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2009-02-06 05:49

期待されるオバマ政権の東アジア地域政策

石垣泰司  東海大学法科大学院非常勤教授
 1月20日の就任直後、ヒラリー・クリントン国務長官の正式就任に先立ち、オバマ大統領が最初に電話会談した外国指導者はアッバス・パレスチナ大統領とオルメルト・イスラエル首相であったことからもわかるように、オバマ政権として中東問題へ積極的に取り組む意向を鮮明にした。当初の電話会談からのみ判断するつもりは毛頭ないが、仕事師オバマ大統領が就任してまず直接話をしたいと望んだのは、中東5首脳、加、英、国連事務総長(以上21-23日)、ついでロシア、独仏の指導者であった。その後、多少の外交上のバランス感覚を発揮して、ブラジル、豪州、南ア、日本、中国ほかの政治指導者と直接対話を試みたのは、オバマ大統領の政権初期の一定の外交的センスを示唆しているようで興味深い。

 今後米国は、オバマ・クリントン外交の本格的始動に伴い、世界における指導力回復を目標に、早急に取り組みたい現下の重要問題と優先順位を明確化していくものと思われる。それとともに、米国が重視すべきアジア・太平洋地域における主要外交課題も自ずと明らかになるであろうが、すでにイラク、対テロ戦争、環境問題等について示されているように、ブッシュ政権時代とは異なる外交姿勢が東アジア地域についても示される可能性があるのではないか。

 その場合、米国としては、現に正式メンバーとなっているAPECの再活性化を打ち出すことは当然想定されるとしても、さらに、ブッシュ政権時代には殆ど関心を払わなかった、東アジア共同体関連のASEAN+3や東アジア・サミット(EAS)といった地域統合の動きに対しても、新たな関心を向けることも十分ありうると思われる。

 東アジア・サミットについては、すでにロシア、EU等が正式に参加希望を表明しているとされており、域外大国がどのようなステータスで参加できるか不透明であるが、インドネシアで生活経験のあるオバマ大統領や夫君と世界を何度も飛び回ったクリントン国務長官の何れも、東アジア地域における重要な首脳会議への頻繁な出席を厭うとは到底思われないので、米国が経済・安全保障等多様な分野で深い利害を共有する東アジア地域における地域統合の動きに、今後どのように関わっていくのが最善であるか、本格的検討が行われ、具体的政策が打ち出されていくのではないかと期待される。
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