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2026-03-20 19:01

アメリカとイスラエルの武器や装備品の補充に不安要素がある

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 アメリカとイスラエルのイラン攻撃の最大の誤算は短期間で決着がつくという見通し通りに事態が進まなかったことだ。イランに対して大規模な先制攻撃を行って、最高指導者アリ・ハメネイ師をはじめとする政府の指導部を殺害すれば、イラン政府が機能不全に陥り、イラン国民はこの機会を利用して、政府を打倒するだろうという極めて甘い見通しを持っていたようだ。

 私が不思議に思っているのは、世界最高峰の水準を誇るイスラエルの情報諜報機関であるモサドがそのような甘い見通しの基盤となる報告をイスラエル政府最高指導部層に出していたとはとても考えられないのに、どうしてこのような攻撃を行い、目的を達成できていないのかということだ。アメリカ軍はイラン攻撃のリスクは非常に高いという報告をトランプに上げていたが、トランプはそれを無視したというのは分かるが、イスラエル政府内の動きがどうだったのかということはこれから明らかにされるだろう。

 ウクライナ戦争においては、アメリカがウクライナにとっての最大の支援国である。ウクライナ戦争勃発から既に4年以上が経過しているが、膠着状態に陥っている。アメリカが武器支援を行っているが、アメリカでも生産体制が整わず、増産が思うように進まない。結果として、アメリカ軍は既定の武器や装備品の貯蔵量を下回る事態となっている。アメリカ軍制服組トップの統合参謀本部議長のダン・ケイン大将がイラン攻撃はリスクが高いという報告書を出して、イラン攻撃に反対したが、これは、武器や装備品の調達面での不安もあったことが考えられる。アメリカでは理工系に進むアメリカ人学生が少なく、理工系の優秀な学生は多くが中国や韓国、日本のアジアからの留学生が大きな割合を占めていることは知られている。

 イランは医学や理工系学生の数が多く、また、女性の高等教育進学率も高い。日本では理工系に進む女性の数は少なく、「リケジョ」という言葉と共にアピールが続けられているが、イランでは「リケジョ」がごく当たり前の存在となっているようだ。また、より良い教育と研究環境を求めて、ヨーロッパやアメリカの一流大学に進む優秀な学生も多い。その結果として、国内の研究水準も高く、エンジニアや研究者の数も水準も高い。そうなると、軍事関連の研究も進んでいると考えるのが当然だし、生産力も高いと見なすべきである。

 アメリカもイスラエルも短期間で片を付けることが出来るという、甘い見通しでイラン攻撃を開始し、最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害するということをしでかしてしまって、イランを本気にさせてしまった。戦争は長期化する可能性が極めて高い。アメリカとイスラエルが圧倒的な軍事力を持ちながら、押されてしまい、閉塞状況に追い込まれている。
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