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2009-03-30 21:02

政府の経済成長戦略に望むこと

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 政府の経済成長戦略が明らかにされた(3月28日付け『日本経済新聞』朝刊)。低炭素・健康長寿・底力発揮の三本柱だという。最後の「底力」はやや食い足りない気もするが、先ずは及第点だと言ってよいだろう。これまで電柱を地中に埋めろとか、高速を1000円にする、といった程度の散発的なアイディア(まあ、それぞれに結構なことではあるが)しか目に留まらなかったのに比べれば、手持ちのアイディアを急いで取りまとめた姿勢は大変結構だ。

 これまで資源小国の日本では、輸出立国が国のスローガン化し、その結果自国通貨が強くなると言っては涙にくれ、民のくらしよりは重厚長大の土建国家化が優先される嫌いなしとしなかった。その流れをひとまず断ち切る姿勢があちこちに見られるのはいささかの問題を含みつつも、良い方向に向かいつつあるといってよいだろう。明示の形で「内需喚起」はうたっていないものの、この対策のほとんどがそれを意識したものであることは明白だからだ。とはいえ、いささかの懸念がある。というのは、この計画の執行体制だ。三本柱そのものについて、1兆円の「つかみ金」は特にそうだが、官僚の介入によって執行効率がおそろしく低下する可能性が消えていない。

 柱それぞれについて、まさかとは思うが、特殊法人のような外郭団体が雨後の筍になって、実際に受益者に届くオカネが半減したり、歩留まりが相当に悪くなるおそれは多分にある。今回は企業中心に減税の話が盛りだくさんだが、つい先には消費税アップの話が既成事実化されていたのを忘れてはならない。別にこの政策に水を差す気は毛頭ないが、お役所仕事の無駄の切り捨てについては、通り一遍のコスメティック・ワークにとどまっていることは、もっと強調されて良い。財政規律がひとまず棚上げにされた観があるだけに、よけいそう思う。

 お役所からの予算が収入の90%を超える公益法人、あるいは特殊法人について、その予算執行効率(というのもはばかられるが)が全て明るみにでれば、納税者は唖然とすること請け合いである。どんな事態になっても「焼け太り」を図ることにかけては天才的な官僚諸子が、その才能を建設的な方向にだけ使用するよう監視の目は緩めてはならない。「なあに、むだ使いなどは、ことが小さい」などとオトナになってはいけない。小沢党首の続投か否かなどにエネルギーを使っていないで、民主党にはぜひ引き続き「むだ」潰しに活躍してほしい。
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