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2025-06-10 13:57
日本国債について
真田 幸光
大学教員
米国債と共に世界最高の安全資産とされていた日本国債の安定性が崩れかけているとの見方が出てきています。日本国債を購入する投資家が減少し、国債価格が急落(金利は急騰)しており、日本国内の機関投資家の国債購入意欲の減退も見られ始めています。「失われた30年」と呼ばれる長期不況の中でも日本政府の確実な資金源の役割を果たしてきた日本国債ですが、その安全神話が崩れるのではないかとの懸念が出てきているとも言えましょう。私たち、日本人にとっては、とても心配な状況です。日本国債の弱体化は日本円の価値の下落にも繋がりかねません。
こうした中、私の知るところ、グローバル金融市場では、「円を売って安全なスイス・フランに乗り換えるべきではないか。」との意見も出始めてきています。5月20日に行われた20年物国債の入札の際であり、国債入札の応札倍率が2.5倍に留まり、2012年8月以来、13年ぶりの低水準となったことと、平均落札価格と最低落札価格の差も、1987年以来最大となる1円14銭に開き、日本の内外では、「38年ぶりに到来した最悪の国債ショック」との声まで出てきました。日本の莫大な債務比率や7月の東京都議会選挙と参議院選挙を前にして、無能にも打ち出されている「バラマキ的な減税公約」などを背景とした、「日本の政治的無能さ」が挙げられています。世界最悪の借金大国である日本が国債を発行して減税の財源を賄おうとすれば、国債価格がさらに下がるのは目に見えており、そのような見通しが国債金利を押し上げていると言えます。ただ、私がここで申し上げたいのは、日本の政治家たちとは異なり、「消費税減税は間違いなく、日本の国内消費を刺激し、国内景気の拡大の刺激剤となることから推進すべきである。 すると、上述したような市場の懸念が生まれ、減税の結果、日本の財政状況はどうするのかという議論が出てこようが、その解決策は、ずばり、バラマキ的政策を精査し、予算執行を必要最低限としながら、財政規律を守る姿勢を示すことにある。」と考えています。
つまり、日本のどの民間企業でも行われているように、収入の少ない時には、予算そのものに優先順位をつけて、支出を減らしていくように、日本政府は何よりも、「財政支出を減らすべきである。」と言うことなのであります。 そうした姿勢も示さず、消費減税もせずでは、日本経済復活の未来すら予想出来ない、すると、日本国債を購入する者からすれば、現状からしても、将来を考えても日本国債に魅力を、夢を感じない、よって、購入意欲が減れば、上述したような入札結果となるのは、至極当たり前でありましょう。 尚、長期金利の上昇はトランプ政権による関税戦争が勃発して以降、世界的な潮流となっているとの声もありますが、問題は日本の上昇幅が最も大きいと言うことであり、私たち日本人はその点を意識しなくてはならないと思います。また、以前のように日本銀行が国債を買い入れれば問題はないとの見方もありますが、日本銀行も昨年から、「テーパリング(資産買い入れの縮小)」に入っており、余力はないというのが現実ではないかと思います。更に、その日本銀行の空白を埋める日本の民間投資家にも余力がなく日本の国債市場で最大の投資家となっている大手生命保険各社も、明確な購入意欲を示すことが出来なくなってきています。
そして、何と石破茂首相は、参院予算委員会で、「我が国の財政状況は極めてよくない。ギリシャよりも悪い。」となどと述べたことも、市場には心理的に悪影響を与えました。(尚、確かに、国際機関である国際通貨基金(IMF)の集計によると、日本は2023年末現在で国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率(政府債務残高対GDP比)は249.7%で世界1位となり2位のギリシャ(債務比率168.9%)よりは悪いのは事実ではあります。しかし、これまではそれでも安全資産としての日本国債は揺らぎませんでした。)こうしたことからしても、日本はやはり、「財政支出を大きく抑制しつつ、消費税減税を断行、国内景気拡大に向けて大きく舵を切るべきである。」というのが私の意見です。日本の金庫番、財務省様は絶対に反対されましょうが。
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