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2021-02-02 10:08
(連載2)バイデン新政権と不正選挙の代償
斎藤 直樹
山梨県立大学名誉教授
一つは1月5日のジョージア上院議員選における二人の共和党候補の思わぬ敗退であった。トランプ氏は選挙前日の1月4日に同州に乗り込み両候補の支援集会のための演説を行った。トランプ氏には少なからずの勝算があった。パデュー(David Perdue)氏とレフラー(Kelly Loeffler)氏の二人の共和党候補にとっても勝算があった。しかし、二人の共和党候補は共に僅差ながら民主党候補に敗退するという結果となった。11月3日の大統領選においてジョージアで40万件とも目される大規模の不正が行われたと推察した上記の「ナバロ・レポート」を踏まえると、1月5日の上院議員選においても不正が行われたとしてもおかしくなかった。上院議員選で不正が実際に行われたかどうか不明とは言え、疑問が残る結果であったと言えよう。さらにトランプ氏が1月6日の米上下両院合同議会に期待したのが上院議長を兼ねるペンス副大統領が上院議長の職権で、上記の下院議員と上院議員による異議申立てを受け、大規模不正があったとしてジョージア(選挙人:16人)、ペンシルベニア(選挙人:20人)、ミシガン(選挙人:16人)、ウィスコンシン(選挙人:10人)などの州の選挙人の確定を無効とし、差し戻すという展開であったと考えられる。これら4州の選挙人数の合計が62人であることを踏まえると、もしも差し戻しが行われることがあれば、いずれの候補も過半数の270人に到達しないことになったであろう。その場合、バイデン氏を次期大統領とした選挙人認定証は棄却された可能性がある。トランプ氏は最後にこの可能性を期待したのであった。しかしこの可能性も水泡に帰した。ペンス氏がいくらトランプ氏に忠実であるとしても、そうした行動に出ることはなかった。この結果、トランプ氏は文字通り、「頼みの綱」を失うことになった。
最後の望みを絶たれた絶望的状況の下でトランプ氏は支持者達の前で大統領選での不正の事例を繰り返し呼び上げ、断固敗北を認めないと声を張り上げた。これに刺激を受けた形で、暴徒と化した支持者達が連邦議会議事堂に乱入するという最悪の事態を引き起こしたと言えよう。その後、トランプ氏が支持者達にツイッターで行動の自重を呼び掛けたがすでに遅すぎた。1月6日に勝利を手繰り寄せるどころか、自ら墓穴を掘る大暴走を招くことになったと言える。民主党側にとってみれば、トランプ支持者達による議会乱入事件は「飛んで火に入る夏の虫」の暴挙であったと言えよう。彼らからすれば、大統領選での大規模不正に激高したトランプ氏が最後に自ら墓穴を掘ってくれたのであるから、これほど痛快な展開はなかったと言えよう。また肝心の上下両院議員達による異議申立ての動きもこの事件でかき消されることになった。今回の議会乱入事件で、トランプ氏が2024年大統領選の有力候補に向けて仕切り直しできるかどうかも疑わしい状況を招いてしまったと言える。しかし、かりにトランプ氏が今後、政治の舞台から退場することがあっても、2020年大統領選が残した禍根は決して消えることはないであろう。これまで選挙不正の輪郭が明かになったとは言え、その全容解明が急がれるところである。なによりもトランプ氏は自身の名誉と誇りを取り戻すために不正の全容解明に全身全霊を傾けるであろう。またトランプ弁護団の団長を務めたジュリアーニ氏も同じ思いであろう。
1月6日に上下両院合同議会で異議を申し立てた米上院議員の中には、クルーズ氏など次期大統領候補を目指す議員もいるであろう。彼らからすれば、2020年大統領選での大規模不正の標的となったのはトランプ氏であったが、4年後は自らが不正の標的となるとも限らない。言葉を変えると、彼らにとって「明日は我が身」となりかねない。その意味でも、選挙不正の全容が白日の下にさらされなければならないというのが彼らの思いであろう。選挙不正の全容解明が行われないままでは、2024年大統領選で不正が行われないという保証は全くないと言えよう。クルーズ氏が1月6日の両院合同議会で超党派の選挙不正調査委員会の設置を求めた背景にはこうした理由もあろう。しかも2020年大統領選で民主党側によいように不正を企てられたことを踏まえると、2024年大統領選において共和党側も黙ってもいない可能性があろう。最悪の事態として、次期大統領選で両陣営があらんかぎりの不正を企てるようなことがあれば、今回以上の大混乱を招くことは必至であろう。
今回、米国の民主主義は地に落ちかけたのが次期大統領選においてまたしても大規模不正が繰り返されることがあるようでは、米国の民主主義は根底から崩れかねない。不正によって勝者が決まるようでは、そもそも選挙の存在意義が真剣に問われよう。民意を問う上で最良と言えないまでも妥当な手段が選挙であるはずである。その選挙は公正に行われて初めて成立する。ところが、選挙で大規模な不正が横行し不正を通じ勝利を収めたものが国民の代表として選出されるという現実がまかり通るようでは、選挙そのものにもはや正統性はない。今後、そうした事態を回避するためには、今回の大統領選で企てられた不正の全容解明が急がれるのである。(おわり)
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(連載1)バイデン新政権と不正選挙の代償
斎藤 直樹 2021-02-01 10:04
(連載2)バイデン新政権と不正選挙の代償
斎藤 直樹 2021-02-02 10:08
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