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2009-01-21 10:08

オバマ大統領の就任演説を聴いて思うこと

近藤 健彦  明星大学教授
 たった今、数時間前のオバマ大統領の就任演説の全文を翻訳で読んだ。便利な世の中になったものである。翻訳で読んでも、すごいスピーチだった。この演説は今後折に触れあちこちで引用されるだろう。政治的リーダーにとって、演説は命である。この演説だけでも、オバマ就任の意義はあったのではないかとさえ思う。私にとってとりわけ印象的なのは、演説の次の部分である。
 
 「私たちが今日のこの日、ここに集まったのは、恐怖よりも希望を選び、対立と不和よりも、目的のための団結を選んだからです。今日のこの日に私たちは、つまらないいさかいや偽りの約束はもう終わりだと、そう宣言するためにやってきました。この国の政治をあまりにも長い間、身動きできなくしてきた非難中傷合戦や、使い古されたドグマはもう終わりだと。私たちはまだ若い国です。けれども聖書の言葉を借りるなら、子供っぽいことはもうやめるべき時です。この国がいかに偉大な国かを再確認するにあたって、私たちは、何をしなくても当然のこととして偉大な国などないのだと承知しています。偉大さとは、努力して獲得しなくてはならないものです。長い旅路を歩んできたこの国は、これまでも決して近道をしたり、適当なところで妥協したりしなかった。私たちの旅は、気の弱い人たちには不向きな道中だった。気の弱い人たち。働くよりも楽をしたい人たち。富や名声の楽しみだけ求める人たち。そういう人たちは、私たちの旅路には向かない。それよりも、長く険しい道を登って、私たちのこの国を繁栄と自由に向けて引き上げてくれたのは、危険を恐れない人たち、実行力ある人たち、ものを自分の手で作る人たち、そういう人たちでした。中には功績を賞賛された人たちもいますが、多くの場合は、決して名声を得ることなく地道に働き続けた人たちなのです。そういう人たちが私たちのために、ひどい環境と低賃金の工場で働き、そして西部を開拓してくれたのです。そういう人たちが、私たちのために、むち打たれても耐えて、固い大地を耕してくれたのです。こういう男たち、女たちは、繰り返し、繰り返し、私たちがより良い生活を送れるようにと、苦闘し、自らを犠牲にし、自分の手がボロボロになるまで働いてくれたのです」

 この部分は、日本の報道機関はこういう大事なところを決して引用しないので、印象が鮮烈なうちに記しておきたい。ジャン・モネの親米主義に影響されている私から見ると、「米国は落ち目だ」という時評は間違っている。米国をこれからの「アジア共同体」作業で軽視するのは、完全な誤りである。ジャン・モネはケネディーを「欧州を最もよく理解している大統領」と評価した。今日の演説を聴いたら、ジャン・モネならどう評するだろう?
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