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2009-06-01 14:29

(連載)矢野論文についての感想(1)

中山 太郎  研究所客員研究員
 5月28-29日の本欄に掲載された矢野卓也さんの憂国論文「昨今の日本論の提起する問題の深刻さ」を興味深く読みました。ワァー大変だと騒いでも問題解決に役立たないので、別な角度から考えてみました。確かに資質の劣る政治家の方々も居るでしょうが、私の友人がインドネシアで日本から来た政治家グループを案内して、首都ジャカルタに帰着したところ、友人宅には泥棒が入っていて、家財道具一切が盗られていた。赴任したばかりで、保険もかけていなかった。政治家たちは、すぐ関係者にカンパを呼びかけ、ある程度の金を用立ててくれた。それがすごく助かった。こういうのを日本国内でやりすぎると、これまた問題でしょうが。

 1975年、蒋介石総統が逝去、国交の無い中、葬儀に佐藤栄作元総理、山中貞則議員の2名が特使として出発。友人がそのお世話をした。航空機が混んでいて、エコノミーしかとれない。運輸省にも相談したが、どうしようもない。そこで、有楽町にあった米国系航空会社に行くと、支店長が電話をかけ、2名分のファースト席を空けてくれた。さすが、トップダウンの国と友人は喜んだ。日本では、最高権力者であってもこの程度のパワーしか付与されていないのです。しかし一般乗客の権利を即座にチャラに出来るほうがよいシステムかどうかは別問題です。日本が世界で落ち目だといっても、世界への往来の自由さを見ても、欧米初め世界各国へ「ノー・ビザ」で行けますし,ビザ取得も中国旅券などに比べれば、はるかに楽です。こうした事情を一番知り、世界での自分たちの真の地位を知るのは、心ある中国の人たちです。

 数年前、バチカンのサンピエトロ寺院見学の中国人観光客が急増しました。山猿よろしく、例によって、奇声奇行動。寺院手伝いの日本女性が寺院関係者より、彼らを静止せよと命ぜられた。「あの方々は、日本人ではありません」「私が、言っても聞いてくれません」。そこでバチカン側は、どうしたかというと、2千年の伝統を破り、巨大な拡声器を取り付け、英語、仏語、日本語など7ヶ国語、7番目に中国語で、「ここは礼拝の場所です、静かに見学しましょう」と呼びかけた。こうした成熟した、ある意味では狡猾な方法も、国際社会では必要です。勿論、欧米では唯一中国を承認せず、台湾と国交のあるバチカンではありますが、私の台湾の知り合いが、「いつ、どてん返しで、大陸に寝返る判らない」と申しておりました。これが、冷徹な国際社会の常なのでしょう。(つづく)
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