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2007-10-25 19:56

連載投稿(1)アジアの最重要課題は民主化の行方である

廣野良吉  成蹊大学名誉教授
 ここ2ヶ月間わが国の主要日刊紙は国内外の政治記事で賑わっている。国内では、参議院議員選挙における民主党の勝利、安倍総理の突然の辞任発表、自民党の新総裁選挙と福田内閣の誕生、インド洋における海上自衛隊による給油活動をめぐる衆参両院における与野党の攻防であり、海外では、イラクとアフガニスタンの混迷した紛争と政治、ミャンマー=ビルマにおける軍事独裁政権による僧侶と民衆のデモの力による弾圧、朝鮮半島における南北首脳会談、パキスタンの大統領選挙におけるムシャラフ参謀総長の選出、ポーランドの総選挙における野党の勝利、中国共産党大会における胡錦涛体制の確立等である。

 特に、中国共産党大会が今月21日に終わり、今後5年間の指導部を担う新しい中央委員204人と同候補167人が選出され、続いて22日に開催された共産党第17期中央委員会第1回全体会議では、胡錦涛総書記が再選され、胡氏を含む新たに9人の政治局常務委員と16人の政治局員が決まったことは、中国との「戦略的互恵関係」の維持を日米同盟と並ぶ外交の基本政策とするわが国とっては、最も関心が強い政治的展開であったといえるであろう。

 しかし、本連載投稿で取り上げたいことは、民主化の行方である。胡錦涛総書記が中国共産党大会の「政治報告」で訴えたのは、従来の高度経済成長優先思想の見直しと拡大する所得格差と環境破壊の是正の必要性であったが、それらの向うにやがて当然出てくるであろう大きな国内課題は、政治改革、すなわち民主化の行方だからである。同様な関心事は、高い経済成長が続いているベトナム、ラオスのような共産党ないし労働党が率いる一党独裁国家、さらには法的には民主主義制度を取り入れたが、実際問題としては必ずしも民主的ガバナンスが確保されてはいない多くのアジア諸国についても指摘できる。これらの国々では、今後経済成長が進展し、中産階級が飛躍的に増大する中で、中長期的に大きな政治的変化が生まれてくるであろう。そのことを予想する人々は、国内外にかなり居るといってよいであろう。(つづく)
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