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2022-06-04 09:36
(連載2)「政権交代」について
荒木 和博
特定失踪者問題調査会代表
政権交代の期待値が低いと、与党も野党もお互いの立場が変わる可能性を感じませんから、緊張感がない。拉致問題のような大きく難しい問題に積極的に取り組んでいこうという意欲も減り、どんどんどんどん野党も与党も劣化していきます。そのため、党勢盤石にみえる自民党にとっても、政権交代の可能性があった方が間違いなく良くなると思います。長期間与党に居座り続けた自民党が、本当の自民党らしさを取り戻したのはある意味下野した野党の期間であったとすら思います。与党第一党に長く居座り続けると権力意識が染み付いて、分配する装置のようになり政策志向が疎かになってしまうのでしょう。
社会党から民社党が出た1960年、自民党は池田政権でした。この時、社会党は中間派と左派ばかりになり現実的な政策を出す政治家がいなくなってしまいました。自民党に反対してさえいれば、ある程度の議席は維持できるからです。これは自民党にとってもありがたい話で、そういう政党は野党第一党にはなれても与党にはなりえません。社会党が自政権を脅かす心配がない上に当時は高度成長ですから、自民党はそのパイをどうやって分配するかということ言うことだけに関心を持っていればよかったということです。厳しい政策評価を受けない当時の状況は政治の劣化をもたらして、結局、簡単に成果を出すのが難しい拉致問題などの重要な問題には手を付けないで、アメリカが守ってくれるからと安全保障からも目をそらす、そういう時代が続いてしまったと思います。この時代は、経済的には良かったですが、国家全体としてはやはり劣化していたと言わざるを得ないと思います。
さて、現在の政局を見ると、自公政権は過半数割れに追い込まれる可能性がほとんどないといえるでしょう。立憲民主党には右から左までいろいろな政治家がいるのですが、結局地に足がついた政策論争というよりかは反自民で勝負しようとしてしまう。もちろん立憲民主党を支援してる人は自民党との妥協には反対するわけですから、指導部の皆さんは問題意識としては理解していても、そうは簡単には過去のやり方から変えられないということが続いてきているのではないだろうか、と感じます。
社会党の二の舞を演じるかのようといえば簡単ですが、これは解けない問題です。江戸時代の親藩大名、譜代大名、外様大名ではありませんが、それぞれそれなりの居場所があるのがわかっていると、その居場所で安住してしまう、それを維持するのに精一杯になってしまうというのがあるのです。よくいえば、日本政治は安定感があるということなのですが、それを補う方法を考えておかないと、どんどんどんどん政治が腐敗していくわけです。拉致被害者の救出ができないことなんていうのはまさにそれを象徴するようなことだと私は思います。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)「政権交代」について
荒木 和博 2022-06-03 20:05
(連載2)「政権交代」について
荒木 和博 2022-06-04 09:36
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