、並びに、法的根拠は既に否定されておりますので、“祖先が残した領土”など南シナ海には存在しておりません。また、“他人のものは少しもいらない”と語りつつ、中国が、南シナ海のみならず、チベットやウイグルなどを不法に併合するに留まらず、日本国の尖閣諸島を含む周辺諸国の領域に対して領有権を主張していることも紛れもない事実です。中国は、自己弁護すればするほどその言行不一致が際立ち、自らが‘信頼できない国’、否、‘信頼してはならない国’であることを証明してしまっているのです。

 中国が不誠実な侵略的国家である以上、今後とも、米中関係が好転するとは考え難く、周辺諸国のみならず、全世界規模での中国脅威論が高まることでしょう。仮に、トランプ大統領が、ロシアから対中協力を取り付けることに成功すれば、同大統領は、北朝鮮に対して軍事、並びに、経済的圧力を極限までかけようとしたように、中国に対しても、制裁レベルを一段と上げてゆくことが予測されます(もっとも、裏の裏があり、全ての諸国が国際組織のシナリオの下に操られている可能性もありますが…)。日本国内にも親中派の勢力が影響力を保持しておりますが、中国が‘信頼してはいけない国’であることは証明済みですので、日本国政府も、中国との対立激化を前提とした政策への転換を図るべき時期が来ているのではないかと思うのです。

ドイツの軋み音   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-10 19:58 [修正][削除]
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 ドイツの民間最大手銀行の一つ、ドイツ銀行の株価は近年のドイツの盛衰を表しているかもしれません。直近ではついに9ユーロを割り込みその下落は止まりません。NY市場では同行の株価はもっと顕著でリーマンショック前には150ドルを超えていたものが今、10ドルをかろうじて超える程度であります。つまり、15分の1であります。ドイツ銀行の経営に問題があるとささやかれ始めたのは昨日今日のことではありません。一時は天文学的なデリバティブの損失があるとも言われましたが、それ以外にCoCo債問題を含め、経営的に無理をし過ぎたところがあり、厳しい状況に立たされています。最近ではアメリカのFRBが行った金融機関35行のストレスチェックの資本計画において同社のアメリカ子会社が35行で唯一、不合格となっています。つまり、噂はやっぱり本当なのか、という疑惑に信憑性すら出てきているのです。

 もう一つ、注目しなくてはいけないのはドイツ銀行の筆頭株主が中国の海航集団であることです。海航集団は王岐山副主席の後ろ盾のもと、巨大なコングロマリットになったもののその借入金額は12兆円以上に上るとみられ、経営危機にあるとされています。同社の資金繰りのためにドイツ銀行の株式を複数回、売却したことも明るみに出ており、ドイツ銀行の株価がさらに下押しする要因となっています。ドイツ銀行はフォルクスワーゲンやボッシュのメインバンクであり、ドイツ銀行/海航集団のラインがドイツ自動車業界の肝を握る状況になっています。またベンツも別の中国企業が筆頭株主となっており、中国とドイツの密接な関係がうかがえます。

 そんな厳しい状況にあるドイツの代表的銀行を横目にメルケル首相も一時のパワーは全く感じさせられない防戦一方となっています。難民問題をめぐり、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立与党のキリスト教社会同盟(CSU)の間で亀裂が入っています。難民に対して厳しい姿勢を見せるCSUがメルケル首相と折り合いが付かず、CSUの党首で内相を務めるゼーホーファー氏が一時、内相を辞める姿勢を見せるなど混乱が広がっていました。今回はかろうじて紐一本でつながった感がありますが、この二党間の分裂が明白になればCDUは過半数を取れなくなり、メルケル首相の政治生命が脅かされるとみる筋もあります。

 ドイツは欧州危機の頃、EU内における圧倒的地位でドイツ帝国復活とも揶揄されてきました。しかしながらメルケル氏の左派的思想に対してトランプ大統領にみられる自己中心主義が世界中で芽生え、難民に対する根本思想も大きく変わってきました。欧州ではEU離脱を宣言している英国をはじめ、イタリアやハンガリーなど多くの国家が保守的姿勢に変わり、メルケル首相の立場は時代の流れとは異なり、厳しいかじ取りと言わざるを得ません。またドイツは中国との連携を強めることでウィンウィンの関係を築き上げてきたのですが、ここにきて中国国内の経済問題顕在化とともにルーズルーズの関係に逆転したことでその先行きには暗雲が漂ってきているのかもしれません。W杯で世界ランキング1位のドイツが屈辱的敗退をしたのも何かの予兆なのでしょうか?

中国の大学生と作ったAI原則5条   
投稿者:加藤 隆則 (非居住者中国・男性・汕頭大学長江新聞與伝播学院教授・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-07 20:49 [修正][削除]
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 先学期、初めて人工知能(AI)に関する授業「人工知能時代のメディア」を始めた。その前の学期には、「現代メディア課題研究」の授業でAIを主テーマにしたところ、学生の強い関心と反響があったので、先学期から独立させた。全16週授業の目標を、「AI原則」の制定に置いた。まずは小グループに分かれ、AI発展の歴史から生活の中のAI、就職への影響、安全リスク、メディアの中などのテーマごとに基礎的な研究をし、その土台をもとにそれぞれの原則を起草した。自薦で3人の起草グループを作り、そこで全体の取りまとめをした。論議の過程で、「原則」は法規則のようで堅苦しいとの指摘があり、最終的にクラス全員の賛同を得て、「私たちのAIドリーム」5条が誕生した。言うまでもなく、SF作家のアイザック・アシモフが1950年、作品の中でロボットが従うべきとして示された原則、いわゆる「ロボット3原則」を引き継いだものである。以下が、アシモフの唱えた3原則で、その後、ロボット工学など幅広い分野に影響を残した。「第1条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。第2条:ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない。第3条:ロボットは、第1条および第2条に反しない限り、自分自身を守らなければならない」。

 すでに昨年2月、米ボストンに拠点を置く学術支援団体「Future of Life Institute(FLI)」が、カリフォルニア州アシロマに各分野の専門家を集め、「人類にとって有益なAIとは何か」を5日間にわたって議論し、「アシロマAI原則」23条を公表した。この原則 は、AIの研究、倫理・価値観、将来的な問題の3つ分野に関して、安全性や透明性、プライバシーや人間の尊厳の尊重、利益の共有、軍拡の反対までを網羅したきめ細かい規定だ。最初の授業で私がAI原則の制定を掲げたとき、多くの学生はすぐに意味が呑み込めないようだった。ある学生は「すでに権威のある原則ができているのに、どうして私たちがまた考えなくてはならないのか?」と私に尋ねた。私の答えは明確だった。「人間の知能にとって代わり得るAIの開発は、われわれの生活や生き方そのものにかつてないほどの変革をもたらす可能性がある。専門家だけにゆだねるのではなく、すべての人が関心を持つべきだ。そして、すべての人に発言権が与えられるべきだ。われわれがその先例を作ればいい」。議論の過程で何度も繰り返したのは、世の中がどうなっていくか、どうあるべきかを大上段に語るのではなく、私たちがどうあってほしいかを若者の目で率直に訴えようではないか、との呼びかけである。次代を担う若者たちのアピールである。こんな具合にクラス35人の探求が続いた。

 習近平総書記が昨年10月、第19回共産党全国代表大会の報告で、経済の質的強化を実現するため、製造業の強化とともに、「インターネット、ビッグデータ、人工知能と実体経済を密接に結びつける」ことを柱に据えた。百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)の3大ICT企業(頭文字をとってBATと呼ばれる)などが膨大な資金と人材を投じ、世界最先端のAI技術開発に参入している。こうした社会の後押しを背景に、高度成長期に育った大学生たちは総じて新技術開発に楽観的、肯定的で、包容力があり、明るい未来を描いている。一方、中国の伝統文化を根に持つ若者たちは、欧米には見られない、独自の道徳観を持っている。期末論文のテーマを「AI教師に何を感じるか?」としたら、かなりの数の学生が、人間の魅力や仁愛によって人を導く教育は、AI教師には代替ができないと書いてきた。起草の段階でも、AIに道徳観を期待できるかどうかで議論が起きた。AI原則ではこうした伝統文化の要素も重視した。さらには、メディアを学ぶ新聞学院の特色をも加味した。ロボット3原則は「こうであらなければならない」と義務付ける法規定のようだったが、若者が将来に期待するAIドリームは、断定調、命令調は避け、こうあってほしい願うスタイルにした。こうして、以下の5条と注釈が生まれた。「第1条:私たちは、AIが人類の幸福追求と夢の実現を助けるよう希望する(AIは優れた技術によって人類の生活をさらに便利に、快適にするばかりでない。個別的なサービスによって個人の要求を満たし、さらには個人の自己探索、夢の追求をも支え、人類の精神や感情の求めにより多くの関心を注いでくれる)。第2条:第1条を満たす条件のもとで、私たちはAIの発展を支持し、さらに自由な発展の空間を与える(AIの発展は、人類がよく問題を解決するのを助ける方向に向かい、人類がAIの成果を享受する前提のもとで、私たちはAIを認め、支持し、相互作用の中でより多くの信頼と包容力を与える)。第3条:私たちは、AIが人類の道徳的価値観を守り、自然と生命を尊重するよう求める(AIは私たちとともに生存の環境を享受することができるが、それはその活動が人類の利益を侵さないとの前提があり、人類が共有する価値観が最低ラインである)。第4条:私たちは、AIは人類の生活の中で多様な役割を担い、安心感を与えるものだと考える(人類のAIに対する欲求は異なるので、AIは、例えば助手や仲間、家族など、多様な役割を担い、人類を助け、あるいは人類に付き添う。技術上の安全を確保する以外、AIは愛すべき非人類の外見を持ち、人間的なサービスによって冷たい印象を取り除き、人類に安心感を与えるものである)。第5条:私たちは、AI研究の本質が人類自身の探求を目指すものだと信じる。これはAI技術の発展によっても変わることはない(人類とAIは対立の関係ではなく、AIは人類が自己を研究し、人間相互の関係を研究する際の鏡となる。人類がさらによく自己を知り、探求するのを助け、人類の自信を強める。AIはフィードバックによって人類との交流を強化し、人類とともに発展し、進歩する)」。

 米国映画のような人類の敵となるのではなく、ドラえもんのようなかわいい仲間であってほしいと願う声があった。冷たいキャラクターではなく、ぬくもりのある、人に安心感を与える存在であってほしいと望む声もあった。道徳観念に対する強いこだわりもある。そのうえで、AIを受け入れ、ともに暮らし、同じように自然と生命を尊重し、独自の自由な空間を与えてもよい、との発想が生まれた。最後の第5条は、AIと向き合い、人とAIの相違点を探索することがすなわち、人間の存在、価値を見直し、再認識する契機となるとの認識である。それは自己、自我の追求という大学の目的にもつながっている。学生たちにとって最大の収穫が第5条の発見だった。起草グループの3人からは、有意義な勉強ができたと感想が届いた。

日朝平壌宣言は日本国の外交カードか?   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-07 20:45 [修正][削除]
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3356/3360
 6月12日の米朝首脳会談を機に、日本国内のマスメディアでは、暫くの間、影を潜めていた日朝平壌宣言に注目する論評が目立つようになりました。同宣言こそ、日本国の対北外交の切り札ともなるとする意見もありますが、この宣言の内容を思い起こしますと、手放しでは評価できないように思えます。そもそも、同宣言は、‘サプライズ外交’で知られる小泉純一郎元首相が突然の平壌訪問により北朝鮮の金正日前委員長と交わした合意文書であり、国会で審議されることもなく、日本国民のあずかり知れぬところで作成されています。いわば、‘密約’といっても過言ではなく、しかも、その歴史認識も、かの‘村山談話’を踏襲しています。このため、同宣言では、日本国側が過去に朝鮮半島において過酷な‘植民地支配’を行った、謂わば‘加害者’と認定されています。現実には、日本国による朝鮮半島統治時代には、日本国が近代化を推し進め、毎年財政移転を実施していたにも拘わらず…。そして、日朝国交正常化に至った暁には、日本国側は北朝鮮に対して日韓請求権協定に準じて1~2兆円もの経済支援をすべし、とする意見も、同宣言に基づいているのです。

 拉致問題に端を発した電撃的な訪朝が日朝平壌宣言の契機となった経緯を振り返れば、同宣言の効力こそ疑われてしかるべきなのですが、大方のマスメディアは、同宣言内容の履行を既定路線の如くに捉えています。そして、北朝鮮の「完全な非核化」の行方があやふやなまま、来るべき日朝首脳会談で拉致問題に進展があれば、日本国政府は、直ぐにでも平壌宣言に基づいて経済支援を開始する用意があるかのように報じているのです。

 この展開は、拉致事件が一種の‘人質事件’である点を考慮しますと、極めて奇妙です。何故ならば、一般の人質事件の犯人のセリフは、“人質の命が惜しければ、身代金を払え”なのですが、拉致事件では、被害者側が、“身代金を払うから人質を開放せよ”と犯人側に迫っているようなものであるからです。つまり、拉致事件にあっては、平壌宣言は、犯人に身代金を払うための正当な根拠を与えており、犯人側、すなわち、北朝鮮のためのお膳立としか言いようがないのです(北朝鮮側があからさまに身代金を要求しなくとも、一部であれ、拉致被害者を解放すれば、日本国から莫大な経済支援が転がり込む…)。

 こうした日朝平壌宣言が日朝交渉に果たす役割を考えますと、同宣言は、日本国の外交切り札ではなく、北朝鮮側の外交切り札となりかねないリスクがあります。北朝鮮側は、平壌宣言を盾にして、日本国に経済支援を要求することができるからです。こうした懸念がある以上、日本国側から平壌宣言を拉致問題解決の呼び水にすることは、自らを窮地に陥らせる結果を招きかねません。日本国の政府も国民も、平壌宣言の危うさこそ、深く認識すべきではないかと思うのです。

「イージス・アショア」は日本の抑止力強化に不可欠   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-05 19:39 [修正][削除]
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 日本政府は2017年12月19日閣議決定した地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入につき、秋田県と山口県の自衛隊演習場に配備する計画を推進している。日米が共同開発中の射程2000キロ、迎撃高度1000キロの新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」搭載可能「イージス・アショア」は、24時間365日大気圏外を飛行する高速の弾道ミサイルを追跡する高性能レーダーと日本国内に向かってきたミサイルを撃ち落とす迎撃ミサイルからなる。海上に展開するイージス艦と比べて地上配備型であるため補給や整備が容易で、切れ目のない監視態勢を維持できるメリットがある。一基1000億円、二基で2000憶円とされるが、高性能レーダーのため二基で日本全土をカバーできる。米国ハワイに「イージス・アショア」による迎撃ミサイル実験施設があるが、米国の迎撃実験では一定の有効性が確認され、さらなる技術開発が進められている。

 これにより、海上配備型イージス艦、地上配備型「イージス・アショア」、地上配備型弾道ミサイル迎撃システム「PAC3」による三段構えで、日本全土をミサイル攻撃から防御するミサイル防衛体制が一層強化される。「イージス・アショア」は、NATO(北大西洋条約機構)のミサイル防衛の一環として既にルーマニアとポーランドに配備されている。イランの弾道ミサイルを対象とするとされているが、ロシアは自国を対象としたものであると非難している。日本に「イージス・アショア」二基が配備されれば、現在展開中の海上配備型イージス艦六隻との連携による補完的重層的な対応も可能となり、弾道ミサイルに対する追跡能力が向上し、カバーできる迎撃範囲が拡大する。迎撃ミサイルの絶対数も増加し、したがって対処できる弾道ミサイルの数も増え、日本の抑止力強化に有益である。配備費用二千億円は、一億二千七百万人の日本国民の命と国の存立を守るための追加コストとして過大とは言えないであろう。

 しかるに、早くも、共産党などの一部野党や朝日新聞などの一部マスコミは、最近の米朝首脳会談などによる朝鮮半島の緊張緩和ムードを理由として、「イージス・アショア」の配備に反対ないし再考を主張している。しかし、日本の防衛力の整備と抑止力の強化は目先の現象や情勢に左右されてはならず、中長期的な視点からの万全の対応が不可欠である。朝鮮半島の「非核化」についてもいまだ不確実な要素が多いうえ、今後の「非核化」交渉の成り行き次第では再び米朝の緊張が激化し、したがって朝鮮半島の緊張が再び高まる事態も想定しておかねばならない。

 のみならず、「イージス・アショア」の配備は、何も北朝鮮だけを対象とするものではない。急速に軍備を拡大して南シナ海の人工島を軍事基地化し、尖閣・沖縄を含む東シナ海及び西太平洋の制海権を狙う中国の覇権主義的な海洋進出は看過できない。尖閣諸島及び沖縄防衛のためにも、中国の弾道ミサイル攻撃や、巡航ミサイル攻撃などに対する「イージス・アショア」による迎撃能力の強化は必要不可欠である。ロシアは配備に反対の意思を表明しているが、これは攻撃用ミサイル発射も可能であることを含め「イージス・アショア」の有効性を認め、抑止力強化を懸念するからである。なお、レーダーが発する電磁波による影響や、攻撃対象になるとの懸念が指摘されるが、前者は住宅地との一定の距離を確保することや、レーダーの発射角度などにより技術的対処が可能であり、後者は「イージス・アショア」の配備により日本の抑止力自体が強化されるから、むしろ攻撃そのものを防止することになる。「イージス・アショア」は、是非はともあれ「専守防衛」を国是とする日本にとっては、防御システムとして弾道ミサイル攻撃に対する抑止力強化のために必要不可欠であり、速やかな配備と運用が望まれるのである。

アジア歴史戦からみる北朝鮮外交   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-04 22:10 [修正][削除]
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 歴史的会談と言われたシンガポールでの米朝首脳会談からほぼ3週間が経ちます。メディアは会談そのものをイベントとしてとらえましたが、その意義の分析と経過を追った報道は割と限られるように感じます。一時、日本側が日朝首脳会談も模索していると報じられましたが、北朝鮮側からは冷や水を浴びせられています。政府の対北朝鮮政策の姿勢を考えてみたいと思います。安倍首相は拉致問題を一つの政治課題とし、場合によってはそれを選挙対策にしようと考えたかもしれません。しかし、私は以前から「別に今、(金正恩委員長に)会わなくてもいいじゃないか」との意見です。それはいわゆるアジアの歴史戦について長いこと、掘り下げて見てきた中で北朝鮮の態度はそんな生ぬるいものではないと考えているからです。

 いわゆる歴史戦といえば慰安婦像であったり南京事件が主テーマであったりするのですが、北朝鮮関連については歴史的にほぼ没交渉であったため、あまり案件が上がってきていません。ご存知の通り、慰安婦問題や南京事件が一般の人に広く知らしめる形で現在まで引っ張るようになったのは日本側のトリガー、つまり朝日新聞の報道に大きな要因があります。慰安婦問題に関する朝日新聞の関与は広く知られています。では南京事件と朝日新聞の関係ですが、案外、知られていないかもしれません。これは昭和46年に連載された同社のスター記者、本田勝一氏が書いた「中国の旅」で南京事件の残虐さを報道したことに大きな反響があったことは着目すべき点です。そしてその内容には大きな疑問がつけられているのですが、本田氏はその記事の内容についてコメントを控えたという事実があります。なぜか、という話はいろいろ取りざたされているようですが、その前年に同社社長の広岡和男氏が1か月にわたり訪中、周恩来首相(当時)とも会談しています。日中国交回復が昭和47年でその下地作りのため、日本の報道関係は中国に不利にならないこと(つまり悪口)を書かないという規制ラインがあったのですが、最後に中国と連係プレーをしたのは朝日だったということです。そしてその使命を受けたのが本田氏で「中国の旅」の記事取材が行われています。

 そう考えると歴史戦のきっかけを作ったそれら二つの問題は日本側報道にあったともいえますが、北朝鮮についてはさすが、今のところ奇妙な話題が上がってきていない状況にあります。そんな中、心配なことは北朝鮮側があることないこと、様々報じる可能性でそれを日本側が衝撃的な報道として捉えるリスクに十分気を付けなくてはいけません。もう一つは北朝鮮から歴史的問題の清算を突き付けられる公算であります。つまり、トランプ大統領の米朝対話ラインに日本が自然に乗せられ、拉致問題が180度ひっくり返り、思わぬ展開になるというシナリオです。ずいぶん昔、ある駐米大使が「日本にとって最大の外交的悪夢は、日本の知らない間に頭越しに米中両国が手を握る状態が訪れることだ。」と述べ、実際にそれが米中国交回復の過程で起きました。米朝でもそんなことが起きた場合、日本の外交方針が骨抜きになることが懸念されます。

 昨年、安倍首相は慰安婦問題が釜山で再燃した際、断固たる態度を取りました。支払った10億円の強みです。世界のウィットネスもありました。今回、安倍首相が取るべきは拉致問題の解決がなければ一切の経済復興支援は行わないというぶれない姿勢でありましょう。安倍首相がトランプ大統領とディールのイニシアティブを取るぐらいのスタンスでないと北朝鮮外交は非常に混迷の度合いを深めるかもしれません。歴史問題を後世に残さない、とするならばここできちんと形作らないと100年たっても怨嗟の声が響き、中国、韓国がそれに同調しかねません。

エネルギー基本計画2018における石炭の位置づけ   
投稿者:鈴木 馨佑 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-04 21:26 [修正][削除]
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3353/3360
 昨日7月3日、エネルギー基本計画が閣議決定されました。今回のエネルギー基本計画の党内議論で、私の方から石炭発電の位置づけに関しての懸念を申し上げました。その中で、今回の計画に関しては、2030年26%の数値目標自体は、全体の見直しを行わない中で維持となりましたが、一方で、私の党の会議での指摘を含む最終版の調整で、かなりの修正が行われたことは、日本の長期的なエネルギー戦略の観点から、非常に有意義だったと思います。資源に恵まれない日本が、世界の中で勝ち残っていくためには、エネルギー戦略は極めて重要です。その中で気候変動問題、経済性、安全保障、安全性などを考慮する中で、3E+Sというのが日本のエネルギー戦略の基本戦略となっています。

 その中で、将来的には可能な限り早期に洋上風力や地熱といった再生可能エネルギーを柱にする一方で、過渡的に、温室効果ガスの排出削減の意味から安全性に最大限の対策をしたうえでの原子力エネルギー、そして、変動する再生可能エネルギーの性質から電源調整を考えて化石エネルギーをある程度の期間はやむを得ず柱に位置付けるというのが、大きな方向性です。その中で、化石燃料、特に石炭については、パリ協定、あるいは金融面からのESGやTCFD、座礁資産の議論が直接金融、間接金融問わずイギリスやヨーロッパ、最近ではアメリカを中心に急速に焦点化しています。世界的なトレンドとして将来の法的措置を見据え、石炭発電そのものを経済的なリスクと捉える流れが固まりつつあります。それを受けて、国内でも石炭発電の計画が撤回されたり、金融機関もSMBCのように融資を禁止するなど、民間中心に動きがみられてきています。

 本来、民間の投資リスクを過度に負わせないために、外部リスクの先の変化を見据えた計画を示すのが政府の役割であるというのが、私の一貫した主張で、そのために、今回の党内議論においても石炭発電の位置づけの見直しに関して一人で論陣を張ったところです。結果として、党の会議の場でもその意見を踏まえて議論するようにとの流れに最終的になったために、今回の最終案においては当初案よりも石炭発電の今後の見直しに向け踏み込んだ内容となったことは率直に評価したいと思います。

 石炭が経済性に優れているとの評価を、あくまで「現状において」と明記することで今後変化しうるとの認識を明確にしたこと、今後、「再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、適切に出力調整を行う必要が高まると見込まれる」「よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組む」と明記することで、化石燃料の中で最も環境負荷の高い石炭に偏った現状の是正や非効率石炭を順次廃止していく方針を明確にしたこと、は前回のエネルギー基本計画と比べれば非常に大きな進歩です。今後、世界の動向を注視しつつ、日本のエネルギー戦略が世界の流れに取り残され、高いリスクを日本と日本の民間企業が背負い込まないよう、しっかりと注視していきたいと思いますし、次回のエネルギー基本計画策定時には、より具体的な将来の姿を明示できるよう引き続き努力していきたいと思います。

どこまで許す、トランプ大統領のわがまま   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-30 18:20 [修正][削除]
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3352/3360
 トランプ大統領は正気を失ったのでしょうか、それとも単なる選挙対策なのでしょうか?次は知的財産権の保護のために中国資本が25%以上の企業の投資規制を言い始めました。個人的には選挙対策の何物でもないと思っていますが、収拾がつかない事態に陥りやしないか、大変懸念されます。トランプ大統領が進めている通商政策は中国のみならず、欧州、カナダ、メキシコとの直接対決に加え、日本はその次のグループとして影響を受ける候補に挙がります。どの国も大方、報復関税を掲げており、その留まるところを知りません。トランプ大統領のこのわがままが原因でアメリカ経済にボディブローのような痛手を負うことにご本人は何処まで気が付いているのでしょうか?

 シナリオの一つとして秋の選挙対策だと割り切り、11月6日まで我慢すればそのあと、トランプの締め付けが緩和されるという見方もできなくはありません。しかしそれまでに大統領自身が引くに引けないほど問題が複雑化してしまうリスクが懸念されます。二つ目のシナリオとしてアメリカ景気腰折れ感が強まること。アメリカの景気は減税効果が効いてくることもあり19年春ぐらいまでは良いとされます。しかし、物価の上昇が加速する可能性が取りざたされる中、不動産取引と自動車販売といった金利敏感業界は明らかに下向きの傾向が出ています。そんな中、関税が米国内で販売される最終価格に反映すればどういう事態になるか、火をみるより明らかです。

 同様に景気の先行指標である株価の行方に暗雲が立ち込めるとリーマンショックの時のような急激な経済環境の変化から崩壊型の景気後退が起きないとも限りません。ちなみに25日のアメリカでは恐怖指数が先週末比で25%を超える上昇を見せています。併せてナスダックを中心に株価が大きく値を下げていますが、この原因はトランプ大統領一人に起因するものと考えてよいでしょう。「強硬なトランプが強行して引き起こしたトランプ恐慌」ではシャレになりません。一部アメリカ企業にとっては中国での強い需要が好決算を支えていることも事実ですが、個人的に今、いろいろ調べている限りにおいて爆食消費の中国の体質変化が起こりうる可能性があると考えています。詳細は改めてご紹介しますが、いわゆる消費行動という観点からの発想です。もしも本当にそんな激変が起きれば世界が再び大スランプに陥ることは目に見えています。世界はだいたい10年に一度大きなショックに見舞われることになっています。87年のブラックマンディ、97年の韓国とアジアの通貨危機、2008年のリーマンショックです。

 それと併せてオリンピック10年後の大不況というジンクスもあります。日本、ロシア、韓国、ギリシャなどだいたいその通りになっています。そして北京オリンピックは2008年でしたので10年目は今年になります。このアノマリーからすれば今年、中国から不吉なことが起きてもおかしくないわけでその引き金をトランプ大統領が引いたとすれば不名誉の極みの大統領となるでしょう。アメリカの国家元首はアメリカ人が選びますが、他国の国家元首がリーダーとしてふさわしくないと押し出すぐらいの協調も必要かもしれません。私にはこれ以上のわがままを許す心のゆとりはありません。

アメリカはウルトラマンではない   
投稿者:篠田 英朗 (東京都・男性・東京外国語大学大学院教授・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-29 19:32 [修正][削除]
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3351/3360
 トランプ大統領は無能だ、と言い切る自信は、私にはない。もっとも、トランプは偉大だ、と言いたいわけでもない。一回の会合で全て解決することはない、そういう方法論を採用した、それだけのことだ。発展性のあるプロセスの枠組みを作った、それがそんなに悪いことだとは思えない。制裁は維持している。もっとも確かに、会談を経て、中国との国境はさらにいっそう緩くはなるだろう。米韓合同軍事演習は、いつでも再開できる。もっとも確かに、譲歩に使ったと非難されれば、否定はできないだろう。だが果たしてこれ以上のことができたのか。初回から何か別のことをするべきだったのか。

 日本の評論家が、通常の平凡な外交交渉の基準を持ち出して、今回の米朝会談を見ているということはないか。…普通は官僚が全部細部を決めて、トップはサインするだけだ、常にそういうやり方をとるのが正しいことなのだ…、といった基準で、独裁国家を相手にした特異な会談の評価をしていないか。戦争当事者同士が交渉をしているのだ。アフガニスタンや、中東や、アフリカのサヘルなどを見て、もう少し「紛争解決」の考え方に近寄った基準をとっていただければ、私のような気持ちになる人も増えるのではないかと思う。日本の世論が、当事者意識が強い韓国や米国の世論と乖離しているのも気になる。北朝鮮メディアも驚くほど好意的に、会談結果をとりあげているようだ。すべては金正恩氏が、自分で合意書にサインしているからだ。合意書の詳細な文言など、何度も反故にされてきた事柄だ。しかし金正恩氏自身が、米国大統領と並んで、合意書にサインをした。その場面の画像に、大きなインパクトがあることは間違いない。アメリカ国内からも、トランプ大統領の支持率が急上昇しているというニュースが流れてくる。

 われわれ日本人が、日本人なりの視点を持つのは当然だ。それは、良い。だが、だからとって「会談は失敗だった」、などと結論づけることは、果たしてそんなに簡単にできることなのか。ウルトラマンは、アメリカのメタファーだ、という広く知られた俗説がある。普段は見えないが、危機になったら、すべて解決してくれる、というわけである。ウルトラマンは、怪獣を次々となぎ倒すのが当たり前なので、もし苦戦でもしようなら、「何やってんだ!」と離れたビルの中から罵倒する、それが地球人の態度である。ウルトラマンが強い手段をとって怪獣を倒すとしても、離れたビルにも危害が及ぶようであれば、やはり「何やってんだよ、ウルトラマン」、と地球人は言うだろう。 

 しかし、言うまでもなく、アメリカは、ウルトラマンではない。巨人ではあっても、能力の限界に苦しみながら、必死に生きようとしている、同じ人間の集団である。日本は、なぜアメリカと同盟関係にあるのか。日本は、アメリカがウルトラマンだから同盟を組んでいるのか。もしアメリカがウルトラマンではなかったら、即刻、同盟関係を解消するのか。親米主義者であるか、反米主義者であるかにかかわらず、あらためて、アメリカはウルトラマンではない、ということを考え直すには、今回の米朝会談は、いい機会だったかもしれない。

(連載2)金正恩による完全な非核化の意思表明への疑義 ← (連載1)金正恩による完全な非核化の意思表明への疑義  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-27 08:23 [修正][削除]
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3350/3360
 クリントン政権とブッシュ政権時代に行われた米朝協議が、多かれ少なかれ頓挫を余儀なくされた主な事由は査察と検証での対立に起因する。査察と検証は高度に技術的な問題であるだけでなく、非核化に向けた金体制の意思が真摯に問われる最終的な試金石であるからである。過去の経験はトランプだけでなく金正恩にとっても重要な教訓となっている。査察逃れを断固防ぐために強制的な査察が必要不可欠であるとトランプは感じているであろう一方、先代達が行ってきたことを真似れば、査察は何とか切り抜けることができると金正恩は安直に捉えているであろう。査察の実施に向け金正恩による真摯かつ誠実な協力がないと、査察は不十分かつ不満足な結果となりかねないが、その真摯かつ誠実な協力の確保が疑わしいのである。金正恩が核の全廃に応じることはないとすれば、何かを放棄し何かを隠そうとすることが推察される。金正恩にとって放棄する用意があるのは米国本土を射程に収める核弾頭搭載ICBMに代表される対米核攻撃戦力であろう。今後の米朝実務者協議において金正恩は開発・保有するICBMを国外に搬出すると表明する一方、対韓核攻撃戦力や対日核攻撃戦力を堅持しようと画策するであろうとみられる。

 対韓核攻撃戦力は核弾頭搭載短距離スカッド・ミサイルであり、対日核攻撃戦力は核弾頭搭載中距離ノドン・ミサイルやスカッドERであろう。これらの戦力の一部を廃棄する用意はある一方、相当部分を秘匿、温存しようとするのではないかと疑われる。このことは金正恩が優先順位を置いている体制の保証の観点からも窺える。体制の保証として、朝鮮戦争の終結宣言や朝鮮戦争休戦協定にとって替わる平和協定の締結を金正恩は求めたいところであろう。トランプが今後、朝鮮戦争の終結宣言に続き平和協定の締結や国交正常化を通じ金正恩の体制を保証すると宣言する可能性がある。とは言え、金正恩から見てトランプによる口先だけの宣言では必ずしも十分とは言えない。そうしたものは結局、紙切れ一枚の約束に過ぎない。体制の保証を確実に担保するのは最小限の核抑止力であると金正恩の目に映っているであろう。言葉を変えると、既述の通り核ミサイル戦力の一部を堅持する必要があると金正恩は考えているとの結論に結びつく。核ミサイル戦力の一部の堅持は、朝鮮人民軍の利害にも合致する。核の全廃を通じ国防力の根幹を事実上の武装解除の危機に曝すことを軍が望んだり喜んだりするとは思われない。核を全廃するという選択肢は軍の権益確保の点からもあり得ないことである。核を全廃しようとすれば、朝鮮人民軍の一部が金正恩に反旗を翻してもおかしくないであろう。

 こうしたことをトランプはどのように捉えているのか。米国本土に直接脅威を与えるICBMは絶対に看過できないとトランプの目に映る一方、短距離核ミサイル戦力や中距離核ミサイル戦力は必ずしもその限りではない可能性がある。もしも北朝鮮が開発・保有するすべての核ミサイル戦力の放棄という基本姿勢をトランプが貫くならば、徹底的な査察の実施が不可欠となる。とは言え、そうした査察には膨大な数に及ぶ人員に加えと途方もない時間と労力を要することもあり、事実上、実行困難に近いと考えられる。もしもトランプがそのように考えるのであれば、北朝鮮が開発・保有する核ミサイル戦力の一部を秘匿する際、見て見ぬふりをする可能性がないわけではなかろう。言葉を変えると、北朝鮮の最小限の核抑止力の保持をトランプが黙認するという可能性がありうる。そうした可能性は2017年夏にゲーツ元国防長官などが提起した北朝鮮が保有する核兵器の限定容認といった議論にも通じる。ゲーツは10発から20発程度の核兵器の保有を認めてもよいのではないかと問題提起した。

 一人独裁体制を堅持する金正恩が自らの任期を気に留める必要などない反面、トランプにとって気がかりなのは2020年11月の大統領再選であろう。トランプにとって喫緊の課題は2018年11月の中間選挙で勝利することであり、その勢いを追い風として2020年11月の大統領選挙で再選を飾ることであろう。そのために二年半以内で非核化の完遂をトランプは目指すであろうが、その完遂は事実上、達成不可能に近い。非核化を二年半以内に完遂しようにも、そうした短期間では非核化は不十分かつ不満足な結果に終わらざるを得ないことを金正恩は正確に見通しているであろう。その結果、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」は完遂せず、精々「不完全かつ検証不可能で可逆的な非核化」に終わりかねないのである。こうした憂うべき展望を念頭に置き、わが国は北朝鮮の核ミサイルの脅威に対処すべく周到な準備を重ねる必要があろう。何処かの地下核・ミサイル関連施設でわが国を射程に捉えた核弾頭搭載中距離ミサイルの開発が今も続いているとみるべきである。したがって喫緊の課題は北朝鮮の核ミサイルによる脅威に対しミサイル防衛を強化すると共に敵基地攻撃能力の検討を急ぐ必要があることに加え、日米連携や日米韓の連携に抜かりがあってはならないのである。(おわり)

(連載1)金正恩による完全な非核化の意思表明への疑義  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-26 17:46  
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3349/3360
 トランプ大統領は、金正恩朝鮮労働党委員長に対し体制保証や経済支援を提供することを示唆し、そのためには「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」に応じなければならないと事ある度に釘を刺してきた。しかもポンペオ国務長官は米朝首脳会談を前にして「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が譲れない点であると念を押した。ところが、米朝首脳会談の共同声明に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」は明記されなかった一方、盛り込まれたのは「完全な非核化」という簡素化された語句であった。残されたすべての課題は、今後の実務者協議に委ねられることになった。しかし米朝首脳会談での曖昧かつ不透明な共同声明という成果物を基礎として米朝実務者協議が行われることを念頭に入れると、非核化の履行については予断を許さないであろう。ところで、北朝鮮の非核化の完遂に向けた長い工程は金正恩指導部による核関連活動についての申告の提出から始まる。金正恩による申告の提出を待ち、非核化の完遂に向けた工程表の策定をトランプは急ぎたいところである。非核化の完遂期限を2020年11月の大統領選挙の前にトランプは設定していると推察されよう。

 こうした認識に立ち、米朝首脳会談からまもなく金正恩に核兵器計画の全貌を明らかにするようトランプは要求した。ところが、金正恩からなかなか回答がない状況が続いている。遠からず金正恩は申告の提出に応じるであろうと見られる一方、その申告内容が核関連活動の全容を盛り込んだものであるかどうか厳格に検証する必要に迫られる。そのためには申告内容を検証する査察が非核化の履行にとって鍵を握ることは間違いない。それでは金正恩が提出するであろうとみられる申告は、核関連活動の全容を盛り込んだものであろうか。このことは金正恩が核を真摯に放棄する意思があろうかという問題に結びつく。この点について、金正恩の示唆するところの非核化の意思について朝鮮労働党や政府の幹部達から疑問視する声が伝えられている。金日成から金正日を経て金正恩に至る三代にわたる金体制は、核兵器を国家存立のための宝剣であると捉え核兵器開発に邁進してきた。そのように事ある度に言われてきた幹部達にとって、金正恩がこの期に及んで核を突然、放棄すると宣言しても幹部達の目には半信半疑に映っている。このことは「・・命同然の核を完全に放棄するはずがない」とみる幹部の発言に表れている。また「・・金(正恩)委員長が言う核放棄と国際社会が主張する完全な核放棄は意味が違う・・」という幹部の見方もある。こうした発言は事の本質の一端を表している。「・・核を放棄するということは北朝鮮体制を放棄することと何が違うのか・・」という幹部の発言に集約される通り、幹部達から見て核の放棄は北朝鮮体制の放棄を意味するのである。以下において論述する通り、金正恩の意味するところの核の放棄は核の全廃ではなく限定的なものであることを物語ると言えよう。

 韓国へ亡命した元北朝鮮外交官の太永浩(テ・ヨンホ)も金正恩が核を完全に放棄することはないと疑義を挟んでいる。太永浩によると、核を「平和守護の強力な宝剣」と金正恩は位置づけ、「我々子孫がこの世で最も尊厳高く、幸せな生活を享受することができる確固たる担保である」と金正恩は語ったとされる。こうした金正恩の発言を踏まえ、「・・未来の確固たる担保であると規定しておきながらこれを放棄する?決して有り得ないことだ。核兵器の一部を放棄するなら分からないが・・」と太永浩は発言している。こうした発言は金正恩が示唆する核の放棄とは核の全廃ではなくその部分的な放棄であろうことを物語るのである。こうしたことから、北朝鮮が開発・保有している核ミサイル戦力の一部を金正恩は堅持しようと目論んでいるのではないかとの推論につながる。

 このことは北朝鮮領内に想定以上に多数の核関連施設が点在していることからも窺える。北朝鮮領内に点在する核関連施設は40から100に及ぶ一方、保有する核弾頭数は20発から60発にも達すると米国の情報機関は推定している。しかも北朝鮮の核兵器計画の全容を米国の情報機関が把握しているわけではない。地下の核関連施設に秘匿されている可能性のある核分裂性物質や核弾頭を含めると、推定されているのは氷山の一角かもしれない。こうした状況の下で核関連活動の全容を解く鍵となるのは既述の通り、核関連施設での査察であろう。査察が非核化の履行を最終的に担保すると言っても過言ではない。そうした核関連施設での査察のためには300人以上の査察官が必要となると目される。しかも金正恩が核兵器の一部を秘匿しようと目論んでいる可能性を踏まえると、疑惑を持たれた核関連施設での査察を金正恩が拒んだ際、強制的に査察を行う権限が付与される必要があろう。そうでなければ、疑惑視された核関連施設への査察は手つかずのまま終わりかねないことが案じられる。(つづく)

新たなエネルギー基本計画の議論   
投稿者:鈴木 馨佑 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-26 11:22 [修正][削除]
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3348/3360
 先日、党の会議で、エネルギー基本計画の議論がされました。日本の今後のエネルギーのあり方に関する基本方針を決める重要な文書です。過去二回の議論には出張で出席することができなかったこともあって、主に石炭発電に関して発言しました。この数年間で金融関係も含めて急速に石炭を取り巻く環境は変わってきています。経済性に優れるということが石炭発電の売りだったわけですが、将来的な世界における制度変更、税制、コストなどを考えると、その優位性はほぼ無く、逆にリスクになってきているといっても過言ではありません。

 私はかねがね、正しい規制は正しいマーケットとイノベーションを生み出し、誤った規制や計画は経済に大きなリスクをもたらすと、あちこちで話させていただいています。まさに石炭をめぐる環境はこの通りとなっていて、政府がエネルギー基本計画で2030年時点で石炭発電の比率を26%としていることが、様々な混乱を生み出している面は否定できません。国際的なトレンドを見れば、2030年度で26%というのはかなり非現実的な数字だと思われます。実際先日の欧州中央銀行総裁会議でも、石炭関連の融資を各銀行がどのくらいしているかのストレステストを行うような話も出てきていますし、G7から金融安定化理事会(FSB)におろされて形成されたTask Force on Climate related Financial Disclosure(TCFD)での議論などを見れば、石炭発電が経済的にはかなり大きなリスクとして見られているのが世界の潮流であることは明らかです。

 にもかかわらず、日本国内では政府がエネルギー基本計画で石炭発電をベースロード電源としてその基軸に位置づけているがゆえに、新電力による石炭発電の新設の計画がこのご時世にいくつも出されるという奇妙な状況となっていました。まさにこれは将来に向けた計画が適正なものではなかったために、経済や民間企業に大きなリスクを負わせている、という状況です。

 将来に責任を負う政治家として、また責任ある与党の立場として、この点については正していかねえばならないとの信念のもとで、今回の議論でもいろいろな発言をさせていただきました。今後、さらに世界の動きは加速していくと思われますので、気候変動、世界におけるルール作りを主導する視点から、エネルギー源の議論に関して、引き続ききちんとフォローしてまいります。

3度目の中朝会談から予想する半島情勢   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-23 18:16 [修正][削除]
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3347/3360
 金正恩委員長が三度目の訪中をしました。今回、異例だったのは訪中の予定が事前に報じられていたことであります。中国にとって金正恩氏との関係はもう隠さなくてもよい「公認の関係」に発展させた意味は大きいでしょう。米朝首脳会談の報告を行ったとされますが、報告ではなく、それを受けた作戦会議だとみています。中国の歴史的政策である「冊封関係」を今再び、北朝鮮と推し進める意味合いは何処にあるのでしょうか?中国にとって北朝鮮は外交上、都合の良い「コマ」であります。金正恩氏が中国に背中を向けられないと習近平氏は確信しているでしょう。中国にとって不都合な在韓米軍とTHAADはトランプ大統領の性格分析をしたうえで金正恩氏に巧みに託したと言えます。それでなければ飛行機を貸すほどお人好しな国ではありません。そして米朝首脳会談で北朝鮮側は好条件をアメリカから引き出しました。まずは上出来でしょう。

 次に挙がってくる課題は中国の対韓国政策であります。ここ数年、中国は韓国に対して冷遇を続けました。基本に立ち返れば中国にとって北朝鮮と韓国どちらを取ると言えば北朝鮮が地政学的には絶対に欠かせないし、半島の歴史を高句麗百済新羅の時代までさかのぼっても基本は半島の根元が重視されてきました。韓国の文大統領は北朝鮮との和平を働きかけましたが、その主導権を中国は握らせたくなかったのかもしれません。事実、ここにきて文大統領の対北朝鮮外交はやや停滞気味です。

 むしろ、韓国経済が大きくシュリンクする可能性が出てきました。一つは中国とアメリカの通商戦争がより進めば部品供給をしている韓国経済への影響は大きいこと、それと通貨防衛に苦しんでいることでしょう。これは新興国全般に言えることですが、韓国も大きな影響を受けている国の一つです。ここにきて韓国の雇用情勢も急激に鈍化し、文大統領にとって外交よりも内政、そして経済の立て直しに力点を置かざるを得ない状況にあります。一方、北朝鮮もここで勢いに乗れるのか、と言えば国内が一枚岩になっていない可能性が指摘されています。同国が構造的変化を起こそうとしていますが、国民皆が従順になるわけがなく、保守層から目に見えない反発が出ていると思われます。

 日本人からみて韓国人はなぜ仲間内でああまでぶつかり合うのか、と思うことがしばしばあります。何かにつけてすぐに殴り合いのけんかをしてしまう血の濃さを感じます。それは北朝鮮でも同じか、もっと濃いとみています。そうならば若き大将への忠誠心のベクトルは揺らぐ可能性があります。私は金正恩氏が急速に習近平氏に接近しているのは中国に保険をかけるつもりなのだとみています。それこそ暗殺の危険があればいつでも逃げ隠れ出来るところは確保しておきたいでしょう。3か月で3度にもなる訪中が意味するものとは金正恩氏が唯一頼れるのはもはや習氏しかない、ともいえるのかもしれません。

イデオロギーで負けた新潟県知事選   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-22 13:59 [修正][削除]
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3346/3360
 安倍政権の命運を左右するとされた6月10日投開票の新潟県知事選挙は、与党系の花角英世候補が野党系の池田千賀子候補を約3万7000票差で破り初当選した。与野党ともに来年春の統一地方選、夏の参院選の前哨戦と位置づけ総力戦を展開した。それだけに、今回の選挙結果は、今後の政権運営や野党共闘にも重大な影響を及ぼすであろう。

 野党系の池田候補を推薦した立憲民主党、共産党など野党5党は、選挙戦の最大の争点とすべく東京電力柏崎刈羽原発再稼働問題を取り上げ、再稼働反対・脱原発を強く打ち出した。のみならず、野党5党は森友・加計学園問題を持ち出し、安倍政権を徹底的に批判し安倍政権打倒を県民に訴えた。これに対して自民党・公明党支持の花角候補は、「県民党」を名乗り、原発再稼働問題については今後の検証結果を踏まえ新潟県民の意思を尊重するとの慎重姿勢を示した。そして、元新潟県副知事としての経験と実績を活かし、県民の安心安全と地域経済の活性化と発展に取り組むことを訴えた。

 結果は前記の通りとなったが、野党系池田候補敗北の最大の原因は、推薦した野党5党が、県民にとって切実な地域経済の活性化や社会保障などの問題よりも、もっぱら、イデオロギー的な「脱原発」や「モリ・カケ問題」を取り上げ、安倍政権批判一辺倒であったことであると考える。池田候補は、「新潟のことは新潟で決める」と主張していたが、推薦した野党5党は地方選挙にもかかわらず、地方選挙に国政を持ち込み、安倍政権打倒の手段として新潟県知事選挙を「利用」したと言っても過言ではない。これでは「新潟のことは新潟で決められない」のである。

 今回の新潟県知事選挙の結果を見れば、県民は特定の「脱原発」イデオロギーや「モリ・カケ問題」による安倍政権批判よりも、もっと身近で切実な日常の生活の問題を重視していることが明らかである。立憲民主党や共産党などの野党5党が、これからも「安保法制廃止」「特定秘密法廃止」「テロ等防止法廃止」「9条改憲絶対反対」など、特定のイデオロギーを「野党共闘」に持ち込めば、国政選挙においても支持層は限定され、国会での過半数獲得は不可能または著しく困難であろう。共産党を除く立憲民主党や国民民主党などは、今回の選挙結果を総括し、共産党のイデオロギーに影響されず、それぞれの党が国民のために独自の実現可能な夢のある政策を練り上げ国民にアッピールすることこそが政権獲得の途であると言えよう。

中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-22 10:37 [修正][削除]
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3345/3360
 今月8日から2日間、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれた。鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立する情勢だが、仲間割れする場合ではない。正論は麻生太郎財務相の発言だ。麻生氏は先に開かれたG7財務相会議後の会見で、中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判、G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があると指摘した上で、世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限はG7の団結を損ない、ルールを軽視する中国に有利に働くと説明した。

 WTOについて自由貿易ルールの総本山と期待するのはかなり無理がある。麻生氏に限らず、経済産業省も外務省もWTO重視で、世耕弘成経済産業相も、米鉄鋼輸入制限をめぐるWTOへの提訴について「あらゆる可能性に備えて事務的作業を進めている」と述べているが、WTOに訴えると自由貿易体制が守られるとは甘すぎる。WTOの貿易紛争処理パネルに提訴された国・地域別件数をみてみると、圧倒的に多いのは米国で、中国は米国の3分の1以下に過ぎない。提訴がルール違反容疑の目安とすれば、米国が「保護貿易国」であり、中国は「自由貿易国」だという、とんでもないレッテルが貼られかねない。事実、習近平国家主席はスイスの国際経済フォーラム(ダボス会議)や20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議で臆面もなく自由貿易の旗手のごとく振る舞っている。

 実際には中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。知的財産権侵害は商品や商標の海賊版、不法コピーからハイテクの盗用まで数えればきりがない。おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみでWTOで禁じている補助金を国有企業などに配分し、半導体、情報技術(IT)などを開発する。習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。

 一連の中国の横暴に対し、日米欧はとにかく甘い対応しかとらなかった。理由は、中国市場でのシェア欲しさによる。「中国製造2025」にしても、中国による半導体の国産化プロジェクトは巨大な半導体製造設備需要が生じると期待し、商機をつかもうと対中協力する西側企業が多い。ハイテク覇権をめざす習政権の野望を強く警戒するトランプ政権の強硬策は中国の脅威にさらされる日本にとっても大いに意味がある。米国と対立して、保護主義中国に漁夫の利を提供するのはばかげている。

(連載2)政治ショーと化した米朝首脳会談と今後 ← (連載1)政治ショーと化した米朝首脳会談と今後  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-20 08:35 [修正][削除]
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3344/3360
 さらに落胆させたのはトランプによる記者会見であった。上述の具体性に乏しい共同声明を補うべく大統領は記者会見に臨んだかもしれないが、実際には傷口を広げる結果となったとの印象を残した。「なぜ、CVIDの詳細を詰めなかったのか」という記者の質問に対し、「時間がなかった」という大統領の答弁はいささかお粗末ではなかったであろうか。十分な時間があったならば、CVIDの詳細を詰めることができたのであろうかという疑問につながる。「非核化にはどれくらいの時間がかかるか」という質問に対して、期限は明示せず「・・非核化工程の2割も進めば、不可逆的な非核化が約束されるポイントになる」と大統領は述べた。トランプはそのように考えているかもしれないが、恐ろしく楽観的で非現実的な見通しであるように聞こえる。非核化工程の8割を超えても不可逆的な非核化は確保されないのではなかろうかと疑問が湧く。「・・非核化にかかる費用はどう賄うか」という質問に対し、「韓国と日本が大規模な支援をするだろう」と大統領は語った。応分の費用をわが国も負担するということは理解できようが、その前提としてわが国に脅威を与える核ミサイル攻撃能力が確実に除去されるとの見通しが確保されなければならないことは言うまでもない。

 さらに北朝鮮の体制保証についてトランプは驚くべき譲歩を示唆した。「体制保証に関する詳細は」と聞かれると、大統領は「・・(在韓)米軍兵を米国に帰還させたいが、現時点では方程式に含まれていない。交渉が順調に進んでいる間は、ウォー・ゲーム(米韓軍事演習)を行わない・・」と語った。協議中の米韓合同軍事演習の中止や在韓米軍の撤退について曖昧な言葉でトランプは示唆したが、これが体制保証の具体的措置なのであろうか。非核化の具体的な中身に一切、言及がない反面、一方的に北朝鮮の体制保証のための措置に言及した印象を与える。こうした答弁は韓国の安全保障にとって重大な問題を惹起しかねない。文在演政権はこれまで一触即発の事態に瀕した米朝間の融和に尽力してきた。にもかかわらず、韓国の頭の上を通り越す形で重要な約束が結ばれ、しかも安全保障上の要とも言える米韓合同軍事演習の中止や在韓米軍の撤収を示唆したことに加え、北朝鮮の非核化に向けた取組みが曖昧かつ不確実であるにもかかわらず、非核化の主たる費用負担を任されることになったのでは遠からずして韓国からの反発が予想されよう。

 唯一トランプが譲らなかったのは北朝鮮に対する経済制裁に関してであった。「制裁はどうなるのか」という記者による質問に対し、「制裁が取り除かれるのは、核兵器がもはや懸念材料でないと我々が確信したときである」と大統領は断言した。中身の乏しい記者会見の中で評価できるのは非核化が完遂までは経済制裁は堅持するとした一点であったといっても過言ではない。とは言え、すでに習近平指導部が北朝鮮に対する経済制裁を緩和するようなシグナルを送っていることは対北朝鮮経済制裁の空洞化へとつながりかねないと憂慮されるのである。今後、北朝鮮の非核化への取組みは実務者協議に委ねられるであろうが、その基礎となる共同声明が曖昧模糊としていては非核化に向けた道筋について合意できるであろうか案じられる。

 実務者協議においてポンペオが北朝鮮側にCVIDを強く求めるとしても、「検証可能」と「不可逆的」という語句が抜け落ちた「完全な非核化」という共同声明の文言を盾に北朝鮮側が猛反発することも予想される。検証が確実に担保されないようでは非核化の体をなしていない。金正恩指導部が核兵器を外部から目の届かない地下施設などに秘匿しようとした際、どのようにしてそれを暴くかは査察に依拠する。トランプが過去の政権の瑕疵を追及したのはよいが、これではその二の舞となりかねないことが案じられる。金正恩指導部が今後、実務者協議で共同声明の抜け穴や抜け道を突くことが予想されるが、実務者協議での決裂をトランプが恐れれば、ずるずると米国が協議で後退を余儀なくされることが想定されるのである。5月24日に一旦は米朝首脳会談の開催を中止したトランプであったが、金正恩が急遽、擦り寄りをみせると、予定通りに6月12日の首脳会談開催を決断した。この間の紆余曲折の中で、金正恩は何の譲歩を行っていない一方、トランプが幾つも譲歩を行ったとの印象を残した。この間の進捗はトランプの読み通りなのか、金正恩の読み通りであったのか。現時点では金正恩の読み通りであったと言わざるを得ない。金正恩とすれば、してやったりというところであろう。(おわり)

(連載1)政治ショーと化した米朝首脳会談と今後  ツリー表示
投稿者:斎藤 直樹 (神奈川県・男性・山梨県立大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-19 08:03  
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 6月12日にシンガポールで初めての米朝首脳会談が開催された。2017年を通じ米朝間で軍事衝突の危機が眼前に迫りつつあったことを踏まえると、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の両首脳が終始にこやかに歓談したことにより、軍事衝突の危険性が著しく低減したことは事実であろう。とは言え、米朝首脳会談が開催されたという基本的な事実を超えて懸案の非核化について果たして進展があったであろうか。共同声明とそれに続いたトランプの記者会見を見る限り、期待は萎み落胆と失望に変わったのではないであろうか。記者会見での大統領の答弁には米国の最高指導者として果たして相応しいか困惑させる場面が幾つも散見された。想起されるのはトランプが3月10日に「私はすばやく立ち去るかもしれないし、あるいは対話の席に着いて世界にとって最も素晴らしい取引ができるかもしれない」と言い放った言葉である。今回の共同声明に盛り込まれた中身が果たして「最も素晴らしい取引」であったであろうか。過去のクリントン、ブッシュ、オバマの各政権が北朝鮮に欺かれた経緯を事ある度に述べ、自らの政権はそうはならないと力説しておきながら、以下に述べる通り抽象的で具体性を欠いた内容の共同声明と記者会見で幕引きしたことは落胆と失望を募らせる。そうした共同声明や記者会見は事前のトランプの大言壮語からは想定できなかったことである。

 生中継された米朝首脳会談を伝える映像は政治ショーの域を出なかった印象を与えた。4月27日の金正恩と文在演の南北首脳会談も政治ショーであったが、その後に天王山と言うべき米朝首脳会談に襷をつなぐという意味で、政治ショーに止まったのは仕方がなかったかもしれない。これに対し、米朝首脳会談の後に他の首脳会談はないことを勘案すると、トランプは金正恩から最低限の譲歩を引き出さなければならなかったはずである。しかも首脳会談直前のトランプの強気の発言を踏まえると、米朝首脳会談での共同声明と記者会見はまさしく竜頭蛇尾の結末に終わったとの印象を与えた。この間のトランプの言動からは今後の米国内の政治日程に合わせ政治的な成果をあげるべく形振り構わず奔走した感を覚える。何故、米朝首脳会談は竜頭蛇尾とも言える結末になってしまったのか、検討する必要があろう。共同声明は抽象的かつ曖昧な文言に溢れ、具体的な措置に乏しい内容であった。この程度の内容では2005年9月の6ヵ国協議において採択された、共同声明よりも後ずさりした印象を与えた。6月12日の共同声明は事前の期待をはるかに裏切る内容であったとの厳しい批判を免れないであろう。

 共同声明で特に奇異に映ったのは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(Complete, Verifiable, and Irreversible Denuclearization, or CVID)」について言及がなかったことである。トランプ政権は核兵器を含めすべての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルを完全に検証可能な形で不可逆的に廃棄させることを金正恩指導部に要求してきた。首脳会談の数日前にはポンペオ国務長官が政権にとって譲れない点としてCVIDを力説していた。そのCVIDはどこに行ってしまったのであろうか。共同声明には、「・・板門店宣言にのっとって、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組む」との表現が盛り込まれた。この「完全な非核化」という語句はCVIDからVに当たる「検証可能」とIに当たる「不可逆的」という政権が拘ったはずのキイワードが抜け落ちてしまったことを物語る。このことは「完全な非核化」という語句で妥結したのか、それとも今後CVIDに向けて詰めることを意味するのか釈然としない。

 非核化の完遂の時期・期限の明示、非核化の対象と範囲の明示、検証措置の明示など非核化の核心的事項について共同声明には一切言及されなかった。ましてや非核化に向けた工程表について何ら触れられなかった。加えて、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を初めとする弾道ミサイルについては全く言及がなかった。非核化の方式で双方の主張が食い違っていたが、実質的に金正恩が唱えてきた「段階的で同時並行的な措置」にトランプが同意したかのような印象を受ける。このことは6月13日に北朝鮮国営メディアの『朝鮮中央通信』が米朝首脳会談において金正恩が同方式を力説したと公言したことに表れた。他方、共同声明に「トランプ大統領は北朝鮮に対して安全の保証を提供することを約束した」との文言が盛り込まれた。北朝鮮の非核化について何ら具体的な明示がないにもかかわらず、米国は見返りとして「安全の保証を提供することを約束した」という文言で、北朝鮮の体制保証を行うことを約束したのである。(つづく)

米ドルが国際基軸通貨ゆえの世界の悩み   
投稿者:倉西 雅子 (東京都・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-16 16:44 [修正][削除]
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 カナダのウィスラーで開催されていたG7財務相・中央銀行総裁会議は、昨日、閉幕しましたが、同会議を取材したマスメディアは、各社とも一斉にアメリカの孤立論を書き立てております。フランスのルメール財務相に至っては、『G6プラス1』の構図とまで表現したそうです。それでは、何故、トランプ政権の保護主義は、かくも酷いバッシングを受けているのでしょうか。アメリカからしますと、製造拠点、労働力、知的財産なども自由に移動するようになった今日の自由貿易主義は、近年BIG5(Facebook、Apple、Microsoft、Google、Amazon)とも称されるようになった一部のグローバル企業を除いては、必ずしもアメリカ国民に恩恵を及ぼしてはいません。トランプ政権は、自由貿易主義に対する批判によって誕生したと言っても過言ではありませんし、自由貿易主義=相互利益の構図は既に理論破綻をきたしております。そして、アメリカが経験した産業の空洞化による自国産業の衰退と雇用問題の深刻化は、実のところ、‘G6’の大半の諸国も同様です。当のフランスも、マクロン大統領の認識は別としても、一般のフランス国民にとりましては、産業の空洞化は切実なる問題なはずなのです。それにも拘らず、‘G6’が、自国、とりわけ、自国民に不利となる自由貿易主義を堅持しようとしている姿は、些か奇妙にも見えます。

 もちろん、‘G6’の政治家の大半が、自由貿易絶対主義に染まっており、思考停止の状態にある、あるいは、一部のグローバル企業の利益しか頭にないのかもしれませんが、もう一つ指摘し得る理由は、米ドルが今日なおも圧倒的な通用力を有する国際基軸通貨であることです。ここで参考とすべきは、1960年にトリフィン(R. Triffin)によって提起された流動性ジレンマ論とも称された‘トリフィンのジレンマ’です。この説は、金・ドル本位制であったブレトンウッズ体制の下で唱えられましたので、アメリカの国際収支が改善されると、国際流動性(貿易決済のための国際基軸通貨)の供給が不足するとする説です。ニクソンショックを以ってブレトンウッズ体制は崩壊し、今日では既に変動相場制に移行していますので、この説をそっくりそのまま現状に当てはめることはできませんが、基本的な構図は変わらないように思えます。トランプ政権が、貿易赤字の解消に躍起になればなるほど、アメリカの貿易相手国は、対米貿易縮小に伴う米ドル不足による流動性の危機を心配せざるを得なくなるのです。となりますと、アメリカの保護主義を批判する’G6’の必死な形相も理解に難くはありません(アメリカ製品の輸入を増やすという方法もありますが、今度は、自国企業が国内シェアを失う…)。

 米ドル一極であったブレトンウッズ体制とは違い、今日では、欧州中央銀行がユーロを発行しておりますし、中国もまた人民元の国際基軸通貨化を試みていますが、多極化したとはいえ、アメリカは世界第一位の経済大国であるだけに、米ドルの地位は抜きんでています。ビットコインといった仮想通貨に至っては、相場の不安定性や投機性から国際基軸通貨となる可能性は殆ど皆無です。

 もっとも、トランプ政権の貿易不均衡是正の方針は、必ずしもマイナス面ばかりではありません。米中間の不均衡が是正されれば、対米貿易の黒字で積み上げた外貨準備を元手とした“チャイナ・マネー”はその勢いを削がれ、お金で他国を買い叩くような中国の覇権主義的行動を押さえることができるかもしれません。また、トリフィンは、ジレンマを解くために‘世界中央銀行’の設立を唱えましたが、案外、大半の諸国が独自通貨を発行している現状からしますと、各国とも、国内産業の育成や内需拡大の重要性に気が付く契機ともなりましょう。このように考えますと、アメリカによる保護主義への転換は、内外がより調和した経済体系を構築するという、一つの重要なる課題を人類に提起しているようにも思えるのです。

外国人労働者受け入れ拡大に思うこと   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-16 16:40 [修正][削除]
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 安倍首相が経済財政諮問会議で外国人労働者受け入れ拡大を表明しました。農業、建設、宿泊、介護、造船の5分野においてその受け入れができるよう制度整備をしていくというものです。この報道に思うところがありますので記させてもらいます。まず、政府を突き動かしたその背景は労働力の継続的減少、特にエントリーレベルとキツイ仕事の労働者の減少であります。日本は欧州型というより北米型国家に近く、大学を出てエントリーレベルの仕事を辞め、会社という傘に守られ、高水準の福利厚生のある安定した就職先に転じます。(もちろん全員ではありませんが、高い比率という意味です。)社会の労働体制は必ずしも知識集約型労働が主役ではなく、工場や現場、店舗といった現業の方が圧倒的に比重は大きくなります。ところが知識集約型の方が給与もいいし、労働環境もよいとなれば当然、そちらを目指す若者が増え、現場を支える労働力は不足していきます。

 カナダでは、2010年の冬季オリンピック前にバンクーバー周辺でエントリーレベルの労働力が払底したことがあります。理由はお隣、アルバータ州の景気がブームとなり、高賃金のオファーが続出し、バンクーバーの労働力を根こそぎ持っていかれたのです。その為、バンクーバー地区に限り期間限定の外国人労働ビザを大盤振る舞いし、どうにかしのいだのであります。カナダのケースはオリンピックという事象が引き起こした一時的現象ですが、日本の場合、2020年のオリンピックというより少子高齢化が引き起こす労働力の長期的減少という根本的問題を抱えているという点で大きく相違します。現在の日本の労働力人口は6600万人、それが2040年には1500万人減って5100万人になるというのですからシリアスです。今回の外国人労働者の受け入れ拡大はまさにその穴を埋めるということでありましょう。

 私がこれにすっとなじめない理由を申し上げます。多くの外国人労働者は東南アジアからきています。彼らの多くが日本を「稼げる国」と思っています。つまり、日本で稼いだお金をしっかり貯め込み、本国の家族に送金するのです。テレビニュースのインタビューでも外国人労働者は「稼ぐ」としか言っていませんでした。残念です。一方、日本政府は外国人労働者の家族帯同を認めていません。つまり、本国送金の流れを日本政府が後押ししています。これは何を意味するか、といえば日本経済が回らないのです。稼いだお金が日本の中で消費されてこそ、意味があるのですが、これが極めて小さいのです。カナダは移民7人で家1軒の需要があるとされます。それゆえにカナダの不動産は長期に渡り上昇し、国内経済を支えています。日本の手法はカナダの経済システムと真っ向から相違します。もう一つは家族帯同を許さないのは人権的にも正しいトレンドではありません。更に日本に愛着を持たないからいつまでたっても「稼ぎに行くところ」で終わってしまいます。日本政府は高度な能力を持っている移民希望者に広く門戸を開けています。ところが移民になりたいという人が来ないのです。日本人が移民を嫌々する前に外国人が日本に移民するのを嫌々している状態です。

 それでいいのだ、という意見は多いと思います。但し、日本という国を50年後、100年後にも繁栄する国家として維持するには我々が生きている時代のことだけを考えるというのもどうかと思います。街を見れば廃屋や世界3位の経済大国とは思えない古びた家やアパートが立ち並びます。これらが20年、30年すると更に朽ちていくのを放置するより、誰かが活性化させる社会も必要でしょう。個人的には時限労働者への家族帯同は緩和すべきかと思います。そして日本の文化を外国人が「中から見る日本」として輸出し、その輪を広げていくことも有りではないかと思います。ニッポンは稼ぐところというよりニッポンに来て学びたいという気持ちを持たせることが政策としてはより有効ではないでしょうか?

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