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2025-07-22 11:54

電力事情について

真田 幸光 大学教員
 今春、イベリア半島で大規模停電が発生したことをご記憶に新しいかと思います。今回のイベリア半島全体の大停電は、「電力系統の電圧急変動」が原因とされ、スペインの電力システムが欧州から切り離されたことで需給バランスが崩れ、広範囲に及ぶ停電が発生したとされています。

 そもそも、電力は、「発電量と電力使用量」を基本的には一致させていく必要があり、そうした意味で、発電容量は最大発電量にまで高めておかなくてはならず、また、送電も需要に応じていかなければなれません。そして、万一、電力の発電量が消費量より少なくなれば、電力不足を背景として電力事情は混乱します。一方、逆に発電量が多過ぎると、蓄電しておくことが出来ず、送電網を上手にシャットダウンしたら調整していかなければならないと言った事態も起こり得ます。

従って、安定的な発電量の維持が比較的難しい、「自然再生可能エネルギー」の導入が進むと、送電インフラの整備が追いつかず、これが原因の一つとなり停電する可能性が高まります。こうして、今回のイベリア半島の大停電を契機に、改めてヨーロッパ全体に対して、「気候変動問題を意識すると化石エネルギーの使用は抑えるべきである。 一方、自然再生エネルギーでは、電力の安定供給が保障されない。従って、原子力発電をやはり選択していくことを検討すべきである。」
と言う声が一部では高まっているようであります。

 そして、原子力利権に近いと見られるフランス勢はこうしたことをビジネスチャンスととらえているようとの声もあります。一方、SDG’sに疑問を呈する米国のトランプ政権は化石エネルギーに戻る可能性もありましょう。さて、日本の電力問題、どのように解決していくべきでありましょうか。
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