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2023-06-20 11:09
チャンスを逃した円の国際化と人民元決済の拡大
真田 幸光
大学教員
1997年に発生したアジア通貨危機の後、日本政府は、「円の国際化」を推進しようとした。その際に円の国際化委員会と言うものも発足され、筆者もその末席を少しお手伝いもした。当時、筆者は、「円の国際化は、日本が輸出大国であるだけではだめであり、輸入大国となり、特にアジア諸国をはじめとして、開発途上国からの原材料輸入だけでなく、製品輸入の拡大を図り、輸出入共に、円決済を拡大しない限り、円の国際化は難しい」と主張したが、当時の日本は、海外からの製品輸入の比率が伸び悩み、円の決済比率は上がらず、「円の国際化のチャンスを逃した」と言えよう。
こうした中、今、中国本土は輸出拡大をすると共に、関係国との輸入拡大を着々と拡大する姿勢を見せており、その成果が上がるなか、特に中国本土よりも弱い国との間では、人民元の貿易決済比率が着々と増加している。更にまた、中国本土は海外からの輸入拡大をする為に、ここ数年、上海にて、「中国国際輸入博覧会」を開催している。既に、世界約130カ国・地域から約3,000社・団体が参加している博覧会であり、輸入特化型の総合見本市となっている。日本もジェトロを中心にジャパンパビリオンを設置し、日本産農水産物・食品の中国本土向け販路開拓・拡大を目指している。更にまた、コロナ禍、現地への渡航に制限があったこともあり、リアル展示会だけでなく、デジタル技術を最大限に活用したパビリオンも設計されており、動画配信可能な博覧会ともなっている。
中国本土政府は、「輸入拡大を通じて、世界との経済協力強化を図りたい」とその意義を強調している。そして、毎回、日本の出店が第一位となっており、中小企業も300社程度は参加している。また注目は、「キャンプブランド、美顔ブランド、日本酒」などであり、RCEPを利用して関税ゼロとなっていく仕組みともなっている。また、Microsoftやメタも出展、日本からは新薬なども出展されている。更に、即売会形式となっており、展示会ですぐに買い物可能となっており、各商品に付与されているQRコードをスキャンするとそのまま自宅に州品を郵送することも可能となるような展示会となっている。
こうした中国本土の動きは、筆者にとっては、「人民元決済の拡大」の道具として今後、使われていくものと見られ、特に、「デジタル人民元の決済を拡大していく為に使われていくのではないか」とも見ている。そしてまた、こうした出展の中で高度技術を持つ製品もあるものと予想され、高度技術の獲得などにも中国本土は利用してくる可能性もある。
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