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2025-05-31 16:47
(連載2)キルギス・ウズベキスタン両国への公式訪問
鈴木 馨祐
法務大臣
こうした観点から、旧ソ連崩壊と各国の独立以降、日本は2004年から「中央アジア+日本」の外務大臣会合の枠組みを諸外国に先んじて立ち上げ、また強権的ではないパートナーとして産官学で様々な枠組みでの支援を行ってきました。そして、ロシアによるウクライナ侵攻や中国による周辺地域での軍事的な挑発行為の激化といった国際情勢の変化に伴う中央アジア地域の地政学的な重要性の高まり、さらには中央アジアの各国間の対立が緩和され、中央アジア各国間相互で一体感が醸成されてきていることなどを踏まえ、昨年日本としても「中央アジア+日本」の枠組みを従来の外務大臣会合に加えそれをレベルアップさせる意味で首脳会合を創設することで各国と合意し、2024年8月にカザフスタンで第一回首脳会合を開催する予定としていました。
この会合については、昨年8月8日に南海トラフ地震の臨時情報が発せられたことに伴い、当時の岸田総理大臣が長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典ののちにカザフスタンに直行する予定を断念し、第一回「中央アジア+日本」首脳会合が直前に延期となってしまった経緯があります。このような状況下にあって、今回の日本の閣僚としての、また法務大臣としてのウズベキスタン、キルギス二か国への公式訪問は、「中央アジア+日本」首脳会合の再調整(本件では2月に長島昭久総理補佐官も5か国を訪問)をはじめ、日本として中央アジア諸国へのコミットメントを示し、それぞれとの二国間関係、中央アジア諸国との連携を強化する上で極めて有意義なものとなりました。
残念ながら両国の大統領は出張で不在との状況で面会は出来ませんでしたが、名代として両国で大統領に次ぐNo2である首相(キルギス)、上院議長(ウズベキスタン)、カウンターパートである両国の法務大臣、ウズベクでは加えて外務大臣や旧知の元副首相などとそれぞれ会談を行い、今後の関係強化や現在の国際情勢に関して限られた日程の中で長時間にわたりかなり突っ込んだやり取りをすることが出来ました。特に二国間協力において、様々なプロジェクトや投資に加え、法務省は、経済発展の基礎となる、民間の商取引の予見可能性を高める、民事法や行政手続法など法整備や司法プロセス、人材育成についての協力をウズベキスタンとは長期にわたって、キルギスとは昨年から本格的に行っているところです。こうした各国国内における法的予見可能性、「法の支配」の強化は、社会の根幹にかかわる長期的視点からの支援として、日本が他国に比して強みを持つとともに、日本への期待が極めて高い分野でもあります。
また、当然のことながら国際社会における「法の支配」の原則の強化についても、ロシアや中国の現状に鑑みて、日本が中央アジアを含むアジア地域で「法の支配」をはじめとする「共通の価値」の旗振り役となることへの期待が非常に高いことも確認しました。今の国際情勢において、こうした司法外交の意義は極めて高く、またアジア・太平洋地域における日本の果たすべき役割として外交戦略上も非常に大きなものがあることをしっかりと認識し、今後も日本の国益のため、法務大臣として全力で尽力してまいります。(おわり)
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鈴木 馨祐 2025-05-30 16:43
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鈴木 馨祐 2025-05-31 16:47
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