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2023-12-20 11:52
世界から見放された「一帯一路」のアピールに必死な中国
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
中国の共産主義は、スターリンのやっていたロシアの社会主義よりも「身勝手」の度合いが高い。これにはいくつかの理由がある。一つの理由として、まずは中国の歴史がある。中国の歴史は、日本の歴史と似ているように日本では学校で習うようであるが、残念ながらそのような歴史ではない。中国というのは「儒教の国」などということを言うが、全くそのようなことはなく、完全に、「裏切りの国」である。中国の歴史の中で日本の多くの人がよくしっている「三国志」があるが、基本的には「もともとの漢帝国を裏切った三人の武将」の話であり、実際に漢という帝国が本来であればそのまま統治する。日本では大和朝廷がずっとあり天皇の権威に関しては誰も触れないというようになっていたのである本来「君主が君主らしくなくても、臣下は臣下らしくあり君主を諫めながら支える」ということがある。日本にはそのような臣下が少なくない。
しかし、中国には「易姓革命」という考え方がある。新たな徳を備えた一族が新王朝を立てた(姓が易わる)というのが基本的な考え方であり、血統の断絶ではなく、徳の断絶が易姓革命の根拠としている革命思想である。つまり「徳が尽きた」といえば、他の人が王朝権力を簒奪してよいというような「身勝手」な儒教解釈ということになるのではないか。しかし、そもそも「徳が尽きた」ということは誰が判断するのであろうか。そのように身勝手に言えばそれで王朝を簒奪することができるということになれば、結局、身勝手に徳が尽きたというようなことを言うようになるのである。そのようないがってな裏切りが十分に成り立つのが中国である。最終的には共産主義革命が始まるが、これも「易姓革命」の一つであろう。しかしそれともう一つの徴が出てくる。それが共産主義の時に必要な唯物史観であろう。中国人と付き合っているとよくわかるが「がめつい」「ズルい」というようなことを感じた人は少なくないのではないか。「信用」とかそういったことは全く関係ない上に、目の前の利益にすぐに手を付けるのでる。
さて、資本主義経済で最も大事なものは何か。単純に「金」である。しかし、金は間違いなく、「金」でしかない。資本主義経済というのは、自分の持ち寄れる資産を合わせて、製品を製造しそれを流通して金にするというシステムである。資本主義という名前から資本(金・株券)というようなイメージもあるが、実際には、信用が最も重要なのである。何しろ金だけでは何もできないのであり、金を動かしたり投資をしたりということの判断はすべて人間が行っているのである。そしてその内容を見ていれば、自分の大切な金を預ける(投資する)のであるから、当然にその信用がなければ何もできないのではないか。中国政府は、一帯一路を行うのに関して「中国の信用を高める」ということをしていない。そもそもその中国の信用を高めるということは、本来は約束を守るということや、または、政治的な内容で経済の自由を妨げないということが重要なのである。しかし中国はその内容が全くわからない。いや理解してしまえば中国の共産主義は、史的唯物論を完全に失ってしまい、共産党としての役割を終える。要するに中国国内において共産党の支配を継続するためには、資本主義としての信用を失っても、史的唯物論を完遂しなければならないのである。そのように考えれば、中国は「信用」を失うという事しかない。そこで、結果を示すことで一帯一路をアピールするしかないということになる。
まさにそのような状況になっている。イタリアなどは「将来の見込み」で一帯一路から抜けた。当然にその内容は、中国の信用を失うということからそのようになっているのであるが、しかし、「信用」という武器をなくしてしまった場合は、「結果」という過去でしか実績を出すことはできない。未来に対しての補償を過去を示すことによってしかできない。それが史的唯物論の内容であり、同時にそのことが、「共産主義」の最も大きなミスなのである。今回のような過去をつかった実績をアピールしても、その過去に嫌気がさしてイタリアなどは離脱している。しかし、信用など目に見えないもの、ましてや「未来」などということを全く見せることのできない中国には、結局信用を取り戻すことはできないのである。中国というのは結局はアメリカや日本の投資で経済を発展させ、その部分をもとに一帯一路を行ったが、しかし、アメリカとの経済戦争がありまた日本も徐々に中国離れを起こしている状態である。そのような中で、日米とうまくいっていた時代の実績を出して信用を取り戻すことはできないのではないか。では今後一帯一路はどのようになるのか。来年の動きはそのようになる。
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