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2012-04-12 06:14
危機対応機能を発揮しつつある「日中韓対話」メカニズム
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
2008年12月、福岡でASEAN首脳会議とは無関係に、独立して第1回目を開催して以来、3国間の持ち回りで、定期的に開催されている「日中韓対話」メカニズムは、その後常設事務局がソウルに設置され、日中韓3国の人的・資金的協力の下に、外相・首脳レベルで開催される回数も増加し、3国間の政治的対話および具体的協力メカニズムとして順調な発展を遂げてきている。この3国間協議は、その性質上、かなり前から開催期日および場所が合意され、かつ討議する議題についても3国の強い関心事項であればフレキシブルにどんな問題をも取り上げることができるところから、約2年前本欄で指摘したように、2010年年5月開催された第3回「日中韓首脳会議」では韓国側調査の結果、北朝鮮潜水艦の発射した魚雷により沈没したとみられた韓国哨戒艦の事件への対応が協議の対象とされ、東アジアの緊張が高まった際の3国間の意思疎通に寄与するなど重要な役割を果たしてきている。
従って、今般の北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイルの発射問題への3国の対応の仕方についても、ごく自然に、4月8日、中国・寧波において開催された「日中韓外相会議」における主要な問題として協議され、玄葉外相が「仮に発射が強行されれば、明確な安保理決議違反である」としたのをはじめ、3国外相が突っ込んだ意見交換を行った結果、「北朝鮮による発射の自制を求める最大限の外交努力を継続する」ことで一致し、「今後も引き続き3国で緊密に協力していく」こととなったという。
今回の「日中韓外相会議」は申鳳吉「日中韓協力」事務局長(3国のいずれかから2年の任期で輪番で任命されるポスト)も出席して行われ、常設された「日中韓協力」事務局(他の2国より派遣される次長・専門職員等より構成)が「日中韓協力」の推進に寄与することへの期待が表明されたのをはじめ、実質的に交渉が妥結した日中韓投資協定や早期開始が望まれる日中韓FTA交渉、海の安全確保や環境分野における3国間協力等の具体的な協力の強化についても話し合われたようだ。
さらに、同会議で、玄葉外相は、東アジア地域協力についての日本の基本的姿勢として、「東アジア首脳会議(EAS)を地域の共通理念や基本的なルールを確認し、具体的協力につなげる首脳主導のフォーラムとして発展させるべきである」、「欧州債務危機のアジアへの伝播を防ぐために、ASEAN+3におけるチェンマイ・イニシアティブの強化の議論等を通じ、引き続き緊密に協力していきたい」旨などを述べたとされることも注目して良いであろう。
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