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2026-04-30 17:43

(連載2)安全保障条約が自国の安全を脅かす本末転倒

倉西 雅子 政治学者
 第三点は、国際法の整備が進んだことです。国連憲章第51条に明記されているように、軍事同盟とはいえ、集団的自衛権を発動するし、武力を合法的に行使し得るには、他国から攻撃を受けた際の正当防衛に限定されました。
 
 これらの変化は、現代のアメリカとの同盟国が、封建時代の臣下とは異なる立場に置かれていることを意味します。上記の三つの変化が合わさりますと、同盟国は、(1)核保有大国の絶対的優位性⇒覇権の追求⇒戦争⇒同盟国の抑止力の無意味化⇒参戦リスク、(2)核保有軍事大国は安泰⇒同盟国保護の責任感の希薄化⇒‘核の傘’が開かないリスク、(3)核保有国による先制攻撃チャンスの独占⇒軍事大国による国際法違反⇒非合法行為への加担リスク、(4)核保有国間の均衡⇒敵方軍事大国から非核同盟国への攻撃の集中リスク・・・に見舞われます。
 
 こうしたリスクは、これまで顕在化することはありませんでしたが、アメリカが国際法を無視してイランに先制攻撃を行なった結果、現在、まさに日本国を含めたアメリカの同盟国は同リスクを考慮せざるを得ない状況下にあります。軍事同盟の最大のメリットであった抑止力の効果が消える一方で(安全保障条約の基本的な役割の抑止から攻撃への転換・・・)、敵方軍事大国から攻撃を受けるリスクが格段に高まるからです。仮に、アメリカの対中敵視政策とイラン戦争が結びつく、あるいは、台湾有事を誘発する事態となれば、日本国は、中国からの攻撃を一身に受ける可能性さえあります(たとえ最終的に日米同盟の下で戦争に勝利したとしても、回復不能なほどの壊滅的な被害が生じる・・・)。アメリカとの同盟関係が、むしろ自国の安全を脅かしてしまうという危機的状況にあると言えましょう。
 
 しばしば、中国抑止政策として日米同盟の重要性が強調され、両国間の関係強化が日本国の防衛力の向上に資するとされてきましたが、今日、看過し得ない‘事情の根本的な変化’が起きています。核武装中立政策という選択肢もないわけではないのですから、NPTの検討会議が開催されている折、同条約の見直しを含め、国際社会における安全保障体制、並びに、平和的紛争解決システムの再構築に取り組むべき時期に至っているのではないかと思うのです。(おわり)
 
 
 
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(連載1)安全保障条約が自国の安全を脅かす本末転倒 倉西 雅子 2026-04-29 17:38
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