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2008-09-05 05:25

注目された「東アジア・サミット参加国外相協議」

石垣泰司  東海大学
  本年前半は、わが国がホストした第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)やG8サミット関連の首脳会議が華々しく報じられ、8月に入ってからは、南オセチア等をめぐるロシアとグルジアおよびこれを支持する欧米諸国間の激しい対立に世界の関心が奪われてしまい、東アジア地域情勢は、比較的注目されることが少なく、北朝鮮の核無能力化停止声明ですら、その重要性にも拘わらず、これまでのところさほどの大きな国際的非難も受けず推移している。そのような中の谷間の期間に、7月22日から同25日まで、高村外相がシンガポールで開催されたASEAN関連のいくつかの重要な外相レベル会議に出席したことは、わが国国内では余り大きく報道されなかったが、今後の東アジア地域における関係主要国の協力を考えると、非常に重要な動きが含まれていたことを見逃してはならない。

  そのうち、ASEANプラス3の第9回外相会議や恒例の日本・ASEAN外相会議および第15回アジア地域フォーラム(ARF)は、もとより重要であったが、今回特に注目されたのは、これら多数の諸会議が相次いで開催され、主要国外相が多忙を極める状況の中で、「東アジア・サミット(EAS)参加国外相協議」が開催されたことである。EAS諸国外相が昼食会以外の形式でこのような協議をもったことは、今回がはじめてであり、しかも次期議長国タイの下で、次回もEAS外相協議を開催することへの期待も表明されたという。

  この実質的に第1回となったEAS参加国外相協議においては、ASEANプラス3より広域の参加国間で協議してはじめて意味のある(1)食料安全保障・エネルギー安全保障、(2)気候変動問題といった問題をはじめ、(3)東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)や「アジア防災・防疫ネットワーク」の構築、(4)大学間交流の飛躍的拡大のためのアジア版「エラスムス計画」に関する日本提案等が話し合われ、ASEANプラス3外相会議自体に劣らず実りあるものであったようである。

 しかも同協議の中で、EAS、ASEANプラス3、ARF等、この地域で同時進行的に展開されている諸協力枠組みの相互関係についても論議が及び、各国からこれらが相互補完的に発展することが重要であることの発言もあったという。このような進展は、EAS関係協議フォーラムの充実化の観点から好ましいものであり、本年末タイで開催されるASEANプラス3、EAS両サミットで、更に論議が深められ、東アジア地域における協力の具体的な形の輪郭が次第に明確にされていくことが期待される。
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