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2008-08-28 19:10

(連載)冷戦が復活するのか?(1)

河東哲夫  Japan-World Trends代表
 グルジアをめぐって米ロ対決、冷戦の復活という事態になるかどうか。米国ではマッケイン大統領候補の外交アドバイザーであるランディ・シューンマンは、長年ワシントンにおけるグルジア政府のロビーイングを担当しており(既に契約は切れている)、マケイン自身もサカシヴィリ大統領と親交がある。新しい冷戦は米国にとり、経済振興策としても悪くない。

 米政府自身のものの言い方は未だ慎重だが、ロシアが今後イラン、アフガニスタンで反米側についたと取られるような事実が報道されれば、ロシアは究極の黒幕扱いを受けかねない。

 他方、ロシアにとって冷戦の復活は自殺行為になろう。ロシアの核ミサイルは自然劣化のテンポを速めており、現在の弾頭数は米国の半数程度に落ちている。急速な増強は経済的、技術的に不可能である。ソ連崩壊後の15年以上にわたって軍需予算が大幅に削減されたため、ロシアは多弾頭核ミサイルを大量に生産できるだけの技術力、生産能力を失っている。

 またポーランドに配備される予定の米国MDは、それ自体がミサイルであって、照準を変えればモスクワに10分程度で到達する戦略核ミサイルともなる、とロシア側自身が言っている。ロシアは、戦略的に非常に不利な状況にある。(つづく)
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