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2016-06-09 10:50
昨今の国際情勢と日台関係
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
最近接触した米の安全保障問題シンクタンクの人間によると、中国の潜水艦能力がだいぶ向上してきたと暗い顔をした。本日の新聞などには、中国フリゲート艦が尖閣諸島周辺の接続水域を航行したとある。安倍総理が「米をはじめ関係諸国と緊密な連携をとる」ことを指示したのは、きわめてまっとうなものだ。その関係諸国には、言外に台湾を含めていることもだ。日米ともに、一つの中国をしぶしぶ認め、国交を開いているので公然とはできない。
こうした中、5月24日付の本欄への鈴木馨祐衆議院議員の「台湾新総統就任式典に出席して」の内容は、重要だ。台湾側が、蔡新総統はじめ政権幹部との会見・会談をセットしたことは目を引く。台湾の対日関係重視姿勢を改めて強く感じた。ここで、半世紀近く中国と台湾の現場でのた打ち回った経験から一言述べる。大陸中国から陰湿的にいじめられ、国際孤立感を強く持つ台湾の深層心理を感じ取った理性的な長期の観点からの外交が必要だということだ。
東シナ海、南シナ海の緊張に連動して両岸関係も動く。台湾側の対日期待感が増幅した場合、日本としてどこまでおおじられるのか、限度が厳然としてあることをきめ細かく、折に触れ説明していく必要がある。たとえば、防衛関連物品の輸出は現法律では無理だ。また、最近の豪・ASEAN諸国の態度に垣間見られるように、日本より過ぎるとみられることに各国とも極めて敏感だ。勿論、中国からの強い締め付け、最近の米の弱腰すぎる対応などもあるが、ある政権が日本寄りととられる政策を採用した場合、次政権で揺り戻しが来ることは覚悟しなければならない。
日本の一部での李登輝元総統の「尖閣は日本領」発言は、日本人としては、当たり前だし、拍手喝采であるが、台湾にとっては、国内世論を2分する種を捲いてくれたと頭が痛い話になる。日本としては長期的で、理性的で、幅広い観点から台湾の東アジアにおける安全保障上の重要さを述べ、日台ともにWINーWINになる状況に持っていく努力が必要だ。よく中国では、現今の国際情勢では、時は中国に有利だと述べているが、そうではない。民主と自由の価値を持つ国の方が長期の試練に耐えられることを示すのだ。
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