NEAT・EAF関連活動

NEAT第33回CCM
メモ

2021年4月20日
東アジア共同体評議会(CEAC)事務局


ASEAN+3(APT)首脳会議の傘下にある「東アジア研究所連合(NEAT)」の「国別代表者会議」(CCM)が、4月20日にNEATフィリピン(フィリピン開発研究所)主催により、下記1.~4.の要領でオンライン開催された。

  1. 1.日 時:2021年4月20日(火)12時より17時(日本時間)まで
  2. 2.開催方法:オンライン形式(Zoomウェビナー)
  3. 3.出席者:各国のNEAT代表者など41名。日本からは菊池誉名・東アジア共同体評議会事務局長等が参加した。
  4. 4.内容

2020年度のNEATの諸活動の報告などの他、今年度、NEAT中国、インドネシア、韓国、フィリピンが主催する個別テーマによる作業部会(WG)の設置が提起され、承認された。各WGの内容については以下のとおり。

会合のようす

(1)「気候変動と持続可能な発展」WG(NEAT中国主催)

気候変動は、持続可能な開発における最大の脅威であり、APT各国の経済を混乱させ、生活にも影響を与えている。APT諸国のほとんどは農業を基盤とした生活システムを有しているため、気候変動によって引き起こされる自然災害による不作、新しい害虫の発生、種子や植え付け材料の不足、家畜の損失などが増大し、その脆弱性をあらわにしている。

また気候変動によってサイクロン、洪水、干ばつ、熱波、地震、津波などの自然災害が増加しており、多大な人命の損失と経済的損害をもたらしてる。国連の「アジア太平洋災害報告書」によると、1970年以降、アジア太平洋地域の自然災害では200万人が死亡しており、これは世界の犠牲者数の59%にあたる。このような状況のなか、APT諸国にとっては、気候変動に起因するこの地域の食料安全保障と災害管理のレジリエンスを強化することが何よりも必要である。そのために本WGでは、国連の「持続可能な開発の2030アジェンダ」を踏まえつつ、気候変動に起因する食糧安全保障と自然災害管理において、東アジア地域協力を促進するためのプラットフォームの構築、各国のグッドプラクティスの共有、食料安全保障と自然災害管理を共同して取り組むことの相乗効果の探求、などのあり方を探り、地域としてどのような政策をとることが可能なのか政策提言を行う。


(2)「COVID-19に対するAPT協力」(NEATインドネシア主催)

COVID-19パンデミックは、想像を超える影響を世界にもたらした。かつて、これほど早くウイルスが世界中に拡散し、人々の日常生活を停止させたことはなかった。保健と経済への影響が直接的で最も顕著なものであるが、社会的・文化的な分野にもその影響が強く現れている。こうしたなかでAPT諸国は、経験不足、構造上の限界、乏しい資源、といった制約にもかかわらず、このパンデミックに対処しようとよく努力してきた。APTでは、2020年4月14日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するASEAN+3特別首脳テレビ会議」を開催して共同声明を発表し、パンデミックの蔓延を制御し封じ込めるためにAPT諸国間の連帯を強化することで同意され、各種の政策がとられてきた。

ただこうしたなかで、COVID-19に対しては、具体的な政策や側面に焦点を当てた議論だけでなく、より包括的な議論も必要であろう。これまでのところ、COVID-19パンデミックの影響を管理・緩和するためのAPT諸国の対応や政策から得られる教訓を理解し、比較するための包括的な枠組みは存在していない。そのため本WGでは、国や地域レベルで得た知識や経験、意見を交換するためのプラットフォームの構築に向けた議論を行う。また、既存のAPTによる地域協力の評価を行い、APTとしてより良い枠組みを構築するための政策提言を行う。


(3)「人間の安全保障におけるAPT協力」(NEAT韓国主催)

「人間の安全保障」という概念は、東アジア共同体における重要な要素の一つである。例えば、アジア経済危機中の1997年に採択された「ASEANビジョン2020」には、思いやりと分かち合いのある共同体を構想するといった要素が盛り込まれている。「思いやりのある社会」とは、「性別、人種、宗教、言語、社会的・文化的背景に関わらず、人間としての総合的な発展の機会を公平に得ることができる」社会である。このように、「人間の安全保障」の概念は、東アジア共同体に向けた各種の文書に記載されてきた。ただ、今般のCOVID-19パンデミック下のなかで、特にASEANにおいて、民主主義をはじめ人権の尊重などにおいて重大な課題に直面している。そのため本WGでは、東アジアの共同体構築プロセスに、改めて人間の安全保障をどのように組み込むことができるかを議論する。具体的には、人間の安全保障分野における地域の現状、要望などを共有し、今後、如何にしてAPTとして人間の安全保障分野における協力メカニズムを構築することができるのかについての政策提言を行う。


(4)「デジタル分野における中小企業協力」(NEATフィリピン主催)

Covid-19パンデミックがもたらした経済的影響により、世界各国の政府は成長予測を下方修正し、特に零細・中小企業(MSME)は財務上の影響を大きく受けてる。例えば、OECDまたアジア開発銀行からは、ASEA諸国において厳しい公衆衛生対策の結果として売上や収入が激減し、中小企業の事業継続が困難になることを示唆している。こうしたなかで、デジタル通信技術は、生産性と経済成長の重要な原動力になるものであり、中小企業においてデジタル化を進める意義は大きい。中小企業がデジタル経済への参加を通じて事業を維持し、それによって地域としての市場を拡大するべきである。デジタル化については、これまでに「ASEANデジタルマスタープラン2025」をはじめ、各種の地域的な目標が設定されてきているが、今後デジタル化の恩恵を最大限に引き出すために、各国の特に中小企業がこれらのサービスを採用し、利用する方策を整えるべきであろう。そのため、本WGでは、MSMEのデジタル化を促進するための各国の取り組み、ベスト・プラクティスを共有し、MSMEのデジタル経済への参加を強化するための方策を政策提言する。

以上
文責:事務局