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2025-10-24 10:10

(連載1)中国人学校やベトナム人学校がない不思議

倉西 雅子 政治学者
 日本国政府は、これまで、外国人技能実習制度であれ、在留資格の緩和であれ、外国人の受入拡大は移民政策ではなく、人口減を補うための労働力の確保にすぎないと説明してきました。また、外国人人口の増加に際して予測される社会的摩擦や軋轢に関しては、多文化共生主義をもって対応するように国民に求めてきました。しかしながら、現実を見ますと、政府の説明は、国民を欺いているとしか言い様がないのです。
 
 仮に、政府の説明通り、労働力不足の補填を目的としているならば、家族の帯同を許す必要はないはずです。日本国内でも、かつては‘出稼ぎ’と呼ばれた労働形態があり(規模は縮小したものの、今日でも存続しているかもしれない・・・)、農村から一時的に都市部の工場などに働きに行く短期雇用の形態です。この形態では、大抵は一家の大黒柱である夫や父親が家を離れ、家族は地元にあって普段通りの生活を送ります。慣れない土地での生活に加え、子供達も短期間であれ転校をしなければなりませんので、家族帯同は面倒且つ不便なのです。
 
 因みに、リベラル派の人々は、とかくに家族同伴を許さないのは家族を引き離す非人道的な扱いであるとして批判しがちですが、家族同伴によって生まれ育った土地やコミュニティーから引き離されるのも苦痛であるはずです。ましてや他国への移住であれば、言語も生活習慣も違うのですから、相当のストレスとなることでしょう。
 
 さて、今般の日本国の外国人政策を見ますと、在留資格にあって家族同伴が許される場合が多く、実際に、各地にあって外国人家族を目にする機会も増えています。このため、外国人の子供達の未就学問題に加え、学校の現場では外国人生徒への対応に追われることとなり、悲鳴を上げた地方自治体が、国に対して支援を求めるまでに至っているのです。多文化共生主義を文字通りに実践すれば、学校の教室は、多言語が飛び交い、各々の生徒が自らの出身国の慣習に従って行動し、価値観もばらばらな修羅場となりますので、教育どころではなくなります。そこで、共通言語として日本語での授業を行なわれるのですが、日本語が母語ではない外国人生徒にとりましては、当然に授業についてゆくのが難しくなると共に(外国人には日本国にあって教育を受ける義務はないので、引きこもりや未就学状態となる原因に・・・)、受入側も言語等の問題もあって十分な教育を施せないのです。(つづく)
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