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2023-07-12 15:11
最近の日韓関係について
真田 幸光
大学教員
直近の日韓関係悪化の直接的原因となった、「韓国の輸出手続き優遇国扱いからの降格」を巡る問題について、日本が韓国を優遇国に復帰させる動きとなった。即ち、日本政府は、6月27日の閣議で、輸出手続きを簡略化する優遇国「グループA(ホワイト国)」に韓国を復帰させる政令改正を決定している。韓国では、「韓国大法院の徴用工に対する賠償判決に反発し、韓国をホワイト国から除外した」としているがこれは誤った見方ではあるが、いずれにしても、ここから日韓関係は悪化、それ以来4年ぶりの復帰となる。
日本は今年3月にも韓国に対する半導体素材3品目の輸出規制も事実上解除、これにより、韓国に対する輸出規制は全て撤廃されたと、韓国では日本もつまらぬ報復がやっと終わったと言わんばかりの報道をマスコミ各紙が行っている。日本の政令改正は6月30日に公布され、7月21日に施行される見通しである。ホワイト国とは、日本企業が武器開発などに使用できる物資や技術を輸出する際に手続きを簡素化する友好国を指し、ホワイト国は一度輸出許可を受ければ、その後は追加輸出のたびに許可を受けなくてもよい「一般包括許可」が適用される。韓国は日本に先立ち、今年4月に日本をホワイト国に復帰させる「戦略物資輸出入告示」を官報に掲載しており、これにわり、韓国と日本が相手国を戦略物資と関連して信頼できる国家として認めたとの認識を韓国国内では示してはいる。
また、日韓両国政府は6月29日の「日韓財務対話」で、通貨下落などの緊急時にドルなどを融通し合う「通貨スワップ協定」を約8年ぶりに再開することで、予想通りに合意した。韓国政府筋の発表によると、今回のスワップ規模は100億米ドル規模で、期間は3年に決まったとされ、通貨スワップは米ドルを媒介する方式となっている。また、今回再開された米ドルスワップとは別に、ウォンと円を交換する方式の通貨スワップを日韓間で再開する案も協議を進めるとの観測報道も出ている。上述したように、経済産業省が韓国をホワイト国に戻すことを決め、最大の懸案だった徴用工問題が政府間で「一応の」決着を見た後、金融面での関係改善となったと取り敢えずは評価されている。巷で言われる「日本の制裁」ではなく、韓国の意向によって2015年から中断していたこの日韓通貨スワップ協定、今回、合意に達したスワップ規模は100億米ドルで、一時700億米ドルまで拡大していたのに比べれば7分の1に留まるが、恒常的な米ドル資金不足となっている韓国にとっては大きな「通貨危機に対する、保険的、予防的メリット」はある。
一方、日本にとっては、メリットはほぼない。何故ならば、韓国が米ドル資金不足に陥った際、日本が米ドル資金不足になっている可能性は現状では低く、日本が米ドル資金を韓国に供与することは出来ようが、日本が米ドル資金不足となった際には、韓国も米ドル資金不足になっている可能性は極めて高く、日本が韓国から米ドル資金を融通してもらえる可能性は低く、保険とはならないからである。 こうしたことから、今回の通貨スワップ再開は、「まあ、これが韓国に対する日本の誠意である」という岸田政権のメッセージであろうか。
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