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2021-01-19 21:53
(連載1)人事に動き、北朝鮮の2021年はどうなる
岡本 裕明
海外事業経営者
北朝鮮で労働党大会が開催され、金正恩氏が「総書記」の肩書を得ました。また幹部の約半分を入れ替えるなどの大幅な人事刷新があり、その中には注目すべき異動もありました。この次の一手について考えてみたいと思います。まず、総書記の肩書の重みでありますが、金日成、金正日両氏しか使わなかったタイトルであります。今回、就任10年目の節目を迎え、祖父、父と同じ呼称を使うこととしたようです。総書記より更に上の呼称となると日成氏が使っていた(国家)首席が残されています。
党大会では経済の不振について謝罪するという珍しいシーンが見られました。各種経済制裁の上にコロナもあり、国を閉ざした状態において10月の中朝貿易額が99%減といった壊滅的状況となり、極めて厳しい市民生活を余儀なくさせられました。我々が目にする北朝鮮の画像はほとんどが平壌の見栄えが良いところでありますが、それ以外は道路も舗装されておらず、人は自転車か徒歩、牛車もつかっています。また女性は自転車に乗ってはいけないルールがあります。人の移動の自由もありません。平壌にすむエリート層も結局は「お上」の機嫌を損ねれば一発退場どころか命すらないわけでYESマンどころではなく、党大会などで金正恩氏に対して必死に手をたたく以外生きる道がないのです。
その経済不振で食べ物もない経済の疲弊の責任を取らされたのが朴奉珠氏で、5人しかいない政治局常務委員から落ちました。朴氏は北朝鮮経済の最高責任者でありました。次に外交の不振で責任を取らされたのが金英哲党副委員長、崔善姫外務省第一副長官の両名でこの両名はトランプ氏との会談やその事前交渉でしばしば名前が挙がっていたので覚えていらっしゃる方もいるでしょう。
そしてもう一人、金正恩氏の妹の金与正氏も大幅降格しています。幹部リストに名前はなく、中央委員会委員139名のうち序列21番目となっています。一時期はナンバー2と言われ、トランプ氏との交渉にも積極的に関与、また昨年6月に南北共同連絡事務所を爆破する指示を出したともされますが、なぜ、そこまで降格したのでしょうか?(つづく)
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