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2026-02-10 15:55

(連載2)国家の尊厳について

真田 幸光 大学教員
 中国本土は欧州連合(EU)とも対立しています。中国本土は10月9日に発表した域外輸出制限措置でサマリウム、ジスプロシウムなどのレアアースを輸出規制対象に追加しました。海外で生産された製品であっても中国本土産レアアースが0.1%でも含まれているか、中国本土の精製・加工技術を利用している場合、中国本土政府から輸出許可を得ることを義務づけるなどレアアース輸出規制を強化しています。これに対して、フランスのマクロン大統領は、「EU加盟国が貿易不均衡の改善を体感出来なければ、中国本土製品に対する新しい関税を検討するしかない。」と述べ、強硬な態度を見せています。
 
 国際エネルギー機関(IEA)が10月に公表した報告書によると、中国本土は全世界のレアアース採掘量の59%を占めているようです。レアアース精製能力は全世界の91%に達しています。レアアース17種類のうち、ネオジムとジスプロシウムを使用する永久磁石の生産シェアは94%であります。永久磁石は同じ重さの鉄磁石より最大15倍の磁力を持ち、電気自動車(EV)のモーター、風力発電機タービン、ロボット、ドローンなどに使われるものですから、価値は高いと言えます。

 日本は2010年以降、レアアースの対中依存度を下げる為、海外での採掘権確保、リサイクル推進、代替素材開発、国家備蓄という4方面のレアアース確保戦略を立ててきました。日本はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を中心に海外でのレアアース開発に積極的に投資、JOGMECはレアアース鉱山を保有している世界2位のレアアース生産企業であるオーストラリアのライナスに2023年に2億オーストラリア・ドルを投資して、レアアース供給契約を締結しています。2025年3月にはフランスのカレスターに1億ユーロを投資し、高性能磁石に欠かせないレアアースを確保してもいます。

 また、日本の産業界は政府主導でレアアースの使用量を削減したり、他の素材で代替したりする技術開発に乗り出してもいます。トヨタ自動車はEVモーターに欠かせないネオジムの使用量が以前の半分で済む新型磁石を開発しています。信越化学工業は、高性能磁石に使われる中国本土産レアアースを従来の3分の1に減らす技術の開発に成功してもいます。こうした結果、日本の中国本土産レアアースへの依存度は業界の推定で中国本土とのレアアース戦争当時の2010年90%以上から現在は60~70%に低下しいると思われます。こうした対応を日本は続けていくべきです。いざとなれば、日本の国内にあるもので何とか生き延びていける体制を作る、これこそが、日本政府がやらなくてはならぬことであります。(おわり)
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