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2022-07-05 21:52
(連載1)途上国インフラ支援は中国への対抗策になるのか
倉西 雅子
政治学者
先日ドイツで開催されていたG7で、岸田文雄首相が途上国におけるインフラ建設のために5年間で8.8兆円もの資金を拠出する旨を表明しました。同方針に対してネット上では批判の声が湧き上がっており、参議院選挙の行方にも影響しかねない様相を呈しています。
そもそも、岸田首相の’鶴の一声’で8.8兆円もの額の支出が決定されるとなりますと、もはや日本国の民主主義は瀕死の状態にあると言わざるを得ません。これでは、財政民主主義の原則は風前の灯火であり、日本国の財政は、首相の’ポケットマネー’と化しているかのようです。国会の関与を回避し得る政府の予備費を念頭に置いているのかもしれませんが、海外に軽々しく巨額の拠出を約束してしまう姿勢に、国民の多くが唖然とさせられたことでしょう。
今般のインフラ支援の対象は、海外の途上国とされていますが、まずもって日本国内にあっても、高度成長期に建設されたインフラの多くが老朽化しており、メンテナンスを含めてインフラ需要は潜在的に莫大です。例えば、水道供給設備の老朽化が民営化、並びに、海外企業の参入を促す根拠とされていますので、8.8兆円の予算があれば、本問題も凡そ解決します。コロナ・ワクチンをめぐっても、その輸入に莫大な予算が投じられていることを踏まえますと、最近の日本国政府による海外への利益誘導は目に余るのです。
海外を拠出対象とする表向きの根拠は、「一帯一路構想」を推進してきた中国に対する自由主義国の巻き返し、ということなのですが、地政学的な説明がつけばいいというものではありません。穿った見方をすれば、今般のインフラ支援は、中国からの支援を断ち切るための途上国支援を名目としつつも、AIIBを含む海外の金融機関を救済するためとも解釈できる点も留意しなくてはいけないからともとれるからです。(つづく)
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