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2009-09-14 10:13

(連載)「外交の継続性」という神話(1)

進藤 榮一  筑波大学大学院名誉教授
 列島の地揺れが続いている。日本政治はどこに向かうのか。内外のメディアも新政権の行方に眼を凝らしている。かつて半世紀続いた冷戦が崩壊したように、自民党支配の構造も崩れた。後世の史家は「日本にも二大政党制が生まれた『09年体制』の始まりだ」と記すだろう。冷戦構造と同じように、自民党支配の構造も、変貌する内外の構造変動になす術を持たず、過大な負荷だけを民に残して崩壊し始める。
 
 政官業癒着、学校、病院の荒廃、消える年金から地方の衰退、広がらない内需などなど。地揺れする世界で「沈む日本」の窮状が、自民党崩壊の根元にある。であるなら、今見すえるべきは、世界の変貌をどうとらえ、この国のかたちをどう変えていくかであろう。その時浮上するのは、それら一連の窮状が、市場万能と強者優遇を掲げる米国流資本主義と、それを外延部で支えたパクス・アメリカーナ(米国の力による平和)の帰結である現実ではなかろうか。

 その破綻が、リーマン・ショック以来の世界同時不況で加速されたのである。だから問い直されるのは、単に政官癒着や年金、少子化、非正規雇用だけでなく、半世紀有余の自民党支配を支えた「米国に顔を向けた対米依存の国」のかたちとその外交ーーーそのものだろう。
 
 確かに、今次のマニフェスト選挙で外交が論ぜられることは少なかった。わずかに民主党の日米FTA締結が争点になりかかったけれども、農村票に配慮して「締結」が「促進」に軌道修正され、後景に退いた。それが、外交論の不足、つまりは外交の不在を逆証している。いやそれは、そもそも外交が、内政と不可分の関係にある現実を表象している。(つづく)
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