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2006-09-11 09:30
日本人とアングロ・サクソン人
四条秀雄
不動産業
米国人と言わないで、アングロ・サクソン人と挙げたのは、英国人、豪州人、ニュージーランド人を含むからです。もしかしたら将来は、この4カ国に追加があるかもしれません(もっとも、もう地球には空いたスペースがないので、例えば月に最初の国家を打ち立てるのはアングロ・サクソン人だろうかということです)。日本人が、アングロ・サクソン人と付き合いだしたのは、三浦按人来日の1600年、本格的にはペリー来航の1853年からです。だから150年以上の付き合いになります。これだけの時間が経ちますが、なかなか相互理解が難しい。なぜかというと、アングロ・サクソン人は方向の人々であり、日本人は旬や型の人々であるという違いがあるからです。
アングロ・サクソン人は、何かの目標に向かってどんどん進む。生まれながらの宣教師でもある。MY WAY文化です。その経済社会システムは、参入退出の自由や法による衝突紛争の解決を基本にしています。日本人は、季節の組み合わせを認める。或いは、技術の型を作る。自分の場所にとどまって好みのものを並び立てる。MYSTYLE文化です。その経済社会システムは、技術・型の相互尊重と縄張りの時間を掛けた調整を基本にしています。世界の大多数は、日本型と似たようなもので、アングロ・サクソン型は、イタリア、スペインなどのラテン諸国など少数派です。EUですら、日本型のグループに属すると思います。
両者は、同じ事をやっていても違う。例えばベースボールと野球。米国人は、ID野球のごとくネチネチと得点を稼がない。投げること、打ち返すこと、走ること、刺すこと、渾身の力を込めた方向性に快感を感じている(最近では、パワープレーで力と忍耐を取り入れた、より複雑なアメリカン・フットボールに人気が移っています)。日本人は、野球に型を見出す。剣道のような打撃の型、守備の陣形の変化、打順ごとの役割等々。そういうわけで、日本人とアングロ・サクソン人がぶつかると、日本人が、彼らの道・方向を遮ってしまうことで、日本人は型の変化を強いられ、アングロ・サクソン人は我慢を強いられる。
日米関係に、救いがあったのは、最初の接触の段階で日本の官僚制が強固であったこと、日本の側に変わると言うことにこだわりが少なかったこと、漢字という伝達性の優れた文字体系とかなりの国民識字率を誇っていた点にあります。表音文字系では、新概念が国民に行き渡るのに教育システムを介して1世代必要とします。漢字系では翻訳して出版すれば、概略が行き渡ります。(歴史的観察から、日本が新しい危機に直面してリアクションを起こすまでに15年掛かるという経験則が認められています)日本以外の多くの国は、変わる意思や、変わるための方法や、それを国民にあまねく伝達する手段のどれかが欠け、まともに衝突して破壊されています。そしてドイツやロシア圏との衝突で、共産主義が生まれ、イスラムとの衝突で原理主義が生まれ、戦前日本ではアジア主義が生まれています。戦後の東アジア圏では、アングロサクソン文化の受容が基本にありながら、共産主義やイスラム原理主義も芽生えつつあります。韓国は、日韓併合世代が主流であった時代は、受容が中心でしたが、70年代以降完全ハングル化で、文化的意味での日本離れが進み、現在は民族主義的色彩の強い共産主義が主流の対応に移行しています。日韓の文化的分離は30年前から続く一貫した傾向であって、これからも拡大していきます。中国は、おそらく核を持ったまま朝鮮半島を統一させるでしょう。中国が、韓国の新しい反米的反日的体質に確信を持つのはそう遠くないと思います。)。
日本人は、本来は韓国人やモンゴル人や中央アジア人やロシア人やインド人やイラン人等の頑固なグループに属するのでしょうが、この150年間のアングロサクソンとの衝突で、変化に次ぐ変化を経験して相当な柔軟性を身に着けたといえます。政治制度が、中選挙区-派閥-利権管理型から、小選挙区-政党-ルール設定型に変化したのも、参入退出型の経済社会に適応するためでしょう。参議院かどこかに、国際的な法律に詳しい政治家が必要になっていくでしょう。というのは、ルールはどうしても米国かEUに引きずられるので従来の利害調整過程をルール設定過程に変換する必要があるからです。外交も北朝鮮制裁に見られるような特定の国の参入を防ぐ法律の整備というような形で日米の政治的協調は進むことになります。
現在の日米同盟は、「進む」ということと「変わる」ということの同居へのまあまあの満足と日本の地理的位置から来る安保上の必要との結果でしょう。基本的には、英語人口が増えるかぎり、参入退出の自由を基本にした「進む・MYWAY」文化は世界的に拡大していくでしょう。その一方で、それを受ける側は、「変わる・MYSTYLE」文化で応ずることになるでしょう。問題は、MYSTYLE文化圏というある種の文化的共同体に参入退出が起こる場合に、その動的規模の許容限界があるということです。日本のような大きな経済圏でも、1980年代の資本移動自由化の初期には揺さぶられました。現在は定常状態になったので安定して見えますが。EU共同体は、アングロサクソン圏からの参入退出の規模に耐えるための一つの解決策でもあります。その代わり、EU内部に参入退出の位置エネルギーを抱えることになります。
アジアの多くの国が、戦前日本が嵌ったアジア主義の道に嵌ることの無いように。
また、日本の全共闘世代が、アジア主義に逃げ込むことのないように、願って止みません。
参考:日本人と中国人について
歴史的に、日本人と中国人は、私達が思っているよりもずっと関係が希薄なのです。重要な事実は、2000年以上隣にありながら、両国民はほとんど交流がない、ということです。なぜそうなったのかということが、日中関係の本当の本質を現しています。それは、2000年間の間に、中国と近接した日本の地方に残された文献の分析で明らかになるでしょう。そしてまた、歴史的経験では、日中間で交流がある場合は、例外なく、結果は悪いということです。日本人と中国人は、見かけが似ているために、何か歴史的に関係が深く、他のどの国よりも近い関係だという誤まった認識・固定観念がありますが、事実は、日米関係にすら劣る、全く理解されていない関係なのです。そういう正しい、ゼロベースの立場に立って、しっかりと中国人を再分析したら、日本人のほとんどは、中国人というものについて、我彼の違いについて驚愕するだろうと思います。
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