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2025-09-30 08:30
フィリピン出張のご報告
鈴木 馨祐
衆議院議員
先日、8月25日から28日の日程で法務大臣としてフィリピンを訪問しました。中国の最近の軍事動向から可能性が指摘される台湾有事において、フィリピンは日本と並び自由主義陣営の最前線の隣国として必然的に当事者とならざるを得ない国です。そのことから、台湾有事への対応やどのようにして中国の台湾侵攻を抑止するかにおいて、フィリピンは日米両国にとり極めて重要なパートナーです。また南シナ海において中国の公船による様々な挑発行動に直面している点においても、我が国に対する東シナ海での中国海軍や海警などの中国公船による挑発行為に対する対処と共通の課題を抱えています。
特に北端に位置する離島からなるバタネス州は、その最北のマブリス島にあっては台湾の南端まで約140キロと、まさに日本の与那国島を含む八重山諸島と台湾の距離と同じような距離にあり、かつ東アジアのシーレーンの大動脈であるバシー海峡に面した島であり、近年フィリピン軍が拠点を置くなど地政学的な重要性が増している場所です。バタネス州の州都があるバタン島においても、従来港湾施設が西側の州都バスコの港しかなかったことから、台風や季節風の対応として米国の協力の下で東岸に港湾を建設する計画が進んでいたところに、中国政府の干渉があったために一時的に計画が停止されていると言われています。このように、バタネス州、バタン諸島は周辺国の注目も高い地域です。
同時に私が法務大臣として所管する出入国在留管理庁の分野に関しても、有事の際の台湾在留外国人や台湾人の避難民の脱出経路となる可能性が高いのが日本であり、フィリピンです。特に有事発生前後においては商用便の使用が困難となることから、様々な船舶や漁船、ボート等により避難民が日本の先島諸島やフィリピンのバタネス諸島に大量に来ることが予想されます。その受け入れや潜在的敵性国関係者の排除などにおいて共通の課題を抱える両国でもあります。台湾で働くフィリピン人労働者は15万人以上と台湾に長期滞在する日本人の約10倍の国民が台湾に在留しており、フィリピン国内においては台湾有事の際の台湾で働く自国民の安全への関心も極めて高い状況にあります。
今回の出張においては、このように地政学的重要性が極めて高まっているフィリピンにあって、まずはマニラで、私のカウンターパートであるレムリヤ司法大臣、カクダック在外フィリピン人労働者大臣との会談を通じて出入国管理行政や法制度整備支援をはじめとする司法分野や国際的な法の支配における様々な課題についての共通理解を深め、また旧知の神田・アジア開発銀行総裁とアジア地域全体における法制度整備支援等についての今後の日本国法務省との連携強化等について議論しました。また親日・親米的な姿勢で知られ、大統領を複数出しているアキノ家のバム・アキノ上院議員とも地域が抱える様々な課題について、同じ1977年生まれの同世代ということもあり率直な意見交換をすることが出来ました。加えて、今回の出張では前述のバタネス州にも赴き、アグト・バタネス州知事とも様々な共通の課題について議論を行うことが出来ました。
なお、バタネス州の帰りのフライトはクラーク空港着の便でした。ピナトゥボ火山の噴火により大きな被害を受けた場所でもあり、かつては米軍のクラーク基地があった場所ですが、同時にここは日本軍占領下の時代にマバラカット飛行場として使用されていた場所でもあります。1944年10月に神風特別攻撃隊が初めて飛び立った地です。その慰霊碑に日本国の閣僚として献花をさせていただきました。
今の中国の軍事行動が生み出している台湾海峡や東シナ海、南シナ海をはじめとする東アジア情勢の緊張は、第二次世界大戦後はじめて日本が戦争の危険に具体的に晒されていると言って良い状況です。多くの英霊が尊い命を捧げ犠牲となられたあの戦争を思うとき、改めて心より哀悼の誠を捧げますとともに、日本の周辺において絶対に戦争を起こさせてはならない、台湾有事を中国に起こさせてはならない、そのために全力を尽くすことを改めてお誓いをいたしました。今後ともフィリピンとの協力関係を深化させ、東アジア地域の安定のために全力を尽くしてまいりたいと思います。
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