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2026-07-10 02:02

アメリカは失策を重ねながら衰退し、中国はその失策を利用しながら台頭する

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 アメリカはイラン戦争でイスラエルという負債を抱え、ウクライナ戦争でウクライナという負債を抱え、実際には起きていない台湾有事に関して日本という負債を抱えている。アメリカはイスラエルに使嗾されたイラン戦争を戦い、ウクライナ戦争ではロシアを弱体化させるためにウクライナ支援を続け、台湾有事では日本を中国への嫌がらせのために使っている(日本全体が政治家と国民の大多数が馬鹿なので本気で武力衝突をしたがるようになって慌てている)。

 イラン戦争ではイスラエルに唆されて、「アメリカ軍が出れば鎧袖一触、イランはすぐに降参して、体制転換ができる」「これが中東地域での最後の戦争となり、トランプ大統領は歴史に残る偉大な大統領になる」とおだてられ(「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉通りに)、ほいほいとアメリカ軍を出してイランを攻撃して、人的、経済的に大きな被害を出した。イラン側はイスラエルやペルシア湾岸諸国のアメリカ軍基地に対して反撃を行い、一定の成果を上げた。さらに、ホルムズ海峡を封鎖してその力を示した。アメリカ軍はイランのホルムズ海峡封鎖を実力で阻止することができず、実力の欠如を露呈した。

 ウクライナ戦争やイラン戦争という世界にとって深刻な、しかも重要な出来事に関して、中国は目立った動きを見せていない。しかし、国際関係や世界政治を注意深く見ている人たちにとっては中国の動きは明らかだ。それが漏れ伝わって、マスコミでも報道されることがある。アメリカとイランの間を取り持っているのは中国である。今年の5月にはアッバス・アラグチ外相が訪中し、記憶に新しいが5月中旬にはドナルド・トランプ大統領が訪中し、更にその後にロシアのウラジーミル・プーティン大統領が訪中している。中国が国際関係、世界政治のキープレイヤーであることは明白だ。アメリカが対外政策で失策を重ねている間に、中国は慎重な動きをすることで、相対的に評価が高まるということになった。

 しかし、中国はそのことを誇らない。目立たないというのは中国の長期戦略である。経済の分野では黙っていても目立つようになっており、他国からの反感を買うこともある訳で、目立つようなことをして失敗することは望ましいことではない。鄧小平が唱えた「韜光養晦(とうこうようかい)」である。中国は実力を蓄え、アメリカが衰退していく中で、それに巻き込まれないようにしながら、完全に追い越すまでじっと待つということになる。熟した柿が自然と落ちるのを待つ、木に登るという危険(落ちて怪我をするかもしれない)を避けて、長期的に待つという「熟柿作戦」とも言える。この時間の幅の取り方は中国人独特と言えるだろう。せっかちな日本人にはできないことだ。
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