国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-07-15 19:08

“外交交渉”ならぬ“社交”を楽しむ愚

佐藤守  元航空自衛官
 洞爺湖サミットも“無事”に終了したようで、陰で厳重な警戒に当たった警察、自衛隊関係者の労をねぎらいたい。皮肉ると、世界のテロ組織からも相手にされていなかった?ということかも知れないのだが・・・。冗談はさておき、その成果については、大方不評であった。それを集約した文が、7月10日の産経1面の「福田首相に物申す」という桜井よし子女史の文であろう。つまり、世界の首脳達は、自国の国益を前面に出して、“じゃれあい”ながらも目的を果たしてそれぞれ帰っていったが、肝心の議長国である我が国の“成果”は、無事に行事が済んだ、程度ではなかろうか?という。

 ブッシュ大統領は「勝った」とCNN記者が評価していたし、ロシアのメドベージェフ大統領も北方領土問題を避け、ブッシュとの「お近づき」を強調できた。フランスのサルコジ大統領のごときは、チベット問題で人権を主張して中国と対峙したものの、その勢いはどこへやら、中国から「反仏行動」を起こされてスーパーが苦境に立つと、一転「五輪開会式出席」を表明した。中国の胡錦濤主席は、インドとの友好を強調しつつ、世界に「チベット問題」の終結を印象付けることに成功した。桜井女史は「主要国首脳会議は社交の場ではない。華やかさと友情の演出の中で、『お友達の嫌がること』も提起して、国益を懸けて戦う場である。福田康夫首相は、洞爺湖サミットを、国際社会での地位低下が著しい日本国の威信回復の場ととらえ、大いに奮闘しなければならなかった。だが、首相の言動は日本の地位を更に沈下させたにすぎない」と批判した。

 全くその通りであろう。どうも今の日本国全体が、会議でも集会でも、何と無く『社交の場』のような雰囲気に包まれていて、イベント中心、花盛りの様相を呈している。多分、今回のサミットの「演出」も、どこかの「広報宣伝会社」がバックについて、イベント中心、華やかさ演出を中心に据えて、薄っぺらな「社交の場」を設定したに違いない、と私は思っている。だから、桜井女史の様な「真剣なクレーム」などどこ吹く風、上手くいった!と関係者は「慰労会」を開いて乾杯して終わったような気がしている。

 一面下方の「産経抄」には、日本が誇る「お弁当」のことが書いてあるが、その中に、「▼きのう閉幕した洞爺湖サミットについて、日ごろから、日本について辛口の記事が目立つ英国各紙が、歓迎夕食会の豪華なメニューをやり玉にあげていた。キャビアやウニに舌鼓を打つ指導者が、食糧危機を語るのは『偽善』だというのだ。▼確かに食事については、工夫の余地があった。安価な食材からでも、味と見た目、更に栄養にまで気を配った弁当に仕立てることが出来る。そんな文化を紹介する絶好の機会だったかもしれない」とある。予算をふんだんに使って豪華な演出をするのはバカにでもできる。如何に小額の予算で絶大な効果を挙げるか、それが「知恵」というものであり、そこに各国首脳は「手腕」を見て取るのである。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会