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2026-03-22 20:18

(連載2)台湾の分裂あおる中国の影響力工作は日本も対象だ

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 日本のメディアやSNSで展開されている現象が、中国の国家戦略と結びついている可能性があります。2025年10月、高市総裁(当時)の取材現場で、時事通信のカメラマンが放った「支持率を下げてやる」という言葉。これは単なる個人の失言ではなく、日本の既存メディアという巨大なシステムに深く潜入した、外部勢力による「認知の汚染」の氷山の一角であると考えられます。中国にとって、安全保障や台湾問題で毅然とした態度を取る高市内閣は、自国の膨張主義を阻む最大の障壁です。そのため、中国の工作機関は直接的な攻撃よりも、日本のメディア内部に存在する「反権力」という大義名分を巧みに利用し、日本国民の心理を操作する手法を選びます。現場の人間が「支持率を下げるような写真しか出さない」と口にすること自体、報道機関が事実を伝える場ではなく、特定の政治目的を達成するための「工作の拠点」へと変質させられている証拠とも言えるのです。
 
日本と台湾の絆を切り裂く工作も、極めて巧妙です。SNS上では、日本人が台湾に対して、あるいは台湾人が日本に対して不信感を抱くような言説が、人工知能やBotを駆使して大量に生成されています。これらは「日本は台湾を裏切る」「台湾は日本を利用しているだけだ」といった、双方のナショナリズムを逆なでする内容です。
 
 中国の狙いは、日台が防衛面で強固に連携することを恐れ、日本国内に「台湾のために日本人の命を懸ける必要はない」という世論を定着させることにあります。高市内閣が掲げる台湾有事への危機感を「戦争を煽る好戦的な態度」として批判的に報じさせることで、日本国民の不安を煽り、内閣支持率を削りながら、同時に台湾との距離を広げさせようとしているのです。
 
 現在、私たちが目にしているニュースやハッシュタグは、純粋な日本国内の世論ではない可能性があります。中国の「超限戦」理論に基づけば、新聞記者やテレビ制作者、そしてSNSのインフルエンサーの中に「静かな工作員」が紛れ込んでいることは不自然ではありません。彼らは、高市内閣の失言や小さなスキャンダルを針小棒大に拡散し、国民の目を本来の脅威である「中国の軍事的脅威」から逸らさせます。これこそが、目に見えない形で行われる「ハイブリッド戦争」の真髄です。時事通信の記者が漏らした本音は、こうした巨大な工作ネットワークが、ついに隠しきれずに表に溢れ出した、不気味なシグナルであったと解釈できるのです。(おわり)
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(連載1)台湾の分裂あおる中国の影響力工作は日本も対象だ 宇田川 敬介 2026-03-21 20:12
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