政策本会議

第80回政策本会議
「今後の対ASEAN外交-ASEAN関連首脳会議を総括する-」メモ

2019年2月7日
東アジア共同体評議会事務局


髙橋直樹外務省アジア大洋州局地域政策参事官

 

昨年11月14~15日、シンガポールにおいて、ASEAN関連首脳会議(第21回日ASEAN首脳会議、第21回ASEAN+3首脳会議(APT)および第13回東アジアサミット(EAS))が開催されたことを受けて、第80回政策本会議は、これら一連の首脳会議に陪席した髙橋直樹外務省アジア大洋州局地域政策参事官を報告者としてお迎えし、「今後の対ASEAN外交-ASEAN関連首脳会議を総括する-」と題し、下記1.~5.の要領で開催された。


  1. 1.日 時:2019年2月7日(木)午後2時より午後4時まで
  2. 2.場 所:日本国際フォーラム会議室
  3. 3.テーマ:「今後の対ASEAN外交-ASEAN関連首脳会議を総括する-」
  4. 4.報告者:秋田 浩之  日本経済新聞コメンテーター
  5. 5.出席者:17名
  6. 6.審議概要

(1)冒頭、秋田浩之日本経済新聞コメンテーターから、次のとおり基調報告があった。

(イ)ASEANの現状と重要性

ASEANは、人口、面積、経済規模等から見て、極めて多様な10か国の国々からなる地域枠組みである。ASEANは年間を通じて数多くの会合を開催しているが、首脳・外相レベルの会合について言えば、春にASEAN首脳・外相会議(ASEANのみ)、夏にASEAN関連外相会議(ASEAN外相会議、ASEAN+1、ASEAN+3(APT)、東アジアサミット(EAS)参加国外相会議、ARF)、秋にASEAN関連首脳会議(ASEAN首脳会議、ASEAN+1、APT、EAS)が開催されている。日本は、毎年夏に外相、秋に首相が参加する会合が開催されるという日程を念頭に置いて、対ASEAN外交を進めている。

ASEANは、1967年のバンコク宣言によって設立された。加盟国は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイであった。当初は反共のための枠組みという性格が強かったが、冷戦終結後の1990年代に転機を迎え、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアなど内陸部の国も加盟し、今日の10ヵ国体制となった。ASEANは、経済を中心に統合を推し進め、2007年にASEAN憲章を採択、2015年にASEAN共同体を発足させた。

日ASEANの関係の端緒は、1973年の合成ゴムフォーラムの設置まで遡る。日ASEAN関係は、1973年を起点として、2018年に友好協力45周年を迎えた。振り返れば、1970年代の初め、日ASEAN関係は、先の戦争の記憶もあり、必ずしも良好とは言えなかった面もあったが、1977年にマニラにて福田赳夫首相が「①日本は軍事大国にならない」「②ASEANと『心と心が触れ合う』関係構築」「③日本とASEANは対等なパートナー」などからなるいわゆる「福田ドクトリン」を表明して以降、着実に進展してきた。2003年にはASEAN10ヵ国の首脳一同を日本に招いて開催する日・ASEAN特別首脳会議が初めて開催された。2011年には、ASEAN日本政府代表部がジャカルタで開設された。2013年に2回目の特別首脳会議が開催された。

ASEANは、6.5憶人の人口を擁し、GDPが過去10年で2倍以上増大するなど、著しい経済成長を遂げている。また、地政学的要衝に位置している。さらに、東アジアの地域協力の中心である。ASEANの平和と繁栄は、日本を含む東アジア地域全体の平和と繁栄に直結している。台頭する中国に如何に向き合うのかという地政学的な課題がクローズアップされる中、日本にとってASEANの重要性は益々高まっているといえよう。


(ロ)前回の一連のASEAN関連首脳会について

昨年11月14~15日、シンガポールにおいて、安倍総理の出席の下、一連のASEAN関連首脳会議が開催された。

日・ASEAN首脳会議では、友好協力45周年を記念して未来志向の「共同声明」を発出した。本件声明は、議長国の裁量で発出される「議長声明」とは異なり、日本とASEAN10ヵ国との間で合意した文書である。本件声明において、ルールに基づく自由で開かれたインド太平洋を促進するとの見解を日ASEAN間で共有できたことは、大きな意義を有する。また、安倍総理は、「ASEANスマート・シティ・ネットワーク」への協力の推進、「日ASEAN第4次産業革命イニシアティブ」、「アジア健康構想」などの日本の取り組みを説明するとともに、「産業人材育成協力イニシアティブ2.0」(次の5年間で8万人規模の人材育成)を打ち出した。

RCEP首脳会議では、2018年における交渉の「実質的な進展」を歓迎し、2019年における妥結への決意を示す共同首脳声明を採択した。

APT首脳会議では、様々な分野における実務協力の進捗と進化を再確認した。安倍総理から、「海洋プラスティックごみ協力アクション・イニシアティブ」を含め、日本の協力を表明した。

日本は、政治・安全保障分野におけるプレミア・フォーラムとして、EASを重視している。11月のEASでは、安倍総理は、地域の発展のため「自由で開かれたインド太平洋」を実現していきたいと訴えるとともに、開放性、透明性、経済性、被援助国の財政健全性の確保といった国際スタンダードの必要性を強調した。北朝鮮については、安倍総理は、米朝プロセスを国際社会が後押し続けることの重要性を強調し、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID(complete, verifiable, irreversible dismantlement)を実現するため、安保理決議を引き続き完全に履行していくべきと訴えた。また、「瀬取り」対策や拉致問題解決の重要性も強調した。南シナ海については、安倍総理は、現場の状況に深刻な懸念を表明した上で、紛争は力ではなく国際法に基づいて平和的に解決されるべきと主張し、実効的な南シナ海行動規範(COC)の策定への期待を表明した。


(ハ)今後の対ASEAN外交-ASEAN関連首脳会議を総括する-

本年、昨年のシンガポールに代わり、タイがASEAN議長国に就任した。議長国タイは、「持続可能性のためのパートナーシップの推進」を優先テーマに掲げている。日本としては、議長国の優先テーマを踏まえ対ASEAN協力を具体的に進めるとともに、北朝鮮、南シナ海、インド太平洋といった地域の諸課題について、ASEAN諸国と連携して取り組んでいく。


(2)髙橋参事官の基調報告を受け、出席者との間で、地域の直面する様々な課題について、活発な意見交換が行われた。

以上
文責:事務局