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2009-07-29 10:29

(連載)いわゆる「審議会」の実態(2)

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 一旦建設凍結が決定された国道18路線の「見直し」に関って各地方に設置された「事業評価監視委員会」もその典型的な例である。費用対効果を算定して建設の是非を決定するこのスキームにおいて、建設費用を削減して再評価し、それによってゴーサインが出た8路線はともかく(これについても恣意的な数字いじりだと言う声もないではない)、残りの6路線については、当初建設の可否を判断する基準として設定された要素以外のものを加味して、建設効果を積み増しし、それによって基準をクリヤーしたと称している。

 いわばゲームが始まってからルールを変えるような話で、「結論先にありき」の後付けの理屈ともいうべき有様だ。こんなものを認める委員も委員だが、道路族議員の恫喝を奇禍として、手品師よろしく新しい屁理屈や数字を捻出する官僚とは、一体なんなのだろう。

 過疎地にとっての道路建設の是非が、一片の「血も涙もない」モノサシによって決められてはたまらない、という声があるのは解る。しかし、打ち出の小槌ではあるまいし、八方美人を避けて、何らかのモノサシによって優先順位を決める、というのは為政者たるものの当然の義務だろう。実力不相応のウィッシュリストをごり押しする、というのでは政治でもなければ、まして行政でもない。

 そんなことでは歳出削減など夢のまた夢だ。予算獲得に執念を燃やすのがお役人の天性であり、それと一蓮托生で動くのが「族」議員の習性であるとすれば、せめてもの頼りの綱は「民」の牽制だろう。審議会の類がその機能を果たせないとなれば、いつも同じ結論で恐縮だが、民間の非営利組織が声を上げる他に道はない。手回しよく公益法人制度を改悪して民間非営利組織を殺戮にかかった役人の先見の明には敬服する。願わくばいま少し「建設」的な方向にその能力を使ってくれないものだろうか。(おわり)
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