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2025-04-08 02:43

(連載1)「トランプ ショック」の落としどころ

岡本 裕明 海外事業経営者
 さしずめ「トランプ ショック」と命名するのでしょう。世界は経済の動き、金融の動き、株式市場の動きにくぎ付けとなり、戦々恐々としています。いったいどうなるのか、誰もわかりませんが、わからないでは答えにならないので私なりの予想をしてみたいと思います。この週末、不動産物件をいくつか見て歩きました。その理由は自分が住む集合住宅のコンシェルジュと駄話をしていた際、「この建物で売りに出ている物件に買い手がつかないんだよねぇ」というのでマーケットの実態を探りに出たわけです。

 バンクーバーの不動産統計には売れるまでに要する日数、平均売買日数が21日と出ていますが、実はほとんど実態を表していない指標です。というのは物件は売り出しをしたときが一番反応が良く、2週間もすれば注目度が下がり、内見する人がいなくなるため、オファーが入らなかった場合、一旦Saleのリスティングから落とし、1週間ぐらいしてから再度価格を見直してアップし直すのです。売買日数もそこからまたゼロスタートなるので統計は当てにならないのです。実態は数か月とみてよいでしょう。

 で、実際に物件を見て歩き、不動産屋と話をすると「客が来ない」「全然オファーが入らない」「売り手が価格を引き下げても誰も買わない」「売り出して6か月待っている」…と悲惨な状況でした。春は通常、不動産マーケットが動くのに厳しい状況はカナダが移民を絞ったことと景況感が悪いことが大きいと思います。コロナ前とは雲泥の差と言ってよいでしょう。アメリカの不動産市況もJPモルガンの分析では今回のトランプショックの前ですら「前年とほぼ変わらず」の見込みでした。気になるのは建築中物件が突出しているため、それらが完成後市場に出回った際に市場が更に緩む公算はあります。

 さて、私が不動産の話をまず振ったのは景況とは人々が今、お金を使う時期か、待つ時期か考えるにあたり、不動産購入という人生で最大級の買い物に動くか動かないかは時の景況を反映しやすいからなのです。私が見る限り、バンクーバーの不動産市況がここまで冷えているのは初めての経験かもしれません。景気が良いか悪いかの判断は収入や株式投資などからの副収入を通じた所得の増分に影響を受けやすいですが、それ以上に周りの雰囲気に流されやすいものなのです。古い例ですが、バブル経済の80年代後半、給与や賞与が爆発的に増えたわけではなく、むしろ忙しいながらも残業手当があり、社費による飲食も割と緩めだったことが人々の雰囲気を前向きにし、一種の祭りのような状況を作り上げたことが盛り上がった最大の理由であり、根拠なき不動産価格や株価の上昇と未実現益の積み上げで泡を掴んだわけです。(つづく)
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