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(連載2)中国の対米外交に出口戦略はあるか ← (連載1)中国の対米外交に出口戦略はあるか  ツリー表示
投稿者:牛島  薫 (北海道・男性・団体職員・20-29歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-17 08:27 [修正][削除]
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3404/3404
 ところが、いざ課税が決定した際、幣原がブライス子爵にどう対応するのかを尋ねたところ「もう抗議はしない。放っておく」との答えが返ってきたのである。曰く「英国は、米国と戦争をしないのが国是である。徹底的に抗議すれば戦争に発展せざるを得ないが、英国は運河通行税で戦争をするつもりはない。ゆえに抗議はもう一切しないのである」と。さらにブライスは、「日本は排日移民法でも抗議をしているようだが、その問題のために米国と戦争をする覚悟はあるのか。ないのならばもう日本も抗議をするのはやめたほうがいい」と続けたという。
 
 つまり当時の英国は、ある種の忍耐を通じて米国との友好関係を保ち、第一次世界大戦、第二次世界大戦ともに米国の同盟国として勝者の側に立った。それに対し日本はずるずると日米融和の機会を逸し、最終的に米国を敵にまわし、戦争に突入するに至った。どう控えめにみても、日本に米国との戦争で勝てる算段はなかった。この点、現在の中国はどうだろうか。大日本帝国とは違い、中国に米国に打ち勝つ算段があるというのであれば話は別だが、常識的に考えれば、中国はこのエピソードの英国の対応ぶりから学ぶべきではないだろうか。ちなみに、ブライス子爵は、幣原喜重郎にこうも語っている。「過去にも米国は外国に対して相当不当な取扱をしてきたが、他方で外国からの抗議とか請求とかによらず米国人自身の発意で修正してきた。日本はじっとその時期を待つべきだ」。事実、第一次世界大戦後、米国はこの不公正な運河通行税を自発的に廃止している。
 
 最近でも日本は、中国が現在経験しているような米国との経済的な対立を何度も経験している。だが、貿易「摩擦」といわれることこそあれ、貿易「戦争」と呼ばれることはなかった。それは、日本に選択の余地があったかは別として、ブライス子爵の助言の通り徹底的に抗うことはせず発展的な関係を維持してきたからである。つまるところ、中国は、この貿易戦争が単なる「喧嘩」で済んでいるうちに、矛をいかに収めるかを考え始めるべきである。習近平政権として米国の外圧に屈するかたちで事態を収束させることは、政権のメンツにかけてあり得ないかもしれない。また、英国や現在の日本は米国と同盟関係にあるが、中国はそうした関係にはない、という違いもある。とはいえ、後戻りできない段階に至ってから、アメリカに無謀な挑発のような振る舞いをすることになれば、その先に中華民族の偉大な復興は存在しうるのだろうか。
 
 北京政府には果断な出口戦略にかじを切ってほしいものである。まずは「保護主義に反対し自由貿易を守る」と口だけでいうのではなく、WTO加盟国の義務を誠実に履行し自由貿易体制の旗振り役を全うすべく努力してはどうだろうか。改革には痛みが伴うであろうが、行動で示せば国際社会もやがて中国に理解を示し、米国としても何らかの着地点を探すようになるのではないだろうか。(おわり)

(連載1)中国の対米外交に出口戦略はあるか  ツリー表示
投稿者:牛島  薫 (北海道・男性・団体職員・20-29歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-16 11:50  
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3403/3404
 いわゆる「米中貿易戦争」が勢いづいている。経済的次元とはいえ中国も米国も互いに矛を収める様子を見せていない。さる8月の22日と23日に、両国間の事務レベルでの貿易交渉が行われたがさしたる成果はなかったようだ。トランプ大統領が指摘する中国の不公正な貿易慣行や知的財産権問題などに対して、北京政府は相手が納得する打開策を示さなかった。今回の米中貿易交渉は中国の時間稼ぎという見方が多いが、時間稼ぎというのは何らかの打開策が控えていてこそ意味がある。はたして北京政府に対米緊張緩和策があるのだろうか。
 
 ところで、中国は2015年に「中国製造2025」を提唱して以来、国内製造業のハイテク化・高付加価値化に邁進している。それまで、国際分業の観点から中国を「世界の工場」として好意的に捉えていた米国の立場も今や大きく変わっている。中国の製造業が労働集約型経済から脱却し高度化が進めば、当然米国の基幹産業であるハイテク分野での競合するからである。日本もかつて同様のことを経験している。紡績業主体の日本経済が徐々に工業主体へと移行したことで、米国の製造業と競合し激しい貿易摩擦へと発展したのだ。しかしながら、当時の日本と今回の中国では異なる部分も多い。外資系企業に対する技術移転の要求や、国内の外国企業への差別待遇を国家レベルで敢行する中国は、自由民主主義諸国の行動とは一線を画している。この点については、米国だけでなく日欧を含む先進工業国はおしなべて問題視している。中国が白書「中国と世界貿易機関(WTO)」まで出して「保護主義に反対し自由貿易を守る」と声高に叫んでも目立った賛同国が出てこない所以である。
 
 このまま中国に妙案がないまま事態が推移すれば、米国政府は躊躇なく2000億ドル相当に及ぶ第3の大規模制裁を発動するだろう。いうまでもなく、これは日本にとっても好ましからざる展開だ。なにしろ日本にとって米中両国は輸出入ともに4割程度を占める巨大な貿易相手国であり、切っても切れない経済関係にある。また、世界の二大軍事大国である両国が真正面から対立することは安全保障上からも歓迎されることではない。もちろん、事態の打開には米国と中国の双方の賢明な動きが求められるわけだが、日本としてはまずは大切な隣国である中国に対して、実体験を踏まえた助言をしてみたい。日本は戦前にも戦後にも、米国との激しい対立を幾度となく経験している。
 
 そこで中国に参考にしてほしいのは、以下のエピソードである。これは、のちに内閣総理大臣になった幣原喜重郎が、まだワシントンの日本大使館で参事官を務めていた頃、米国がパナマ運河の運用をめぐり、外国船に差別的な関税を課したときの話である。当時は第一次世界大戦前夜で、カリフォルニア州において排日移民法が成立するなど日米関係が著しく悪化していた。そんな折、幣原喜重郎が相談したのが在米英国大使のブライス子爵だった。当時世界最大の海洋大国であった英国にとってもパナマ運河の重要性は高かった。幣原は、英国が米国の差別的な運河通行税に対し抗議し続けるのではないかと考えていた。(つづく)

(連載2)共産党は憲法体制と矛盾しないか? ← (連載1)共産党は憲法体制と矛盾しないか?  ツリー表示
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-15 09:25 [修正][削除]
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3402/3404
 日本共産党を除く野党の中で「敵の出方論」を主張し、これを肯定する政党などは一切存在しない。今も「敵の出方論」すなわち実質的には「暴力革命」を明確に否定も放棄もしない政党は、日本共産党だけであり、このような日本共産党の存在は議会制民主主義に基づき選挙による政権交代のみを認める日本国憲法体制とは矛盾するのではないか。

 のみならず、マルクス・レーニン主義は、「プロレタリアート独裁」を極めて重要な原則としている。マルクスは「資本主義社会と共産主義社会の過渡期の国家はプロレタリアートの革命的独裁以外には存在しえない。」(マルクス著『ゴーダ綱領批判』)と述べ、レーニンも「共産主義への発展は、プロレタリアートの独裁を通じて行われるのであって、それ以外の進み方はあり得ない。プロレタリアートの独裁は、抑圧者、搾取者、資本家に対して、彼らを抑圧し、彼らの反抗を暴力で打ち砕かなければならない。暴力のあるところに自由がなく、民主主義がないことは明らかである。」と述べている。要するに、プロレタリアート独裁とは社会主義・共産主義革命を実現するために、これに反対し反抗する反動勢力や反革命分子を独裁権力による暴力で打倒するということである。

 旧ソ連や中国などの社会主義国家を見ても、プロレタリアート独裁の実態は共産党の一党独裁であり、共産党に反対することは絶対に許されないのである。日本共産党は今もプロレタリアート独裁の概念を放棄していない。「綱領」では「社会主義をめざす権力」(十六)と規定している。宮本元議長は「プロレタリア独裁を確立することなしには、社会主義的変革と社会主義建設の任務を全面的に遂行することはできない。」と述べ、不破前議長も「社会主義日本では、労働者階級の権力すなわちプロレタリアート独裁が樹立されなければならない。」と述べている。このように、日本共産党は、今もマルクス・レーニン主義に立脚し、「敵の出方論」に基づく「暴力革命」と「プロレタリアート独裁」の概念を否定も放棄もしていない。

 日本共産党が今後も「野党共闘」において重要な役割を果たそうとするならば、「共産主義の実現」を党是とし、「科学的社会主義」(マルクス・レーニン主義)を理論的基礎とする日本共産党の存在そのものが、自由と民主主義を基本原理とし、議会制民主主義に基づく選挙によってのみ政権交代を認める日本国憲法体制と矛盾しないかについて、厳しく検証されるべきであろう。ちなみに、旧西ドイツでは共産党は1956年連邦憲法裁判所から禁止命令が出されて解散し、アメリカでは共産党は1954年共産主義者取締法によって非合法化されている。(おわり)

(連載1)共産党は憲法体制と矛盾しないか?  ツリー表示
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-14 18:31  
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3401/3404
 周知のとおり、日本共産党は「綱領」において「社会主義・共産主義社会の実現」を目的とすると規定している。すなわち、共産党は現行の2004年1月17日第23回党大会採択「綱領」の「五」において「社会主義・共産主義の社会をめざして」と題し、「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる。」と規定している。これは共産党の最重要な目的であり党是でもあると言えよう。そして、「綱領」の冒頭において、「日本共産党は科学的社会主義を理論的な基礎とする政党として創立された。」と宣言している。

 しかし、このような「共産主義の実現」を党是とし、「科学的社会主義」(マルクス・レーニン主義)を理論的基礎とする日本共産党の存在そのものが、自由と民主主義並びに議会制民主主義に基づき選挙による政権交代を基本原理とする日本国憲法体制と矛盾しないかについて、改めて検証されるべきであろう。なぜなら、日本共産党はマルクス・レーニン主義を「科学的社会主義」と称しているが、マルクス・レーニン主義の本質は「暴力革命」と「プロレタリアート独裁」による社会主義・共産主義の実現だからである。

 エンゲルスは「暴力は革命的な役割を演ずる、マルクスの言葉をもってすれば、新しい社会を孕む一切の古い社会の助産婦である。」(エンゲルス著『反デユーリング論1』)と述べ、マルクス・エンゲルスは「共産主義者はこれまでの一切の社会秩序の強力的な転覆によってのみその目的が達成されるのだと公然と宣言する。」(マルクス・エンゲルス著『共産党宣言』)と述べ、暴力革命の重要性を説いている。レーニンも「ブルジョア国家がプロレタリア国家と交代するのは通例暴力革命によってのみ可能である。」(レーニン著『国家と革命』)と述べ、暴力革命の不可避性を強調している。

 日本共産党はいわゆる「敵の出方論」を今も放棄していない。「敵の出方論」とは、共産党のいう「敵」すなわち反動勢力や反革命分子が社会主義革命に対して反抗や反革命を行った場合は、非平和的手段すなわち「暴力」で打倒するということである。1964年5月21日の第八回党大会の政治報告では「平和的か暴力的かは敵の出方による。現在の国家権力がたやすく権力を人民に譲渡するとは考えられない。」としている。宮本顕治元日本共産党議長は「革命への移行が平和的となるか非平和的となるかは、結局敵の出方によることは、マルクス・レーニン主義の重要な原則である。」(宮本顕治著『日本革命の展望』)と述べ、不破哲三前日本共産党議長も「わが党は革命への移行が最後的には敵の出方にかかるという立場をとっている。」(不破哲三著『人民的議会主義』)と述べているが、日本共産党は上記政治報告の通り、社会主義革命においては、「敵」の反抗や反革命を当然の前提としており、社会主義・共産主義を実現するためには、「敵の出方論」に基づく「暴力」の行使を排除せず、結局「暴力革命」を放棄していないのである。(つづく)

(連載2)沖縄知事選のゆくえ ← (連載1)沖縄知事選のゆくえ  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-13 17:35 [修正][削除]
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3400/3404
 では、その後継者として期待される玉城デニー氏ですが、産経によると本来21日にも行うとされた出馬表明を先送りしています。理由は多分、自由党党首の小沢一郎氏の影響力ではないかと思います。小沢氏は「勝てる選挙なら出馬せよ」といったとされます。これは重い言葉で玉城氏が翁長氏と同様の県民の支持を受け継げるか、本人が一番悩んでいるのではないかと思います。それが故の「出馬表明延期」ともとれます。圧倒的自信があれば突き進むことを即断したはずです。

 また、知事不在の際の代行者である謝花喜一郎副知事が工事撤回を国に申し入れるのではないか、とされますが、今のところ、それが行われていません。謝花氏は「覚悟はできている」と述べていますが、個人的覚悟ではなく、国が撤回に対して賠償請求をした際の責任はとれるのか、という公的責任は違うものだとご理解されているのだろうと思います。つまり、わずか、ひと月の代行期間に行う判断としてはふさわしくない判断であるのです。踏み込みにくいポイントです。

 沖縄知事選のゆくえを決めるのは玉城氏にしろ誰にしろ、反対派のボイスが翁長氏の流れをそっくりくみ取り圧倒的支持をもって盛り上げ、「スタイルを作る」以外に方法はないと思います。言い換えれば沖縄県民にとって辺野古移転反対VS容認のバトルは十分にやってきているわけで今回は候補者が選挙に向けて勢いにのれるかどうかにかかっているとも言えないでしょうか?

 もっと言わせてもらうと翁長氏が明白なる後継者を育てなかった点で引継ぎがうまくいっていないように感じます。ほとんど誰も聞いていない翁長氏の音声テープから二人の後継候補の名前が挙がるまでは候補者を探る「調整会議」で誰にしようか、と相談するところだったわけです。そんな戦い方はないでしょう。その時点で個人的には戦略ミスだと考えています。9月の沖縄がどれぐらい熱くなるのか、注目しています。(おわり)

(連載1)沖縄知事選のゆくえ  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-12 19:49  
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3399/3404
 翁長知事の逝去を受け、沖縄の知事選が9月30日に行われます。週刊誌的に見れば、辺野古移設反対派と容認派との戦いとなるのでしょう。私もこの選挙には興味があり、ニュースをそれなりに読んでいるのですが、私が見る今回の切り口はそのような表面的争いというより、翁長氏の意思を継ぐ派と考え直す派と容認派の3派に分かれるような気がしています。

 形勢としては移設反対派のポジションは弱い気がします。今年6月、新潟の知事選で原発反対の知事が続いた後、自公支持の花角英世氏が当選しました。なぜ、今までの流れが変わったのか、当時の解説は野党が分裂し彼らの公認候補を推すのではなく、野党が自分の好きなことを選挙期間中主張したとされます。が、もう少し考えると再稼働反対派が期待したのは原発反対のポリシーを唱える知事そのものだったのではないか、という気がするのです。ところがその米山隆一氏が格好悪い辞任のしかたをしたことで支持層の熱意が冷めてしまったということではないかと思うのです。

 もう一つ、例を挙げるなら、小泉元総理が郵政解散をした際、圧倒的支持を受けて小泉氏が再選されました。なぜでしょうか?国民は郵政問題にどこまで深い興味があったか私には疑問でむしろ、小泉氏のスタイルに信奉者が多かったということではなかったでしょうか?同じことは安倍首相や都知事選の際の小池百合子氏にもいえ、個々の政策問題よりも政治家、あるいは一人間としての支持ではないかと考えるのです。

 翁長氏の知事としての活動はぶれることがなく、体を張った戦いぶりであったことに県民が深く敬意を表した点において争点云々ではなく、翁長氏のスタイルが圧倒的支持基盤だったと考えています。(つづく)

(連載2)自由貿易主義で国家は何を失うのか? ← (連載1)自由貿易主義で国家は何を失うのか?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-11 10:26 [修正][削除]
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3398/3404
 古典的な自由貿易主義理論は‘予定調和’を説いており、自由貿易主義、あるいは、グローバリズムは、その理想を実現しさえすれば、自動的に全ての諸国に富をもたらすとする錯覚を与えています。しかしながら、現実は、貿易収支の均衡も互恵的な富の配分も実現するわけではなく、誰もが‘予定調和’に懐疑的にならざるを得ないのです。そして、この現実が明らかにしたのは、一旦、自由貿易協定や経済連携協定を締結してしまうと、国家による救済・調整機能が失われるという点です。

 この現象は、EU加盟国であるギリシャのソブリン危機でも見られましたが、同国では、条約の縛りにより(1)から(3)までの政策を採ることができず、主として(4)に頼るしかありませんでした。通常の経済協定では通貨統合を含みませんので、(2)の政策を採ることは可能でも(それでも、他の加盟国から為替操作として批判されるかもしれない…)、関税率や輸入量の見直しによって救済・調整機能を果たすことは最早できないのです。

 今日、TPP11が発足する見通しとなり、RCEPについても年内大筋合意に向けた動きも見られます。しかしながら、1993年に欧州市場が誕生した際に、多くの人々が‘バラ色の未来’を夢見たものの、現実は思い描いていた通りにはなりませんでした。TPP11等の枠組でも、発足には漕ぎ着けたものの、その後、国際収支の不均衡等に起因して金融危機、財政危機、並びに、通貨危機をはじめ、深刻な経済問題に直面した加盟国が出現した場合、一体、どのように対処するのでしょうか(EUのような救済の仕組みもない…)。

 多国間による広域的経済圏の形成は、同時に、政府が、全てではないにせよ、経済分野で発生する危機や問題に対する有効な政策手段を失うことを意味します。現実を見つめますと、自由貿易主義の危うい理想を貫くよりも、国家の救済・調整機能を維持し、内外の経済が調和するよう、これらを上手に活かすことこそ肝要なのではないかと思うのです。(おわり)

(連載1)自由貿易主義で国家は何を失うのか?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-10 21:03  
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3397/3404
 戦後、自由貿易主義は国際経済の基本原則となり、各国は、こぞって関税率の引き下げや数量規制の撤廃等に熱心に取り組んできました。二国間であれ、多国間であれ、他国との自由貿易協定や経済連携協定の締結も政府の通商政策上の重要課題となり、その結果、現在に至るまで数多くの地域的経済圏が誕生してきたのです。しかしながら、トランプ政権が着手したNAFTAの見直しが象徴するように、今日、自由貿易主義は曲がり角に来ているのです。

 それでは、何故、自由貿易主義、あるいは、グローバリズムは、現実を前にして立ち尽くすことになってしまったのでしょうか。この問題を考えるヒントの一つは、9月6日付の日経新聞朝刊に掲載された記事に見出すことができます。記事の内容は、インドネシア政府による関税率引き上げとインドネシア・ルピアの相場下落に関するものであり、その原因として、同国が抱える貿易赤字を指摘しています。

 通常、何れの国も貿易決済不能に陥らないよう、IMFに加盟すると共に、外貨準備を積み上げています。しかしながら、赤字が恒常化する、あるいは、外貨不足が深刻化する場合には、政府には、幾つかの取り得る政策手段があります。最も一般的な手段は、(1)関税率を引き上げて他国からの輸入量を減らす、(2)自国通貨を切り下げて自国の輸出競争力を高める、(3)他国からの輸入を手控えて自国製品で代替する、(4)外部からの融資や支援を受けて急場を凌ぐ、の4つです。これらの手法はごく一般的な経済政策の‘いろは’でもあり、政府は、デフォルトや通貨危機を脱し、自国経済を救うために自らの政策権限として実施してきました。乃ち、貿易から生じる不均衡問題に対しては、(4)の国際機関のIMF頼みのみならず、(1)・(2)・(3)という各国政府による政策の実施も、救済・調整機能を果たしてきたのです。

 今般のインドネシアの措置の場合、政府が意図的にルピア安に誘導したのかどうかは分かりませんが、少なくとも関税引き上げについては、その目的が貿易赤字の改善であったことは確かなようです。同記事は、取り立ててインドネシア政府に対して批判的な論調ではなく、むしろ、理解を示しているようにも読めます。ところが、同様の措置をアメリカが取りますと、雨や霰の如くに批判の矢が降り注いでくるのです。トランプ政権が実施している関税引き上げ、ドル安容認、自国製造の推奨は、まさしく貿易赤字国が採る常套手段に他ならないにも拘わらず…。(つづく)

 

最近の日中関係について   
投稿者:中山 太郎 (東京都・男性・非営利団体非常勤職員・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-08 13:49 [修正][削除]
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3396/3404
 知日派の中国知識人と、日中関係について懇談した。その内容を紹介したい。

 知日派の中国知識人は、「日本へ来て、日本の政界財界関係者が日中関係を動かそうと非常にポジティヴなのが印象的だ。10月23日の日中平和友好条約締結40周年をめどにしての安倍総理の訪中、そして来年の習近平主席の訪日が目玉日程だ。日本外交は、以前は欧米と違い、あまり人権、民主、自由などを旗印にすることはなく、現実主義を貫てきた。安倍総理になり、対中国包囲網構築のためこれらスローガンを使うようになった。いわゆる「地球儀を俯瞰する戦略外交」だ。しかし、最近の米、トランプ政権の同盟国切りの動きに日米同盟の価値を持続できるのか疑問視されるようになった。これから、米の日本たたきが行われないとの保証はない。そこで、保険を掛けるためにも対中関係改善へ動き出すのだと見る中国側識者もいる」と述べていた。

 また、尖閣に関して「隣国同士の領土問題はいつも厄介な問題だが、われわれ知日派は、尖閣につき、福田政権当時から、日本が慎重に扱ってきたのを知っており、折に触れ、この日本の動きを秘かに宣伝してもいる(笑い)。勿論、日本びいきは表に出すと国内の一部の過激なナショナリストから目の敵にされ、かえって日中関係を悪くさせるので、水面下で、理解出そうな中国人向けに話をする。当時の園田外相は、尖閣への日本の活動家の上陸や灯台設置への動きなどを慎重に押しとどめ、日本の潜在自主権を静かに維持した。これは、竹島や、北方領土での施設の大々的設置や人の移住奨励などの動きとは大違いだ。日本の品格ある対応につき理解する中国人も多い。特に、近年600万人以上の観光客の多くが、日本のきれいな空気きれいな水、丁寧なサービスに魅せられて帰国するものが多い」と述べていた。

 最後に、日中関係と習近平体制について、「60年代70年代の毛沢東や周恩来が、日中関係促進のために唱えた『軍民二分論(日本の一部軍人と一般国民とを二分し、前者が中国へ悪さをしたので後者は中国人と同じ被害者の立場だとするもの)』が、今や通用しない意見多様化の時代になりつつある。面白いことに、真に戦争を経験した者たちは、かえって上記の『二分論』を支持するが、戦争経験のない若者たち、とくに中国が豊かになりつつある時代以後のものは、イデオロギーに染まり、反日ムードに流されやすいことだ。しかし、じかに訪日しての日本経験で、すっかり日本びいきに転向する。日中間の衝突は、習近平政権の一部過激派を喜ばす、彼らは中国の国内団結の材料に使えるとほくそえむのだ。日本が平和で静かに繁栄をしてくれることが、中国の人権、民主、自由の真の向上に貢献するのだ。世界の一部専門家の中国経済への危機感は、中国でもひそかに囁かれている。一般国民は経済の浮上、昨日より確実に生活が向上していることにウキウキしているものが多いが、知識人たちの少なからぬものが、習近平体制の言論弾圧や汚職追放を表向きにしての権力闘争に嫌気がさしている。不満は溜まっている」と述べていた。

危機に瀕する中国経済   
投稿者:赤峰 和彦 (東京都・男性・自営業・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-07 11:19 [修正][削除]
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3395/3404
 米中間の経済摩擦が激しさを増す中、中国は今後どのようになるのか。朝日新聞は「世界恐慌の引き金を引く危険すらある」「戦争に突入する危険も」として「愚かで危険な米中『貿易戦争』を止めよ」と報じています。中国の窮状を朝日新聞が代弁せざるを得ないほど中国経済はひっ迫しています。中国は国家戦略として統計数字を操作し経済大国を装っています。しかし、2015年の中国株大暴落を発端にバブル経済は崩壊し、政府による市場介入の効果もなく急速に減退しています。この影響で、富裕層の所得の伸びが止まり、家賃などの家計債務の圧迫で消費意欲が低下している状況です。また、特別引き出し権(SDR)の構成通貨の人民元が実際には市場での信用を失い、海外に資本が流出し始めています。富裕層の間では保有資産を守るために仮想通貨を経由してドルに移す動きも出ています。この先アメリカによる経済制裁が一層強まれば、中国経済の破綻が現実のものとなるのは時間の問題と言えます。

 毎年夏に党指導部や長老らが集い人事や重要政策について議論する北戴河会議に、序列5位の王滬寧氏の姿がないため、失脚したのではないかとの噂がありましたが、実際には米中の貿易対策のために会議に出なかったようです。習政権は強気の構えですが有効な対抗策はありません。「一帯一路計画」もほとんど機能せず、これまで援助してきた発展途上国から債務の踏み倒しも始まり資金の回収が見込めなくなっています。また、中国の軍事力増強が伝えられていますが、米中の軍事力には圧倒的な差があり、こうした中国の虚勢は何の役にも立ちません。

 今でさえ中国国民の7割が中国共産党政権に不満を持っている状況下で、アメリカの経済制裁が直接的に国民の生活レベルに影響が及ぶと、今まで以上に国民の不満が高まることになります。歴代王朝がことごとく農民などの反乱によって崩壊したように、反政府運動が中国の至るところで発生すると予想されます。また、最近頻繁に起きている人民解放軍の退役軍人による反政府デモは、「現役の人民解放軍の軍人が中国政府を守らない」ことを意味しています。その理由の一つには、従来から軍の内部ではびこっていた汚職行為が、習政権が推し進める「汚職追放による軍事改革」によって断ち切られ、締め付けが強まったため軍人の不満が鬱積していることにあります。彼らはもともと国家の防衛のことよりも自分の保身や私腹を肥やすことのほうが大切だからです。

 2017年10月の党大会で絶対的権力を手にした習近平主席であっても、国民の総反発と軍の離反で失脚の可能性もありえます。後継は権力志向の強い胡春華氏と見られており、今後国内の取り締まりは一層強硬なものになると思われます。そうなると、国内は一層混沌となり、政府の威令がどこにも及ばない状況になりそうです。政府の威令の源泉はお金です。アジア大会での中国選手の士気は多額の報奨金によって保たれています。しかし、国家財政の悪化に伴い選手の士気は極端に落ちます。これと同様に、国策で資金を投入されていたところは資金が断たれれば衰退し、その結果、国家としての威信が保てなくなります。それが事実上の共産党政権崩壊の引き金となる可能性が高いのです。

「辺野古埋め立て承認撤回」は法的根拠に乏しい。   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-06 16:04 [修正][削除]
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3394/3404
 沖縄県は8月31日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する仲井真前沖縄県知事による公有水面埋立法に基づく埋め立て承認を撤回した。行政行為の撤回とは、行政行為後に義務違反や公益上の必要性など新たな事由が発生した場合に、将来にわたりその効力を消滅させる行政行為である。沖縄県は撤回の理由として、(1)国は埋め立て承認に付した工事の実施設計や環境保全対策に関する留意事項に基づく事前協議を行わず工事を開始した、(2)辺野古大浦湾の軟弱地盤の存在、埋め立て予定地の活断層の存在、高さ制限を超える建築物の存在、辺野古基地が造られても別の滑走路を用意しなければ普天間基地が返還されないこと、がそれぞれ埋め立て承認後に明らかになった、(3)埋め立て承認後に策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じる、と主張している。沖縄県による承認撤回に対して、国(防衛大臣)は行政不服審査法に基づき、処分庁沖縄県の上級行政庁である国土交通大臣に対して、不服審査請求ができる(行政不服審査法2条、4条3号)。国土交通大臣は必要があると認める場合は、執行(撤回)の停止ができる(同法25条2項)。さらに、国は行政事件訴訟法に基づき沖縄県に対して、撤回の取り消しを求め、行政訴訟(抗告訴訟)が提起できる(行政事件訴訟法3条、9条1項)。撤回により重大な損害が生じる場合は、裁判所は執行(撤回)の停止ができる(同法25条2項)。

 沖縄県主張の撤回理由の(1)については、仮に何らかの「手続き違反」があったとしても、それによって沖縄県に重大な被害や損害が発生したかどうかが問題であり、そうでなければ撤回理由には当たらない。沖縄県はかねてより「辺野古移設工事絶対反対」の立場であり、国と対立して事前協議においても移設工事を阻止妨害し、国に協力することはあり得ない点も考慮されるべきである。撤回理由の(2)の「軟弱地盤」については、仮に「軟弱地盤」が存在するとしても、土木建設工事上の技術的問題として解決可能であり、撤回理由には当たらない。「軟弱地盤」による撤回を主張する以上は、沖縄県において技術的に移設工事自体が不可能であることを証明しなければならない。軟弱地盤対策として、シート工法、パイルネット工法、サンドドレーン工法、バーチカルドレーン工法、ジオグリッド工法、サーチャージ工法、ジオテキスタイル工法など、様々な土木建設技術上の工法があるのは周知のとおりである。

 撤回理由(2)の「活断層」については、もともと移設工事自体に反対する一部の学者が主張しているものであり、「活断層」の存在は現時点では「疑い」にとどまり、証明されていない。仮に存在したとしても、基地の重要施設については耐震構造の強化により解決可能であり、撤回理由には当たらない。撤回理由(2)の「高さ制限」や「返還条件」については、米国側との協議によって解決可能であり、撤回理由には当たらない。撤回理由(3)の「環境保全」については、本件に関する2016年12月20日付け最高裁第二小法廷判決(民集70巻9号2281頁)でも、審理の対象になっており、埋め立て承認につき環境保全対策にも特段不合理な点はないと判断しているから、撤回理由には当たらない。このように見てくると、沖縄県主張の撤回理由は、いずれも撤回理由には当たらないから、撤回で生じる移設工事遅延による米国との外交安全保障上の不利益や、普天間飛行場の返還遅延による不利益と、撤回で生じる沖縄県の公益上の必要性を比較衡量した場合に、沖縄県側の公益上の必要性の方が大きいとは到底認められないであろう。

 上記最高裁判決は、公有水面埋立法4条1項1号の「国土利用上適正かつ合理的であること」については、普天間より面積が縮小される、住宅地上空の飛行が回避される、埋め立ての規模及び位置につき社会通念上明らかに妥当性を欠く事情は認められない、との理由で適正かつ合理的と認定している。また、同法4条1項2号の「環境保全及び災害防止」に適合するとした仲井真前知事の判断に特段不合理な点はなく違法性は認められないと認定している。以上の通り、本件「撤回理由」はいずれも法的根拠に乏しく、「無理筋」であり、行政訴訟では到底容認されないであろう。のみならず、本件に関し、公有水面埋立法に基づく仲井真前知事による埋め立て承認に違法な点は認められないとした上記最高裁判決が確定し存在するにもかかわらず、法的根拠に乏しい理由により敢えて承認撤回をし、移設工事を遅延させた場合は、職務執行における故意または重大な過失による知事権限の乱用として違法性を帯び、沖縄県知事個人並びにこれに加担した場合は、副知事など県職員個人にも共同不法行為として、法的に移設工事の遅延による莫大な損害賠償責任が発生することは否定できないのである(2015年12月22日付け東京高裁国立市元市長3123万円損害賠償責任認容判決=判例時報405号18頁。2016年12月13日付け最高裁第三小法廷上告棄却決定により確定)。

漂流する北朝鮮問題   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-05 19:34 [修正][削除]
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3393/3404
 トランプ大統領はポンペオ国務長官に訪朝予定のキャンセルを指示しました。前回の訪朝の際に明白な果実がなく、今回も金正恩委員長に会える確約がないことから「行ってもしょうがない」と判断したのでしょう。ディールする価値がない相手のところにわざわざ行く必要はない、というポジションかと思います。思い返せば6月にトランプ大統領がシンガポールで金正恩委員長と会談した際、まるで新時代が築かれるような発言を繰り返し、核の脅威はなくなったとまで言い放っていました。つまり、緊張関係が緩む、ということで、そこで得したのは北朝鮮のみならず、中国とロシアでありました。会談したトランプ大統領がそういうならもういいのだろう、という緩んだ形が中朝国境当たりのビジネスの再活性化につながっています。

 表面上、北朝鮮は弾道ミサイル実験をしなくなりましたが、その真意はどこにあるのでしょうか?折しも北朝鮮に拘束されていた日本人が「追放」という形で釈放されるようです。人道的理由としていますが、北朝鮮はどこに向かっているのでしょうか?北朝鮮とアメリカの立場の違いは明白です。非核化が第一義とアメリカが主張しているのに対し、北朝鮮は体制保証や制裁解除を優先させる立場にあることです。事実、非核化と言っておきながら寧辺の核関連施設の稼働を続けるなどの行動が見られ、アメリカの求める方向とは真逆の状態にあります。また、韓国の文大統領が9月に平壌での南北首脳会議を見込んでいるほか、習近平国家主席の訪朝も噂されています。9月9日の北朝鮮建国70周年でも大規模なパレードとなりそうで国の威信をかけるようにも見受けられます。

 個人的には北朝鮮から核をとったらただの貧乏な国でしかなく、アメリカが必死に交渉しようとする動機もなくなります。つまり北朝鮮からすれば何が何でも核の放棄はしないポジションにあるのではないでしょうか?一定の強気の立場を貫きながら中国、韓国、はたまたロシアとディールするのでしょう。最終目標は北が主導する南北統一、ないし北が圧倒的に有利な平和条約締結ではないかと考えています。以前から何度も指摘していますが、朝鮮半島の長い歴史の中で争いごとが多かったのが半島情勢です。そしてその主導権や影響力は半島の根元に近い方が有利という歴史もあります。冊封関係もつ中国が控えているからでしょう。今、韓国の経済情勢は決して芳しいとは言えません。トルコの通貨ショックを機に新興国の苦境が伝えられていますが、韓国もその枠組みに入るのではないか、と見られています。これは文大統領が北朝鮮に余計にすり寄る背景にもなりえると言えます。

 対北朝鮮政策についてはぐっと締め付けを強化すべきでしょう。アメリカは北朝鮮により厳しい態度を示すべきですし、中国との貿易戦争ディールの中で北朝鮮制裁の強化を条件に加えるぐらいの圧力はかけ続けるべきです。トランプ大統領が金委員長にずいぶん優しいメッセージを送っていますが大統領の心理からすると相手の出方が読めない苦しさが見て取れます。経済的に破綻していると言われ続けてすでに何十年もたっていますが、破綻しません。それなりの地下経済網が発達しているからでしょう。ここは一度締めなおす気構えが必要かと思います。

円高リスクを招く日銀   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-04 17:08 [修正][削除]
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3392/3404
 小賢しい「エリート」は追い込まれると、往々にして横文字に頼る。日銀の黒田東彦総裁が7月末の金融政策決定会合後に強調した「フォワードガイダンス」もその例である。直訳すれば「金利の先行きの指針」で、従来の低金利維持のためだという。そもそも中央銀行による金融政策というものは、洋の東西を問わず当面の市場金利の誘導を目的としている。あえてカタカナで言うのは、真の狙いを隠すためではないか、と疑いたくなる。

 黒田総裁はガイダンスについて、「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と説明。「現状維持」と言えば済むはずだが、横文字を引っ張り込んだ以上、あまり知られたくない変数を紛れ込ませていてもおかしくない。「“悪魔”は細部に宿る」。総裁発言をチェックすると、現在はゼロ%前後に誘導している長期金利を0・2%まで上昇してもよい、というくだりが見える。償還期間10年の国債利回りを基準とする日本の長期金利は、米金利上昇の影響を受け、市場では先高観が漂っている。そんな中で、一般的な融資よりも国債の運用に頼るメガバンクは収益悪化に遭遇し、日銀に対し不平不満たらたらだ。そこで、日銀は「これからは金利上昇の余地あり」というシグナルを送った。が、建前はあくまでも「現状維持」である。

 日銀は白川方明前総裁時代末期の2013年1月、安倍晋三政権との間で脱デフレに向け、物価安定目標と称する2%のインフレ率実現の共同声明に署名した。安倍首相はその早期達成を確約する黒田氏を高く評価し、同年3月に日銀総裁に抜擢した。ところが、黒田日銀はそれに失敗し続け、2期目に入っても2%達成の意欲が見受けられない。デフレ圧力が続く原因は14年4月からの消費税増税で、増税実行に向け安倍首相の背中を強く押したのは財務官僚上がりの黒田氏である。増税に伴う景気への悪影響は金融政策でカバーできるが、増税しない場合の金利暴騰リスクには対応できない、と論じ首相をビビらせた。増税の結果、アベノミクスは失速、デフレ圧力が再燃した。

 黒田氏はその後、マイナス金利導入に踏み切るなど「異次元緩和」を追加してきたが、不発続きだ。2%達成を無期限延期せざるをえないのは、財務省の増税路線に黒田氏が肩入れしたためだ。異次元緩和によって、唯一成果が認められるのは超円高の修正だ。異次元緩和開始当初は日本の急速な金利低下に従って円安局面に転じたが、消費税増税後は物価下落とともに日米金利差が一挙に縮小し、円安傾向が止まり、現在に至る。日銀がこのまま金利の上昇を容認し、デフレ圧力が去らない場合どうなるか。黒田総裁はしきりに「海外からのリスク」を口にするのだが、円高リスクには対応できそうにない。

終わらない三つ巴の世界大戦   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-03 12:11 [修正][削除]
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3391/3404
 第二次世界大戦とは、その三つ巴の構図において人類の戦争史にあって稀なケースに分類されます。1対1となる一般的な戦争では、武力を以って争いに決着が付けられれば戦争は終結しますが、三つ巴の場合には、1対2の構図による戦争が終わっても、すぐさま勝者の間での1対1、あるいは、別の組み合わせによる1対2の構図の対立が生じてしまうからです。

 第二次世界大戦を大まかにスケッチしますと、自由主義陣営、共産主義陣営、並びに、超国家主義陣営の三陣営による三つ巴において(超国家主義の‘超’は、ここでは‘スプラ’ではなく、自国の他地域への拡大志向を含む‘ウルトラ’の意味…)、1対2、即ち、枢軸国対連合国の構図で戦争が遂行されました。連合国には、自由主義陣営と共産主義陣営の両者が含まれていますので、1対2となるのです。第二次世界大戦と冷戦との関係については、断絶論と継続論があるものの、世界を舞台とした対立が当初から三つ巴であった点から見ますと、日本国の降伏を以って全ての対立関係に、イデオロギー対立を含む政治的な決着が付いたわけではありませんでした。超国家主義陣営が消えた後に、米ソ間の1対1の対立による二極構造が出現し、枢軸国陣営を吸収した自由主義陣営が共産主義陣営と鋭く対立するのです。こうした点を踏まえれば、説得力は、継続論の方が優っているかもしれません。

 それでは、1990年代におけるソ連邦の崩壊とそれに付随する冷戦終結は、第二次世界大戦を過去のものとしたのでしょうか。現状から判断すれば、終結からはほど遠いとしか言いようがありません。ロシアは、プーチン政権の下で共産主義から超国家主義へと変貌を遂げており、共産主義陣営の盟主を引き継ぎつつ、ソフトな超国家主義へと転換した中国と緩い陣営を形成しているように見えます(もっとも、米ロ連携の可能性もないわけではない…)。ここでも、1対2に構図の再来が予感されるのであり、さらに多極化が進めば、三つ巴を越えた四つ巴や五つ巴の構図もあり得るかもしれません。ジョージ・オーウェルが描いたかの『1984年』では、世界全体が3つの帝国によって支配されており、戦争はこれら三者の‘組み換え’によって永遠に続いています。オーウェルは、三つ巴の対立構図が、‘恒久平和’どころか、‘恒久戦争’をもたらすメカニズムとなり得ることを、小説を介して人類に警告したかったのかもしれません。そして、イデオロギー色が薄まった今日、世界大の三つ巴は、‘帝国’間の対立として『1984年』の構図に類似してくる可能性も否定はできないのです。冷戦終結後も続く新たな対立構図は、人類の未来に暗い影を落としています。

 現状を見ますと悲観に暮れてしまうのですが、希望が全くないわけではありません。先ず、確認すべきことは、共産主義であれ、自由主義、特に新自由主義であれ、そして、超国家主義であれ、何れも拡張主義を旨としており、国民国家体系を踏み躙っている点です。戦後の風潮として、国民国家を戦争の主因と見做し、同体系を早急に壊すことこそ平和への道とする考え方がありました。しかしながら、実のところ、行くべき道は逆であって、法の支配によって擁護される国民国家体系こそ、人類が失ってはならない平和の礎なのではないでしょうか。この認識さえあれば、すべきことは自ずと見えてくるのではないかと思うのです。

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投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-31 11:31 [修正][削除]
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3390/3404
 中国が簡単にへこたれるような国ではないのは日本が一番知っているはずです。分かっていないのはトランプ大統領だけかもしれません。トランプ大統領が在任期間は「俺様流」でいい気になれるかもしれませんが、かの国は100年でも1000年でもそのリベンジの機会を探し続ける性格を持っています。私が過去何年にもわたって中国を侮ってはいけない、とつぶやき続けたのはあのしぶとさは日本人の粘り以上で世代を超え、子孫に伝え続け、雪辱を果たす気持ちが異様に強い点であります。

 中国の体制についての厳しいコメントも多数あります。それはそれで共感しておりますが、私は政治体制など表層的事象ではなく、中国人のマインドそのものがもっと怖いと思っております。アメリカの人口は3億、中国は13億。かたや成熟、かたやまだまだ伸び盛りです。アメリカにしても中国への市場アクセスは喉から手が出るほど欲しいはずです。

 今、アメリカは何をしたいのか、と考えるとオバマ時代に弱体化したアメリカ人の自信の回復を目指しているのではないかと思います。その中でトランプ大統領は中国がその邪魔をし、技術を流用し、市場を荒らしていると考えています。その指摘は十分理解しています。ただ、アメリカにとってそのタイミングが遅すぎたのであれば、中国とWIN-WINの関係を作るのもアメリカ経済を飛躍的に拡大させるアプローチの一つではないかと思います。

 個人的には中国の歴史に憎きアメリカと記載され、教科書的に伝承される前に落としどころを見出した方がよいと思っています。それ以上に日本の上空でバトルされるのはたまったものではない、という気持ちの方がもっと先にあります。そうでないと日本が橋頭堡にさせられるリスクもあるという点は忘れてはなりません。アメリカに利用される日本というのは大変困るのであります。(おわり)

(連載1)トランプ大統領へのしっぺ返し  ツリー表示
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-30 21:01  
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3389/3404
 日本経済新聞に「中国を追い込むリスク 過熱する貿易戦争」という記事が8月23日に掲載されました。チーフエディターの内山清行氏の署名記事ですが、これはよく書けていると思います。かいつまんでいえば、トランプの仕掛ける貿易戦争が再びエスカレートしているが、こんな戦争は将来に禍根を残すぞ、というトーンです。現状の起きている通商バトルだけを見れば確かに中国側の方が不利と見られます。理由は中国のアメリカからの輸入量はその逆の3割しかないために同じペースで関税バトルをし続ければ中国の分が悪いのは目に見えているからであります。

 短期的戦略としては、中国は王受文商務次官が8月に訪米し、事務レベル協議を行っています。これは8月に毎年行われている非公式の中国のトップシークレット会議、「北戴河会議」を受けての判断と思われ、気まずい両国間の交渉を仕切り直しするつもりだったと思われます。特に次官級がアメリカまで行くという以上、落としどころを持っていたと思われ、習近平国家主席や李克強首相の細かい指示を受けていたのではないでしょうか?ただ、この展開の先はまだ見えてきません。

 では長期的にはどうなのか、ですが、冒頭のチーフエディターの記事の警笛とは中国の「反撃」であります。記事に記載されている例として91年の台湾海峡危機の際、中国がアメリカに軍備上抑え込まれたことを受け、中国の爆発的な軍備拡張が進んだことを指摘しています。あるいは、近年、技術流出を防ぐため、アメリカが中国企業へバリアを敷いていますが、独自の技術開発力を備えつつある中国にはもはやどこまで効果があるのか、ということかと思います。

 同様の記事は英国のアディール・ターナー卿が日経ビジネスに寄稿している「中国の技術革新はもう阻めない」にも記載されています。アメリカの対中国対策は80-90年代にやっているならともかく、今さら何をやっても遅いという主張です。その中の一節にこうあります。「労働コストの裁定が中国経済を離陸させた。そして膨大な知識の移転がその後の成長を支えた。この移転のごく一部に産業スパイが介在したが、大半は自動的にかつ法律にのっとって行われた不可避なものだった」とあります。つまり中国の加速度的成長は必然だったということなのでしょう。(つづく)

(連載2)米中貿易戦争は米国農業が変わるチャンスか ← (連載1)米中貿易戦争は米国農業が変わるチャンスか  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-29 11:10 [修正][削除]
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3388/3404
 価格競争において優位にあるアメリカ農業が輸出志向であることは理解に難くはないのですが、輸出志向を国内向け生産へと転換することも、上述した自由貿易の欠点を是正する一つの方法となるかもしれません。

 近年、アメリカでは健康ブームが起きており、国民の間で食に関する関心が俄かに高まっているそうです。ところが、新鮮な野菜やくだもの、あるいは、有機栽培された穀物等を日常的に買うことができるのは、一部の富裕層や中間層に限られており(もっとも、今日、中間層は大幅に減少…)、一般の国民は、安価なジャンクフードや大量生産された加工食品に頼った食生活に甘んじざるを得ないそうです。この結果、肥満やメタボリックシンドロームに悩まされ、健康寿命や寿命にまで悪影響を与えているのです。その理由は、健康の維持に役立つ付加価値の高い農産物の価格が高いことに依りますが、アメリカの農業形態の大規模志向、並びに、農業のシステマティックな大量生産に基づく‘製造業化’もまた、その原因に挙げることができます。

 こうした現状からしますと、アメリカ国民の大半が健康的な生活を送るためには、内需志向の農業改革は、実のところ、避けては通れない課題なのかもしれません。米中貿易戦争の煽りを受けて余剰となる大豆なども、危機をチャンスに変えてその健康効果をアピールし、アメリカの消費者の嗜好に合った製品を開発すれば(ダイズ・バーガーや豆乳ミルク製品など)、国内需要を喚起することができます。また、さらなる構造改革としては、従来の大規模経営から中小規模経営への積極的なシフトを図ると同時に、健康維持効果の高い多様な作物を安価で生産し(穀物よりも単価は高いのでは…)、都市部への迅速な流通も実現すれば、アメリカ国民の食生活も健康状態も大幅に改善されることでしょう。

 輸出農産物については、気候や土壌によってアメリカでしか生産できない特産品に特化すれば、自由貿易の破壊力をも抑制することもできます。貿易が相手国の生産者を犠牲にすることなく相互の利益となるためには、国内産業の転換をも組み入れた、内外調和型の改革が必要なのではないかと思うのです。(おわり)

(連載1)米中貿易戦争は米国農業が変わるチャンスか  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-28 17:15  
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3387/3404
 米中貿易戦争の火蓋が切って落とされたことにより、中国を輸出市場としてきたアメリカの農家は苦境に立たされております。特に大豆を生産してきた農家への打撃が懸念され、11月の中間選挙への影響も予測されます。

 しかしながら、見方を変えれば、米中貿易戦争はアメリカの農業にとりまして、変革のチャンスとなるかもしれません。戦後、アメリカをはじめとした主要穀物生産国の要望もあり、GATT交渉の枠組であるケネディー・ラウンド辺りから、農産物は、国際通商体制において貿易自由化の対象に組み込まれることとなりました。大規模な穀物生産が可能な国ほど国際競争力に優りますので、以後、農産物輸出は、アメリカが他国と通商交渉を行うに際しても、重要な市場開放要求の項目となったのです。

 実際に、アメリカのワシントンD.C.で始まった日米間の新貿易協議(FFR)でも、アメリカ側は、農産物市場のより一層の開放を日本側に求めたと報じられております。もしかしますと、アメリカ政府は、中国で失った輸出市場の代替を日本国に求めているのかもしれません。

 しかしながら、自由貿易において農産物、特に穀物といった一般的な作物が劣位産業となりますと、自国の農業が壊滅するリスクは、如何なる国においても共通しています。しかも、農業とは、古来、人々の生活と密接に結びついてきましたので、農村社会がコミュニティーとして息づいている国ほど、その影響は計り知れません。自由貿易理論は、こうした相手国の社会にまで及ぶ破壊的な効果については看過しているのですが、この他者犠牲の作用は、倫理面からして心のどこかで痛みを感じざるを得ない、自由貿易が内包する負のメカニズムなのです。(つづく)

ミャンマー、ウズベキスタンを訪問して   
投稿者:鈴木 馨佑 (東京都・男性・衆議院議員(自由民主党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-27 21:08 [修正][削除]
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3386/3404
 国会閉会以降の七月下旬、一泊三日で、ミャンマーのネピドー及びヤンゴンとウズベキスタンのタシケントにそれぞれ出張し、会議や要人との面会をいたしました。トランプ政権発足以降、従来日米と中国で距離感のバランスをとって外交方針を進めてきたアジア諸国においては、先行きの不透明感から不安と混乱が生じてきています。同時に昨年10月の中国共産党第十九回全国代表大会以降の中国の周辺諸国への攻勢が従来にも増して激しさを増している状況でもあります。

 そうした中で、注目される両国において、中国やアメリカとの関係やそれぞれの国が抱える課題に関して、未来志向の意見交換を、それぞれの国の要人との間で行うことができたことは非常に有意義でした。両国ともに共通しているのは基本的に極めて親日的な国であるということ。ミャンマーに関してはよく知られているところですが、ウズベキスタンも第二次世界大戦後に抑留された日本人に関する経緯などがよく知られるところです。

 ミャンマーについては歴史的に中国への不信・反発が根強く存在している一方で、西側諸国からの制裁などで中国に依存せざるを得ない状況が生じたために、現政権においても中国寄りの姿勢を見せている経緯があります。ロヒンギャ問題などもあり、一方で地政学的に重要な国でもあり、我が国としても非常に重要な国の一つです。国際的な情勢を踏まえた戦略的な判断が求められます。

 ウズベキスタンについては、伝統的に中央アジアの中では最大の人口を擁する国で、かつ中国とロシア両国と距離をとってきた国でもあります。二年前にカリモフ大統領が死去し、ミリジョエフ大統領が誕生して以降は、中央アジアの近隣諸国との関係改善が進み、一帯一路のプロジェクトも進むなど中国やロシアとの距離感にも若干の変化が見られますが、中央アジアへの影響力や日本との関係などを考えれば、依然として我が国にとって非常に重要な国の一つです。これまでも千野アジア開発銀行総裁や麻生副総理をはじめ、多くの先輩方が日本とウズベキスタンの関係を深めてきました。今後、複雑化する国際情勢の中で、地政学的に重要な国々との密接かつ良好な二か国関係、様々な分野でのルールなどの国際公共財の整備は日米同盟と相俟って、我が国の安全保障や国際政治的な影響力の観点から極めて重要です。次世代の政治家として、地道に関係構築を行ってまいります。

貿易戦争、韓国は中国の道連れに   
投稿者:田村 秀男 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-24 17:14 [修正][削除]
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3385/3404
 中国に対するトランプ米政権の制裁関税は中国の金融市場を直撃、このトランプ弾の破片が真っ先にどこに飛び散るかチェックしてみたら、韓国である。政治・経済両面で中国に従属度合いを高めている韓国は対米貿易戦争で窮地に立つ中国の道連れになる運命なのだろうか。5月18日(金)にワシントンでの米中交渉が決裂し、貿易戦争懸念が高まった5月21日(月)を基準日として7月23日までの中韓の株価と人民元、韓国ウォンの対ドル相場を指数化すると、基準日以来、人民元、上海株とも下落が止まらない。

 ウォンは人民元と同調する形で下落し、韓国株価総合指数も上海株価総合指数に共振して下がる。上海株が下がるのは、対米輸出が大きく減り、企業収益が悪化するとの懸念の高まりによる。中国当局は輸出減退を食い止めるため、人民元の下落を容認するしかないが、市場介入によって小幅な変動にとどめ、急落は避けたい。他方で、景気の下支えのために、金融緩和する結果、元売り圧力は高まるばかりで、下落に歯止めがかからない。資本逃避も加速しつつあり、海外からの借り入れによって外貨準備を維持するしかない。元安で対外債務負担は増える。中国はトランプ弾によるショックを回避できないのだ。

 中国経済に対し、韓国はかなり深く浸かっている。韓国の対中輸出は全輸出の25%を占め、国内総生産(GDP)の1割弱に相当する。日本の対中輸出のGDP比は2・7%、米国の場合は0・7%に過ぎない。米国と日本の株価に上海株下落の影響がほとんどみられないのは当然だ。問題はこれからだ。トランプ政権は中国からの輸入品に対し、2000億ドル分について追加関税を発動する準備を進めているばかりでなく、さらに3000億ドル分も上積みして、対中輸入すべてに高関税をかけると示唆している。トランプ弾が巨大化するに従って、中国の金融市場は崩落危機が高進しかねない情勢だ。これまで韓国当局はウォン相場を人民元に連動させてきた。ウォンの対人民元相場が安定すれば、対中貿易がやりやすい。また、対ドル相場が同一幅で下落すれば、輸出市場での中国製品との競合が不利に陥らずに済むからだ。

 人民元急落に付き従えば、とんでもない災厄に見舞われる。韓国が依存する海外投資家はウォン安を嫌う。外資が韓国市場から手を引くと、韓国は外貨危機に陥りかねない。下手すると、1997~98年のアジア通貨危機の再来になる。韓国が最後に頼れるのは強い国際通貨円を発行する日本しかない。もとより人民元の中国はあてにならない。韓国経済界はもともと、自国の脆弱な金融事情を踏まえ、日本との通貨スワップ協定復活を熱望してきたが、韓国政府は政治的面子を意識して日本への要望を避けてきた。文在寅現政権はどうするか。

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