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2010-01-21 01:38

「小沢騒ぎ」で明らかになった民主党の問題点

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 本態性言語軽薄症と無神経傲慢無礼症が与党の骨格をなしている。ということが国民の前に明らかになってしまったのが問題の所在だ。前原氏や仙谷氏がやや遅きに失した感はあるものの、批判めいたコメントをしたのはわずかの救いではあるが、それとても小沢恐るべしに怯える大多数の前にはほとんど無力なようだ。国民の選良たるものが、かくも易々として一政治家の私兵になるというのを見せつけられたのは驚きを通り越して気味が悪い。チェック・アンド・バランスという民主主義本来の機能は、こんな時にこそ働くものなのだが、渡部恒三氏のコメント程度ではとてもその機能は果たせていない。それにしても一体党首というのは何なのだろうと思う。

 この一件がどのような結末を迎えるにせよ、このような小沢体質が残ったままの民主党が来る参院選に勝ってはならないし、国民の良識は決して勝たせないことを祈りたい。彼が法律に違反したかどうかの結論はともあれ、その過程で見せつけられたごり押しの人もなげな手法は、民主党内の心ある人々の眉をひそめさせていることを期待する。そして、依然として先の選挙大敗の理由を認識せず、旧き良き日への回帰を願っている自民党領袖に対する絶望感を抱くグループが党内に存在し、既に自民党からスピンオフしている人々が触媒役になって、その二者が連合するようなことになれば、それこそ薩長連合で面白い。

 などとドラマ仕立てで無責任なことを想像している分にはお気楽なのだが、現実の経済の舵取りや財政立て直しの衝に当たっている人はたまったものではないだろう。これほど統一した政治の意思というものが不在では、看板にも関わらず、振り付けは再びお役人の手によらざるを得まい。どさくさにまぎれて何千億かの税金が再び日航に投じられる。本当にこれっきりであることを祈るが、潰すべきものが、潰れるに至った原因には全く手が触れられないまま大手を振ってまかり通る不思議は、まさにいつか来た道だ。やる気満々な全日空はさておいて日航救済に狂奔するのは、綺麗ごとを言えば国策、あけすけに言えばお役所の不合理さの吸収度が日航の方がより高いからに他ならない。

 民間の公益法人をがんじがらめにして息の根を止めにかかっているのも同根だ。臭いニオイのもとも解らず天下り法人潰しで満足している民主党政権のようだが、さて、予想されていたこととはいえ、政党の態をなさなくなりつつある昨今、この事態をうまく乗り越えるのを祈るのみだ。ちなみに、ことあるごとに公益法人、民間非営利組織について言及するのは他でもない、役人の向こうを張って、あるいは拮抗してよい知恵を出す主体は、これしかないからだ。だからこそお役人はこれを潰すのに狂奔する。
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