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2020-05-22 22:49

(連載1)経済のダイナミズムと安全保障

鈴木 馨祐 外務副大臣
 中国の軍事的挑発が引き続き続いています。中国で発生した新型コロナウィルス感染症の広がりと、その結果としてヒトとモノが止まってしまっている現況、欧米の先進国が非常に大変な状況になっているために輸出を中心に構造不況となりかねない今後の状況への対応など、政治が取り組むべき課題は山積していますが、以前から述べているとおり、中国や北朝鮮、ロシアといった潜在的脅威に囲まれている我が国としては安全保障環境も注視せねばならない状況が続いています。
 
 そして、中国等が狙っているのは領土や領海だけではありません。我が国の技術や情報を入手すべく、表からも裏からも虎視眈々と狙っているということを忘れる訳にはいきません。このような経済的な安全保障の観点からも、5月8日に施行になった改正外為法はきわめて重要な一歩です。
 
 しかしながら、この外為法に代表されるような経済安全保障はきわめて重要ですが、同時に今のグローバルな経済において、外国からのヒトやカネの流れ、またコーポレートガバナンスの要素が、生産性や競争力の観点から我が国の成長にとって欠かせないものであることも忘れてはなりません。海外からの人材や資金のフローなくしては、我が国の経済のダイナミズムも成長もあり得ません。
 
 こうした点を踏まえれば、安全保障との名目で投資家や外部からの経営への適切なプレッシャーを弱め経営の緊張感がなくなってしまうようなことがあってはなりません。実際、これまでの多くの日本企業は、内部留保や終身雇用にみられるように、人材や資金を有効に活用できず、結果的に競争力の低下が顕著だったために、安倍政権ではコーポレートガバナンス改革を積極的に進めてきた経緯もあります。(つづく)
 
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(連載1)経済のダイナミズムと安全保障 鈴木 馨祐 2020-05-22 22:49
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