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2021-09-22 21:39

(連載1)米中の間にある日本の「べき論」

岡本 裕明 海外事業経営者
 前回「普通の国になったアメリカ」(2021年9月9日付e-論壇『百家争鳴』)と題した投稿をしました。「普通」という言葉をどうとるかですが、私が含ませたのは「しゃしゃり出ない」という意味合いを念頭に置きました。強大な国ゆえに自意識が高く、プライドも高いものです。日本に於いて一定年齢以上の方はアメリカの文化、娯楽、製品、サービス、スポーツに魅せられ、影響を受けてきたことを否定することはできないでしょう。極論すれば元気な頃のアメリカは地球全部が「アメリカの裏庭」ぐらいの発想だったのです。世界の警官という良い表現をしますが悪く言えば「俺の庭を勝手に荒らしやがって」だったとも言えます。それゆえ、共産主義バカヤロー、テロリストを締め上げよ、でありました。
 
 変わったなと思わせたのは、トランプ前大統領が中国との貿易戦争を通じた戦略です。「踏み込まない」。これが私の強い印象です。では北朝鮮。金正恩氏と3度も会ったのに「踏み込まない」のです。もう踏み込むつもりがないのではないか、という気がしたのです。対中国は貿易戦争と称しながらマネー絡みの過激なビジネスディールの類ですし、昔のアメリカならばロケットをポンポン飛ばす金委員長を特殊部隊が捕まえるぐらいの荒業はあったでしょう。
 
 今、膨張する中国への警戒感が強くなってきています。そこでアメリカは何をしたのでしょうか?台湾に武器を売ったのです。つまり支援をする=武器を売る、です。ビジネスを深堀するものの他国への関与を着実に後退させているように見えます。日経に「米、海外関与の縮小鮮明 同盟国に問われる自助努力」という記事があります。「バイデン政権の内情に通じた関係者によると、バイデン氏の早期撤収の判断にはアフガン政府軍の変わらぬ『米国頼み』の姿勢もあった。『アフガン政府軍が戦う気力のない戦争で米兵は戦うことはできないし、そうすべきでない』。バイデン氏はこう主張する」とあります。この「米国頼み」の重さを嫌う、これがトランプ、バイデン両氏のスタンスです。共和党も民主党も同じ考え方だということは重要です。
 
 トランプ政権の時、駐韓米軍の撤退説というのがありました。「もう十分共同演習もしたのに、お前ら、十分な分け前(=駐留費)も出さないじゃないか、ならそろそろ引き上げるからな。武器は引き続き欲しいだけ売ってやるからな」。これが本音だった気がします。あの頃、安倍前首相にも駐留費引き上げ問題をトランプ氏が吹っ掛けていました。私はアメリカとの縁は19歳からでそれ以降、しっかり様子が見られるところにいますが肌感覚としてずいぶん変わったことは確実にわかっています。結局、アメリカは普通の国になり、イデオロギー国家からビジネス国家アメリカに転身したのです。(つづく)
 
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