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2009-04-13 10:19

また見えた、お役所外郭団体の無駄と重複

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 今回のテポドン騒ぎの中で、いくつか一般の国民には聞き慣れない名前のシステムの存在が浮かび上がっている。その一つはテレビ朝日で冷やかされた「J−アラート」だ。これは財団法人「自治体衛星通信機構」が実施している通信衛星を利用した消防庁による全国瞬時警報システムである。この財団が行っている20数億円の事業の一部だ。異常気象等の情報を全国自治体にいち早く報せるべく、2004年から開発が始まった。今回のようなミサイルもどきに関する情報も守備範囲に入っているのだが、今回は準備不足で役に立たなかったのは、残念というべきか、当然というべきか。
 
 もう一つが「エムネット」といわれるものである。こちらの方は「総合行政ネットワーク」といわれるものを利用して、緊急事態に際して官邸と自治体の間で情報をやりとりする。再び財団法人「地方自治情報センター」が行っている40数億円の事業の一部である。今回は、こちらのお世話になったようだ。

 どちらの財団法人も総務省の外郭団体であることに変わりはなく、どちらも常勤の要職にはお役所のOBがしっかりお仕事をなさっているのにも変わりはない。両プロジェクトにそれぞれどれほどの資金が投じられたのかは明らかになっていないが、民間企業であれば、二重投資を避けようとする、あるいは可能な共通運用を図ろうとする努力は当然ありそうなものだが、そんな気配は皆無である。もちろん、それぞれの組織成立の経緯・沿革は異なっているのだから、お役所のメンタリティでは、そんな発想は出てこないのだろう。

 今度の騒ぎで垣間見えただけでもこの有様だから、本気になって外郭団体相互間の業務重複や類似機能を洗い出す気になったら、どれほどのものがあぶり出されるか、想像に難くない。これをお役所自身の見直しに期待していればよい、とはどれほど楽観的な人でも、流石にいわないだろう。それこそが政治機能に対して国民の期待の存するところではないか。霞ヶ関の埋蔵金しかり、外郭団体の機能見直ししかり、足下から地道に土木作業をやってゆくのは辛気くさい仕事かもしれないが、消費税値上げを説いたり、華々しい空中戦を繰り広げる前に、1年もかければ明らかにされるだろう無駄の摘発は、簡単な話ではないか。それとも、政・官・財の癒着構造は、それさえできないところまできてしまっているのだろうか。
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