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2025-12-24 11:52

(連載2)なぜEV普及が進まないのか?

岡本 裕明 海外事業経営者
 話しがそれました。テスラがどうこうという議論がありますが、私から見ると自動車専業企業がアプローチできるレベルではなく、次元が二つぐらい違う世界に向けて様々なサービス展開が垂直型で出来る圧倒的強みがあるのがテスラなのだとみています。では欧州はなぜあれほど環境問題に繊細だったのに緩めるのでしょうか?答えは簡単です。欧州製のEVは勝てないのです。誰に?大っ嫌いなイーロンマスク氏のテスラやようやくヤバいと感じ始めた中国のEV責めにも太刀打ちできないのです。よって仮に2035年の100%ゼロエミッション基準を貫けば欧州から自動車産業が無くなるリスクが出てくるのであります。

 覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、欧州は環境重視という意味では地域をあげての取り組みでありました。ところがフォルクスワーゲン社のディーゼル不正問題が生じ、もともと環境負荷が大きかったディーゼル車から当時まだ新しい概念だったEVに舵を切るのです。もちろん、欧州勢は自分たちがEVのイニシィアティブを取れると確信しEUや英国をはじめ、各国は政策の中でEV化を取り込み、更にそれはアメリカ、カナダ、日本へと伝播したのであります。ところが誤算は中国にありました。中国はもともと内燃機関の自動車は後発中の後発であり技術的に劣っていたところに全く新しい自動車コンセプトで部品数も少なく、将来性があり、環境負荷にも優しいこともあり、国を挙げてそれを普及させたのでした。結果としてEVメーカーが乱立するも激しい競争を経て圧倒的な市場形成とディファクトスタンダードを生み出したのであります。

 よって欧米はEVにこだわっていると何らかの形で中国を利すると考え始めます。トランプ氏がEV補助金を止めたのはマスク氏との関係ではなく、中国けん制であり、表に見えない中国への圧力であります。ただ個人的にはそれでは欧米勢はEVにおいて中国に降参するのかという風にも聞こえなくないのです。日本のメーカーは出足は遅かったもののここに来てEVをしっかり作り始めており、少しずつ自動車のEV化を進めています。電池についてはそろそろ全個体電池も出てきそうですが、ナトリウムイオン電池が今後、開発展開が期待できます。これはレアメタルを使わず、製造資源は無尽蔵にあり、マイナス40度でも動きます。このように技術進化は遂げてくる中、内燃機関のインフラが維持できないとみています。つまりガソリンスタンドと整備工場で働く人材であります。

 EVは極めて政治的である一方、技術競争の塊であり、かつ、顧客となる人々への啓蒙が重要であります。日本ではEVのチャージングステーションに普通車が止まっているのが当たり前になっている現状を聞くにつけ、全然なっていないと思います。私のところのEVステーションに普通車が止まっていることはまずないし、そうすればすぐにレッカー移動されるのが当地の常識なのです。EV普及できないのは私から見れば中国とテスラに降参したと酷評されても致し方ないのであります。当面はHVで引っ張れると思いますが、HVは使い方によってはガソリンを本当に使わないのでガススタンドのインフラ維持が厳しくなる問題が先に来るような気がします。特に地方は要注意だと思います。(おわり)
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