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2022-08-19 15:18
韓国の北朝鮮漁船員送還について
真田 幸光
大学教員
米国の連邦議会の超党派組織である「トム・ラントス人権委員会」で共同議長を務める共和党のスミス下院議員は、「韓国政府・統一部が公開した亡命漁師二人の強制送還当時の写真について、見るのがつらい、正当な手続きもなく韓国の前政権によって行われた問題の多い北朝鮮送還を糾弾したい。」との考えを示唆しています。スミス議員は、「私は衝撃を受け、驚愕し、誰がこんな命令を出し、何故そうしたのか明らかにする為の徹底した調査が必要であると信じる。」とコメントした上で、「韓国の難民政策とユン・ソクヨル政権」をテーマに遠隔で開催された先月の聴聞会でも、文在寅政権が行った脱北漁師の強制送還を批判、「文政権が2019年11月に二人の(亡命希望?)漁師を悲惨な運命に追いやった際、我々は誰もが衝撃を受け、あまりにも驚いた。人権弁護士とされていた人物が亡命した人たちをあれほど悲惨な運命に追いやることができるとは、私は信じられなかった。我々は、脱北漁師たちが、北朝鮮の金正恩総書記の絶対的な悪意により残忍に扱われることを知っていた。それが北朝鮮政権のいつもやることであるからである。」とも指摘しました。
更に、スミス議員は、「亡命を求めた漁師たちが自らの意志に反して正当な法的手続きなしに物理的強圧を受け、共産主義の北朝鮮に送り返される写真を見るのはつらい。今回公開された写真は二人の漁師が板門店の軍事境界線に強制的に送られ、残酷な政権への引き渡しに抵抗した点をあからさまにしている。」との考えも示しています。
こうした米国の動きは、韓国政府・統一部が、文在寅政権当時に行われた、「脱北漁師の強制北朝鮮強制送還」当時の写真10枚を公開したことに始まりました。脱北漁師二人が板門店に到着してから北朝鮮軍に引き渡されるまでの過程を撮影したものであり、漁師の一人は顔が血だらけになるまで壁に頭をぶつけるなど激しく抵抗している姿が示され、こうした様子を見ていると、「北朝鮮漁師に亡命の意志は全くなかった。」とする文在寅政府の説明とは完全に異なるものではないかとの批判が出てきているのであります。脱北漁師二人は縄で縛られ両目は目隠しされた状態で2019年11月7日午後3時に板門店に到着、黒っぽいジャンパーを着た漁師らは護送担当者らが目隠しを外すと両手を顔に当て驚愕する様子だったともされ、その漁師がその場に座り込むと私服姿の警察特攻隊員らが強制的に立たせたとも報告され、この二人が南北境界線を越えて北朝鮮側に引き渡されるまで12分掛かったと報告されています。
はてさて、「こうしたニュースはフェイクニュースであり、文政権はきちんと対応していた。」との声も聞こえれば、「こうしたことは事実であり、これを基にしてユン政権が文大統領の逮捕、監獄行きの準備を始めたものである。」との見方も出てきています。何が本当のことなのか、分からぬ状態にもあり、「疑心暗鬼」は更に強まり、問題は複雑に推移しそうであります。
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