国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2007-10-29 19:02

連載投稿(3)インドに見るいわゆる「民主主義」の実態

廣野良吉   成蹊大学名誉教授
 9月はじめの本欄への投稿(本欄9月19日付け投稿381号拙稿)で、小生は躍進するインド経済が同時に拡大する所得格差と深刻な環境破壊を伴っていることについて、過去44年間の観察に基づく所見を述べたが、そこでインドが抱える政治的課題について、次のように書いた。

 「インド人がよくいい、欧米諸国人がそれに口合わせをしている『インドは世界最大規模の民主主義国家である』という点については、インドの各階層と40年以上の付き合いがある筆者は、違った考え方を持っている。『インドには、二つのインドがある。一つは、1千万人ないし5千万人のインド、経済的・技術的・知的に進んだ躍進するインドである。もう一つは、10億人ないし11億人のインド、封建的な社会構造に組み込まれて底辺をなす苦悩するインドである。インド・エリートが誇らしげに語る民主主義思想の恩恵を受けているのは前者のインド人・組織のみである』・・・インド・エリートの民主的政治思想が本当に民主主義制度になるためには、その成果が国民大衆一般に裨益していることが重要である」と。

 宿泊した5スター・ホテル、100年以上の歴史をもつオベロイ・グランドから一歩、外へ出ると、いわゆるインド式大衆マーケットがあり、そこでは物乞いする子供たちが、昔と同じように近寄ってきた。確かに道行く人々の服装は年毎に綺麗になり、中産階級層も増えているが、3億人を超える絶対的貧困層の存在、貧富の格差、ゴミをポイと捨てる公衆道徳、我先にと横から乱入してくるタクシーは、1963年小生が最初にデリー、チャンデイガー、ボンベイ(今はムンバイ)、アメダバッド、マドラス(今はチェンナイ)、カルカッタ(今はコルカッタ)、ジャムシェドプールを訪れた時のままといってよいであろう。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会