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2007-06-11 01:12
東アジアにおける中進国の壁
四条秀雄
不動産業
東アジア諸国の開発戦略における世代間文化継承の意味を考えてみたいと思います。そこには、中進国から先進国に進むための乗り越えなければならない壁があるように思われるのです。開発国家には、つぎのような典型的な世代交代のパターンがあります。
(1)明治維新の志士、スカルノなどの民族主義的な第一世代
(2)欧米先進国への留学組で形成されるエリート第二世代
(3)国内で養成されるエリートからなる第三世代
ここで問題は、(3)の第三世代です。新興国や中進国レベルまでは第二世代の活躍でなんとかなりますが、多くの国はこの第三世代の育成過程でその後の国のゆくえを異にするようです。最も多いケースは、第一・第二世代の一族子孫が支配層を形成して貧富の格差を残したまま停滞するケースです。他方、先進国への道程を進み、成功するのは、エリートの国内養成に成功したケースです。何が結果の違いを分けるのでしょうか?
私は、中進国から先進国に移行するには、文化的な国内情報量の増大過程が必要なのではないかと考えます。そのような情報量を増大させることによって国内エリート層を養成できない限り、中進国の壁を突破するのは難しいと考えます。初等・中等教育の重要性は言うまでもありませんが、国民に広く開かれた高等教育の普及がカギを握っていると考えます。しかし、それだけでは不十分です。
東アジアには、(1)日本語(2)中国語(3)朝鮮語(4)タイ・ラオス語(5)マレーシア・インドネシア語(6)ベトナム語(7)フィリピン語(8)カンボジア・クメール語など、多数の言語圏が存在しますが、それぞれの言語圏で中進国を脱する適切な時期に文化戦略を立てることが必要になると考えます。各国の文化的状況を観察するために、新聞購読量・出版量・翻訳量・書店数などの統計指標が重要になると考えます。
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