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2010-01-18 09:50

検察と全面対決した政権はない

花岡 信昭  拓殖大学大学院教授
 首相と政権党の幹事長といえば、国家の2大政治リーダーだ。その2人が検察と戦う、つまりは全面対決していくことで一致したのだという。これまで、ロッキード、リクルート、東京佐川急便などなど、政治とカネをめぐる多くのスキャンダルに遭遇してきた。実際に現場で取材してきたころをなつかしく思い出す。

 しかし、これだけははっきり言っておきたいが、あれほどのビッグ・スキャンダルが起きても、ときの政権が検察当局と全面対決するということはなかった。それが政治の筋というものである。検察は法と証拠によって犯罪の嫌疑ありと判断すれば、当然ながら動く。そういう国家構造を認め合わなければ、正義や秩序は貫徹しない。

 人間のやることだから、間違いがあるかもしれない。だから、三審制の裁判の場がある。弁護士も存在する。検察は行政の一部局だが、そうした意味では特別な存在である。行政トップの首相の指示通りに動くことはない。ほかの行政部局との違いがそこにある。

 したがって、ときの政権は検察の方針に対して、どこまでも厳粛に矜持を持って対しなくてはならない。首相と政権党幹事長が検察との全面対決を打ち出すなど、聞いたことがない。民主党大会でもこれが支持されたかたちになったから、ことはさらに重大だ。
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