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2008-10-11 09:50
(連載)ガバナンスは、21世紀最重要の課題(2)
廣野 良吉
成蹊大学名誉教授
現在、米国のサブプライム・ローン問題に端を発した金融危機は、現在世界のあらゆる国々の株式市場、金融取引に重大な影響を与えているのみならず、経済成長の鈍化、個人消費の低迷、雇用の悪化を引きおこし、1929年の世界大恐慌の始まりを想い出させている。米国や欧州諸国の中央銀行による流動性の市場注入、米国連邦政府による7千億ドルにおよぶ米国金融機関の不良債権の買い上げ計画、EU諸国政府による金融機関への資本注入、個人預金の全額保証等次から次へと金融機関救済策を通じた金融不安対策が講じられている。
世界を襲っている今回の金融危機は、投資銀行を中心とする不動産の証券化や新しい金融商品を担保とした金融機関の異常な貸出増に踊らされて上昇してきた、低中所得者層住宅を中心とした不動産価格の急落による、銀行等保有債権不良化の急増と貸し渋りに端を発しでいるが、その根底には、このような金融市場の不当な商行為を適切に制御できなかった米国連邦政府・準備銀行の金融・投資ガバナンスの問題があるといわざるを得ない。金融・投資ガバナンスの問題は、わが国では1990年代初めのバブルの崩壊に始まった「失われた10年」という形で、同様の経験を踏んでおり、決して欧米諸国だけの問題ではない。
さて、ガバナンスという言葉は、なかなか日本語には適訳がない言葉であって、学者、政治家、専門家、NGO・メデイア関係者等以外では聴きなれない言葉であるが、基本的には、社会の統治体制をいうといってよいであろう。この場合の社会とは、企業、非営利団体、中央・地方政府機関等の組織に加え、地域社会、国民国家、国際社会などを指し、そこにはそれぞれの統治形態があるのは周知の事実である。(つづく)
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