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2007-12-17 16:26

中国側からの対日新メッセージ?

舛島貞  大学准教授
 今世紀に入り、日中韓三国関係が比較的穏定している状況となった。この12月の韓国大統領選挙、また来年3月の台湾での総選挙により、東アジアの新リーダーが出揃うことになるが、このような協調関係は当面維持されそうである。その背景には、北京オリンピックを控えた中国が、周辺諸国との関係を安定的に保とうとする傾向にあるということがあろう。

 その中国が、12月に入り新たなメッセージを日本側に送っているようである。特に民主党の代表団と第十五次「長城計画」友好交流使節団が訪中した際に、中国側は「日中友好協力の新しい一章」(胡錦濤)、「日中友好協力の新局面」(李源朝)、「新段階」(王家瑞)などといったことばを相次いで用いた。9月28日の福田総理と温家宝総理の会談記録(外務省プレス発表)や11月20日の福田総理と温家宝総理の会談では「日中関係の発展は重要な歴史的段階、重要な転換期にある」という発言が温家宝総理からあった(外務省プレス発表)。また、12月1日の高村外相と楊外交部長の会談では、「『戦略的互恵関係』の中味を充実したものにしていきたい」との発言が楊部長からあった。このように考えると、民主党代表団訪中に際しての中国側の発言は、かなり踏み込んだものになっていることがわかる。
 
 だが、これを日本に対するメッセージと見るかどうかについては留保が必要だ。民主党代表団とほぼ同時期に訪中した自民党系の幹部らには、このような用語を使用してはいない(外交部ウェブサイト)。単純に考えれば、上記のようなメッセージは民主党に発せられたものだということになろう。では、その新世紀の新しい日中関係とはどのようなものだろうか。この点、胡錦濤発言がもっとも詳しい。要するに首脳交流を緊密におこなうなど、戦略的互恵体制を実質化させるということだという。民主党代表団は、この新たな提案に対して、踏み込んだ回答はしなかったようである。東シナ海ガス田問題や国内問題で年内実現が難しいとされる福田総理の訪中に際して、果たしてこの中国側の提案をどのように捉え、応えていくかが問われよう。東アジア共同体構想について考える際、それがASEAN+3+3を機軸とするとすれば、日中韓がどのような関係を築くかが重要な問題となる。従来、(ASEAN+1)×3であったアセアンと日中韓の関係が、ASEAN+3に変容するのかどうか、注目されるところである。
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