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2010-09-26 23:08

政治決着ではなかったのか

花岡 信昭  拓殖大学大学院教授
 さすが中国だ。漁船船長を釈放したら、今度は謝罪と賠償を求めてきた。こっちが引けば、一歩も二歩も出てくる。たいした国である。押しまくられっぱなしの日本政府があわれに見えてくる。そもそも、政治決着ではなかったことが、これではっきりしてしまった。政治的にはこれ以上の稚拙な対応はない。菅政権としては面目丸つぶれだ。

 領海侵犯して海保巡視船に体当たりし、公務執行妨害で逮捕されたのが、拘留期限の切れる前に処分保留、釈放となったのだから、これは高度の政治レベルの交渉の結果だと見るのが普通だ。だが、そうではなかった。中国側には事情もあるようで、強硬な姿勢に出ないと、軍部が騒ぎ出したり、国民の不満のはけ口としての役割を果たせないということらしい。

 なんのことはない。本当は中国国民は自国共産党政府に怒りの矛先を向けたいのだが、これができないため、「反日」が身代わりにつかわれている。こちらとしては、そんな事情をいちいち斟酌してやる必要はない。

 逮捕したのだから、とことん強硬姿勢を貫いて、本当の意味での政治決着のタイミングをはかればよかった。中国にはめっぽう「顔のきく」小沢氏もいるではないか。代表選敗北のあとの出番になったかもしれない。
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