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2025-11-24 05:18

(連載1)疑心暗鬼が渦巻く世界について

真田 幸光 大学教員
 私は、2020年1月にはじまった新型コロナウイルスの感染拡大がやっと収まり落ち着くかと思われた世界には、「疑心暗鬼」と言う、「心のウイルス」が世界中にまん延していると考えています。何が本当なのかよく分からず、世界は大きく揺さぶられています。私たちは正に今、「真理を求めて生きていかなくてはならない。」と言う状態となっています。さて、こうした中、中台間では台湾社会が揺さぶられるような事態となっているようです。以下、その状況を概観してみたいと思います。
 
 「中国本土と僅か数キロしか離れていない台湾領の金門島に中国人民解放軍の特殊部隊が上陸する。中国本土軍は台湾本土侵攻も試みる。電気供給が途絶え、放送が中断され、銀行では取り付け騒ぎが起きるなど台湾社会は大混乱に陥る。ソーシャルメディアでは、総統が国民を捨てて避難した、もう中国本土に投降するしか道がないなどというメッセージが拡散し、人工知能(AI)で作られた総統のディープフェイク動画まで登場している。

 こうした一方、中国本土の台湾侵攻を仮定したテレビドラマ「零日攻擊 ZERO DAY」は台湾政府の全面的な支援で製作された。今年8月から台湾の地上波テレビ局の公共電視(PTS)、民間全民電視(民視)で放送され、全10話が完結した。ラブストーリーやファンタジー、特定ジャンル物などが中心の台湾のテレビドラマとしてはかなり異質な暗い戦争物となった。中国本土による侵攻という台湾人にとって最大の脅威をテーマにしたという点で、放送開始前から大きな関心を呼んだ。

 英語タイトルは「ゼロデイ・アタック」で、まだセキュリティーの脆弱性を突いたコンピュータハッキングを指している。一日も準備する間もなくお手上げになるという意味が込められている。全10話はオムニバス構成だが、宣伝・扇動を駆使した中国本土の攻勢で台湾人がパニックに陥るさまを中心に描いている。例えば、まともな職業に就くことが出来ず、社会に極度の不満を持つ20代の若者が親中犯罪組織に取り込まれ、反中デモに参加した台湾人を脅す政治やくざになる。(つづく)
 

 
 
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