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2022-03-05 12:32

(連載2)ロシアによるウクライナ侵攻が我々に突きつけるもの

鈴木 馨祐 衆議院議員
 しかし、そもそも論として、実際に侵略された場合に米国が軍事的に本当に守ってくれるか、という根源的な問いかけを、中国やロシアのような軍事大国の脅威にさらされている国々に惹起させる出来事でもあります。今回の国際社会の対応次第では、安全保障上のリスクにさらされる国々が独自の核武装や軍拡に転ずるきっかけともなりかねない状況です。
 
 日本が置かれている地政学的環境にも目を向ける必要があります。中国が今年秋以降にも台湾を侵攻する可能性があり台湾海峡も非常に危機的な状況にあると指摘されている東アジアに位置する我が国として、中国の台湾侵攻が行われれば、まさに日本としての存立危機になりかねないことを考えても、今回のロシアによるウクライナ侵攻は国際社会の対応という意味でも、極めて深刻な事態です。
 
 これまでの思考や行動様式から判断して「同じ穴の狢」と言って良いロシアと中国、プーチン大統領と習近平主席。中国が今回のロシアの行動を支持していることも、将来的な台湾等への侵攻への布石とも考えられます。アメリカや国際社会が今回のロシアの侵攻に対してどのように反応するのか。具体的には経済制裁だけでなく軍事的な動きを含めたより強硬な対応を出来るのか否かを中国は必死に注視し分析していると考えられます。
 
 クリミアで他国が介入できなかったことが香港での中国政府の動きの呼び水となったように、ウクライナ侵攻への国際社会の関与が今後の中国などの動きを大きく左右しかねないとの認識を、日本や台湾、アメリカは持たねばなりません。日本政府としても、アメリカ政府との間で、ウクライナ侵攻に関し将来の中国の台湾侵攻リスクをも見据えた戦略的な対応を検討するよう密接な協議を行う必要があります。(おわり)
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(連載1)ロシアによるウクライナ侵攻が我々に突きつけるもの 鈴木 馨祐 2022-03-04 21:22
(連載2)ロシアによるウクライナ侵攻が我々に突きつけるもの 鈴木 馨祐 2022-03-05 12:32
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